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極と極線

図形と方程式(難関大対策) ★★★

アイキャッチ

極と極線について扱います.円の接線が既習前提です.

入試での出題頻度は高くないですが,出てしまうと経験のある無しで差がつきやすいです.余裕がある難関大受験生向けです.

極と極線

基本的にはに関する話題ですが,数学Cの2次曲線における楕円放物線に関しても同様です(次章で扱います).

極と極線

極と極線の求め方

円 $x^{2}+y^{2}=r^{2}$ に ${\rm P}(\alpha,\beta)$ から2本の接線を引き,その接点を $\rm Q$,$\rm R$ とする.直線 $\rm{QR}$ の方程式は

$\boldsymbol{\alpha x+\beta y=r^2}$

このとき,$\rm P$ を極,直線 $\rm{QR}$ を極線という.

証明

${\rm Q}(x_{1},y_{1})$,${\rm R}(x_{1},y_{1})$ とすると接線はそれぞれ

$\begin{cases}x_{1}x+y_{1}y=r^{2} \\ x_{2}x+y_{2}y=r^{2}\end{cases}$

${\rm P}(\alpha,\beta)$ を通るので

$\begin{cases}\alpha x_{1}+\beta y_{1}=r^{2} \\ \alpha x_{2}+\beta y_{2}=r^{2}\end{cases}$

これより $\alpha x+\beta y=r^2$ はどちらも ${\rm Q}(x_{1},y_{1})$,${\rm R}(x_{1},y_{1})$ を通るので,直線 $\rm{QR}$ の方程式は

$\alpha x+\beta y=r^{2}$


公式は暗記しやすい形になってますが,証明にあるように都度導ける(説明できる)ようにしておきたいです.

上の知識がない場合の導き方は,例題をご参考ください.

中心が原点以外にあるとき

一般の円も同様です.万が一出題された場合は平行移動して上を適用すればいいだけですが,一応公式として形にしておきます.

極と極線の求め方(一般の円)

円 $(x-a)^{2}+(y-b)^{2}=r^{2}$ に ${\rm P}(\alpha,\beta)$ から2本の接線を引き,その接点を $\rm Q$,$\rm R$ とする.直線 $\rm{QR}$ の方程式は

$\boldsymbol{(\alpha-a)(x-a)+(\beta-b)(y-b)=r^2}$

証明

${\rm Q}(x_{1},y_{1})$,${\rm R}(x_{1},y_{1})$ とすると接線はそれぞれ

$\begin{cases}(x_{1}-a)(x-a)+(y_{1}-b)(y-b)=r^{2} \\ (x_{2}-a)(x-a)+(y_{2}-b)(y-b)=r^{2}\end{cases}$

${\rm P}(\alpha,\beta)$ を通るので

$\begin{cases}(\alpha-a)(x_{1}-a)+(\beta-b)(y_{1}-b)=r^{2} \\ (\alpha-a)(x_{2}-a)+(\beta-b)(y_{2}-b)=r^{2}\end{cases}$

これより $(\alpha-a)(x-a)+(\beta-b)(y-b)=r^2$ はどちらも ${\rm Q}(x_{1},y_{1})$,${\rm R}(x_{1},y_{1})$ を通るので,直線 $\rm{QR}$ の方程式は

$(\alpha-a)(x-a)+(\beta-b)(y-b)=r^{2}$


円以外の場合(2次曲線既習者)

この章のみ数学Cの2次曲線既習者対象です.

2次曲線における極と極線

${\rm P}(\alpha,\beta)$ から以下の曲線に2本の接線を引き,その接点を $\rm Q$,$\rm R$ とする.直線 $\rm{QR}$ の方程式はそれぞれ

楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ のとき 

$\boldsymbol{\dfrac{\alpha x}{a^2}+\dfrac{\beta y}{b^2}=1}$

双曲線 $\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=\pm 1$ のとき 

$\boldsymbol{\dfrac{\alpha x}{a^2}-\dfrac{\beta y}{b^2}=\pm 1}$

放物線 $y^2=4px$ のとき 

$\boldsymbol{\beta y=2p(x+\alpha)}$


証明は前章の円の場合と同様なので割愛します.

覚える必要はないでしょう.

例題と練習問題

例題

例題

点 $\rm O$ を原点とする座標平面上に円 $C:x^{2}+y^{2}=1$ に $\rm P(2,4)$ から2本の接線を引き,その接点を $\rm A$,$\rm B$ とする.直線 $\rm{AB}$ と直線 $\rm{OP}$ の交点を $\rm H$ とする.

(1) $\rm{PH\cdot PO}$ を求めよ.

(2) 直線 $\rm{AB}$ の方程式を求めよ.

(2021 獨協医科大改)


講義

獨協医科大の問題を選んで記述式の形式にしてみました.(2)は上の公式ですぐですが,もし知識がないと $\rm A$,$\rm B$ の座標を出す よりは $\rm H$ の座標を出すのが楽でしょうか.


解答

例題の図

(1)

$\triangle {\rm PAH}$ $\style{transform:rotate(90deg)}{\textsf{S}}$ $\triangle {\rm POA}$ より

$\rm{PA}:\rm{PH}=\rm{PO}:\rm{PA}$

$\therefore \ \rm{PA}^{2}=\rm{PH\cdot PO}$

三平方の定理より,$\rm{PA}^{2}=\rm{PO}^{2}-\rm{OA}^{2}=20-1=19$ なので

$\rm{PH\cdot PO}=\boldsymbol{19}$

(2)

${\rm A}(x_{1},y_{1})$,${\rm B}(x_{1},y_{1})$ とすると接線はそれぞれ

$\begin{cases}x_{1}x+y_{1}y=1 \\ x_{2}x+y_{2}y=1\end{cases}$

$\rm P(2,4)$ を通るので

$\begin{cases}2x_{1}+4y_{1}=1 \\ 2x_{2}+4y_{2}=1\end{cases}$

これより $2x+4y=1$ はどちらも ${\rm A}(x_{1},y_{1})$,${\rm B}(x_{1},y_{1})$ を通るので,直線 $\rm{AB}$ の方程式は

$\boldsymbol{2x+4y=1}$

別解((1)を使った解法)

$\rm{PH\cdot PO}=\sqrt{20}\rm{PH}=19 \Longleftrightarrow \ \rm{PH}=\dfrac{19\sqrt{20}}{20}$

これより $\rm{OH}=\dfrac{1}{20}\rm{PO}$ なので,$\rm{H}\left(\dfrac{1}{10},\dfrac{1}{5}\right)$ より直線 $\rm{AB}$ の方程式は

$\boldsymbol{y}=-\dfrac{1}{2}\left(x-\dfrac{1}{10}\right)+\dfrac{1}{5}\boldsymbol{=-\dfrac{1}{2}x+\dfrac{1}{4}}$

練習問題

練習

円 $C_{1}:x^{2}+y^{2}=4$ と円 $C_{2}:(x-3)^{2}+(y+2)^{2}=6$ と $\rm P(5,8)$ がある.

(1) 円 $C_{1}$ に $\rm P$ から2本の接線を引き,その接点を $\rm Q$,$\rm R$ とする.直線 $\rm{QR}$ の方程式を求めよ.

(2) 円 $C_{2}$ に $\rm P$ から2本の接線を引き,その接点を $\rm S$,$\rm T$ とする.直線 $\rm{ST}$ の方程式を求めよ.

練習の解答

(1)

${\rm Q}(x_{1},y_{1})$,${\rm R}(x_{1},y_{1})$ とすると接線はそれぞれ

$\begin{cases}x_{1}x+y_{1}y=4 \\ x_{2}x+y_{2}y=4\end{cases}$

$\rm P(5,8)$ を通るので

$\begin{cases}5x_{1}+8y_{1}=4 \\ 5x_{2}+8y_{2}=4\end{cases}$

これより $5x+8y=4$ はどちらも ${\rm Q}(x_{1},y_{1})$,${\rm R}(x_{1},y_{1})$ を通るので,直線 $\rm{QR}$ の方程式は

$\boldsymbol{5x+8y=4}$


(2)

$C_{2}$ と $\rm P$,$\rm S$,$\rm T$ を $x$ 軸方向に $-3$,$y$ 軸方向に $2$ 平行移動したものをそれぞれ $C_{3}$,${\rm P}'$,${\rm S}'$,${\rm T}'$ とすると,$C_{3}:x^{2}+y^{2}=6$,${\rm P}'(2,10)$ となるので,(1)と同様に考えると直線 $\rm{S}'\rm{T}'$ は

$2x+10y=6 \Longleftrightarrow \ x+5y=3$

直線 $\rm{S}\rm{T}$ は 直線 $\rm{S}'\rm{T}'$ を $x$ 軸方向に $3$,$y$ 軸方向に $-2$ 平行移動したものなので直線 $\rm{S}\rm{T}$ は

$(x-3)+5(y+2)=3 \Longleftrightarrow \ \boldsymbol{x+5y=-4}$