軌跡の求め方
図形と方程式(教科書範囲) ★★★

軌跡の求め方について解説します.このページのみで基本的な問題を扱います.
軌跡の求め方
軌跡とは
軌跡とは,与えられた条件を満たす点が動いてできる図形(集合)のことをいいます.
ポイント
軌跡の求め方
STEP1:求める軌跡の動点の座標を $(X,Y)$ とおく.
STEP2:与条件を $X$,$Y$ を用いて表現.
STEP3:$X$,$Y$ 以外の文字(媒介変数)があれば消去.
STEP4:$X \to x$,$Y \to y$ としたものが軌跡の方程式(定義域や除外点等に注意).軌跡は特定できるように図形を答える.
※ $X$,$Y$ でなく最初から小文字でおいても構わないのですが,大文字で解いていくと複雑な問題が混乱しにくくてオススメです.
軌跡を求めよとある場合,その図形の形状を特定できるように答えます.
軌跡の方程式を求めよとある場合,そのまま軌跡が満たす数式を答えます.
注意点
STEP2で,与条件を $X$,$Y$ を用いて表現するときに同値性を保つようにします.つまり
与条件 $\Longleftrightarrow$ 軌跡の方程式
であること(必要十分条件であること)を意識します.
例題と練習問題
例題
例題
次の条件を満たす点 $\rm P$ の軌跡を求めよ.
(1) 点 $\rm A(0,0)$,点 $\rm B(12,0)$ に対して $\rm AP^{2}+BP^{2}=122$ を満たす点 $\rm P$
(2) $a\geqq 2$ のとき,$y=-x^{2}+ax+4a$ の頂点 $\rm P$
講義
例題では上の軌跡の求め方に従って各STEPの段階がわかるように書いてみます.(1)はSTEP3がありません.
解答
(1)
STEP1
${\rm P}(X,Y)$ とおく
STEP2
$\rm AP^{2}+BP^{2}=122$
$\Longleftrightarrow \ X^{2}+Y^{2}+(X-12)^{2}+Y^{2}=122$
$\Longleftrightarrow \ X^{2}-12X+Y^{2}+11=0$
STEP3
なし
STEP4
求める軌跡は,円 $\boldsymbol{x^{2}-12x+y^{2}+11=0}$
※ 他の答え方として,中心が $\boldsymbol{(6,0)}$,半径 $\boldsymbol{5}$ の円 などのように,図形が特定できればOKです.
(2)
STEP1
${\rm P}(X,Y)$ とおく
STEP2
$y=-\left(x-\dfrac{a}{2}\right)^{2}+\dfrac{a^2}{4}$ より,頂点が $\rm P$ なので
$\begin{cases}X=\dfrac{a}{2} \ \ (a\geqq2 \ \Longleftrightarrow \ X\geqq1)\\ Y=\dfrac{a^2}{4}+4a\end{cases}$
STEP3
$Y=\dfrac{a^2}{4}+8\cdot \dfrac{a}{2}=X^{2}+8X$ $(X\geqq1)$
STEP4
求める軌跡は,放物線 $\boldsymbol{y=x^{2}+8x \ (x\geqq1)}$
※ このように定義域が限定されている場合があるので注意します.
実際の答案では当たり前ですがどこのSTEPかを書く必要がないので,練習問題の解答は通常の答案にします.
練習問題
練習
次の条件を満たす点 $\rm P$ の軌跡を求めよ.
(1) $2$ 点 $\rm A(-4,0)$,点 $\rm B(1,0)$ からの距離の比が $3:2$ である点 $\rm P$ の軌跡を求めよ.
(2) $2$ 点 $\rm A(-4,0)$,点 $\rm B(4,0)$ としたとき $\rm AP+BP=10$ を満たす点 $\rm P$ の軌跡の方程式を求めよ.
(3) $2$ 点 $\rm A(5,3)$,点 $\rm B(-4,3)$ と円 $x^{2}+y^{2}=25$ 上の動点 $\rm Q$ とでできる,$\triangle \rm ABQ$ の重心 $\rm P$ の軌跡を求めよ.
練習の解答
(1)
${\rm P}(X,Y)$ とおく
$\rm AP:BP=3:2$
$\Longleftrightarrow \ \rm 2AP=3BP$
$\Longleftrightarrow \ \rm 4AP^{2}=9BP^{2}$ $(\because \ \rm AP>0, BP>0)$
$\Longleftrightarrow \ 4\{(X+4)^{2}+Y^{2}\}=9\{(X-1)^{2}+Y^{2}\}$
$\Longleftrightarrow \ 0=5X^{2}-50X+5Y^{2}-55$
$\Longleftrightarrow \ X^{2}-10X+Y^{2}-11=0$
求める軌跡は,円 $\boldsymbol{x^{2}-10x+y^{2}-11=0}$

※ 上のように,$2$ 点からの距離の比が $m:n$ $(m\neq n)$ である点の軌跡は円になり,アポロニウスの円という.
(2)
${\rm P}(X,Y)$ とおく
$\rm AP+BP=10$
$\Longleftrightarrow \ \sqrt{(X+4)^{2}+Y^{2}}+\sqrt{(X-4)^{2}+Y^{2}}=10$
$\Longleftrightarrow \ \sqrt{(X+4)^{2}+Y^{2}}=10-\sqrt{(X-4)^{2}+Y^{2}}$
$\Longleftrightarrow \ (X+4)^{2}+Y^{2}=\{10-\sqrt{(X-4)^{2}+Y^{2}}\}^{2}$
$\Longleftrightarrow \ 20\sqrt{(X-4)^{2}+Y^{2}}=100-16X$
$\Longleftrightarrow \ 5\sqrt{(X-4)^{2}+Y^{2}}=25-4X$
$\Longleftrightarrow \ 25\{(X-4)^{2}+Y^{2}\}=16X^{2}-200X+625$
$\Longleftrightarrow \ 9X^{2}+25Y^{2}=225$
求める軌跡の方程式は
$\boldsymbol{9x^{2}+25y^{2}=225}$
※ これは数学Ⅲで学ぶ,$\rm A$,$\rm B$ が焦点で,焦点までの距離の和が $10$ の楕円を表しています.
※ 式変形で $2$ 乗をしても同値性が保たれるのは,両辺が正だからです.
(3)
${\rm Q}(s,t)$,${\rm P}(X,Y)$ とおく.$s=\pm4$,$t=3$ のとき,$\triangle \rm ABQ$ が形成されないのでそれ以外を考える.
$\begin{cases}X=\dfrac{5+(-4)+s}{3} \Longleftrightarrow s=3X-1\\ Y=\dfrac{3+3+t}{3} \Longleftrightarrow t=3Y-6\end{cases}$
$s^{2}+t^{2}=25$ より
$(3X-1)^{2}+(3Y-6)^{2}=25$
$\Longleftrightarrow \ \left(X-\dfrac{1}{3}\right)^{2}+(Y-2)^{2}=\dfrac{25}{9}$
$(s,t)\neq(\pm4,3)$ より,$(X,Y)\neq\left(\dfrac{5}{3},3\right)$,$(-1,3)$
求める軌跡は,円 $\boldsymbol{\left(x-\dfrac{1}{3}\right)^{2}+(y-2)^{2}=\dfrac{25}{9}}$ ただし,$\boldsymbol{\left(\dfrac{5}{3},3\right),(-1,3)}$ を除く.

※ 上のように除外点がないか注意します.
※ 三角関数既習者は,${\rm Q}(5\sin t,5\cos t)$ などとでおいてもいいですね.