放物線の定義と基本性質
2次曲線(教科書範囲) ★★
放物線の定義と基本性質,覚えておくべきことを整理します.これらに関連した典型問題も扱います.
接線は微分による方法で求めるといいと思います.
放物線の定義と基本性質
放物線と焦点と準線の定義
定点 $\rm F$ と,$\rm F$ を通らない定直線 $\ell$ までの距離が等しい点 $\rm P$ の軌跡を放物線といい,定点 $\rm F$ を焦点,定直線 $\ell$ を準線という.
※ 他に離心率や円錐の切断で定義する方法もありますが,大学受験という観点ではこちらの方が重要です.
放物線で重要なのが定義です.
この定義から放物線の方程式,各種性質を導きます.
以下で焦点が $x$ 軸上にあるとき,$y$ 軸上にあるとき順に言及します.
放物線の方程式と基本性質
(ⅰ) 焦点が $x$ 軸上にあるとき
$p>0$ のとき
$p<0$ のとき
焦点の座標が $(p,0)$,準線が $x=-p$ である放物線の方程式は
$\boldsymbol{y^2=4px}$
で表せ,これを標準形という.
頂点の座標:$\boldsymbol{(0,0)}$
焦点の座標:$\boldsymbol{(p,0)}$
準線:$\boldsymbol{x=-p}$
放物線の方程式と焦点の座標の導出
放物線の方程式と焦点の座標の導出
焦点を ${\rm F}(p,0)$,準線を $x=-p$ とする.放物線上の点を ${\rm P}(x,y)$,準線に下ろした垂線の足を ${\rm H}$ とすると,$\rm PF=PH$ より
$\sqrt{(x-p)^{2}+y^{2}}=|x-(-p)|$
両辺 $2$ 乗して
$(x-p)^{2}+y^{2}=(x+p)^{2}$
整理すると,求める軌跡(放物線)の方程式は
$\boldsymbol{y^2=4px}$
続いて,焦点が $y$ 軸上にあるときです.導出は上と同様なので割愛します.
放物線の方程式と基本性質
(ⅱ) 焦点が $y$ 軸上にあるとき
$p>0$ のとき
$p<0$ のとき
焦点の座標が $(0,p)$,準線が $y=-p$ である放物線の方程式は
$\boldsymbol{x^2=4py}$
で表せ,これを標準形という.
頂点の座標:$\boldsymbol{(0,0)}$
焦点の座標:$\boldsymbol{(0,p)}$
準線:$\boldsymbol{y=-p}$
中心が原点でない放物線
楕円のときと同様に考えることにより,放物線 $C:y^2=4px$ を $x$ 軸方向に $s$,$y$ 軸方向に $t$ 平行移動したグラフを $C'$ とすると,$C'$ の方程式は
$C':(y-t)^{2}=4p(x-s)$
となり,これは頂点が $(s,t)$ の放物線になる.放物線 $x^2=4py$ についても同様です.
例題と練習問題
例題
例題
(1) 放物線 $y^2=2x$ の焦点と準線を求めよ.また概形をかけ.
(2) 点 $(2,3)$ と $y=-1$ までの距離が等しい点の軌跡を求めよ.
講義
放物線の定義と基本性質を使います.頂点を見ることで標準形からどれだけ平行移動されてるか見るといいと思います.
解答
(1)
$y^2=4\cdot \dfrac{1}{2}\cdot x$ より,座標は $\boldsymbol{\left(\dfrac{1}{2},0\right)}$.準線は $\boldsymbol{x=-\dfrac{1}{2}}$
概形は
(2)
頂点は $(2,1)$ の放物線になる.$p=2$ より
$(x-2)^{2}=4\cdot2\cdot(y-1)$
求める軌跡は 放物線 $\boldsymbol{(x-2)^{2}=8(y-1)}$
※ 軌跡の問題として解いて導くことも可能ですが少し大変です.
練習問題
練習
(1) 放物線 $y=\dfrac{1}{2}x^{2}-x$ の焦点と準線を求めよ.
(2) 正の実数 $a$ に対して,半円 $x^{2}+(y-a)^{2}=a^{2}$ $(x\geqq 0)$ がある.この半円に外接しかつ $x$ 軸に接する円の中心を ${\rm P}(x,f(x))$ とするとき,$f(x)$ を求めよ.
練習の解答
(1)
$y=\dfrac{1}{2}x^{2}-x$
$\Longleftrightarrow \ 2y=x^{2}-2x$
$\Longleftrightarrow \ 2y+1=x^{2}-2x+1$
$\Longleftrightarrow \ (x-1)^{2}=4\cdot \dfrac{1}{2}\left(y+\dfrac{1}{2}\right)$
頂点の座標が $\left(1,-\dfrac{1}{2}\right)$ なので,焦点の座標は $\boldsymbol{(1,0)}$.準線は $\boldsymbol{y=-1}$.
(2) 出典:2020鳥取大
$\rm P$ と $(0,a)$ までの距離と $\rm P$ と $y=-a$ までの距離が等しいので,$\rm P$ は焦点 $(0,a)$,準線 $y=-a$ の放物線を描く.
$x^{2}=4ay$
$\therefore \ \boldsymbol{y=f(x)=\dfrac{1}{4a}x^{2} \ (x\geqq 0)}$