曲線上の点での接線と法線の方程式
微分(数学Ⅱ,Ⅲ)(教科書範囲) ★
数学Ⅱ,数学Ⅲ共通ページです.
曲線上の点での接線と法線の方程式の求め方を扱います.
数学Ⅱは多項式関数を,数学Ⅲは陽関数,陰関数,媒介変数表示された曲線の接線を扱います.
数学Ⅱの微分を勉強中の方は,2章までです.
接線と法線の方程式
接線と法線の方程式
関数 $y=f(x)$ の $x=a$ での接線の方程式は
$\displaystyle \boldsymbol{y=f'(a)(x-a)+f(a)}$
関数 $y=f(x)$ の $x=a$ での法線の方程式は
$\displaystyle \boldsymbol{y=-\dfrac{1}{f'(a)}(x-a)+f(a)}$
そもそも微分が,$x=a$ でどうしたら接線が引けるだろうかという話から始まるので(微分の導入を参照ください),接線の傾きが $f'(a)$ なのは当然です.
接線は傾きが $f'(a)$ で,$(a,f(a))$ を通る直線.
法線は傾きが $-\dfrac{1}{f'(a)}$ で,$(a,f(a))$ を通る直線.
※ 法線の傾きですが,接線と法線は直交しているので,2つの直線が直交していたら傾きの積が $-1$ という事実からきています.
例題と練習問題(数学Ⅱ)
例題
例題
次の曲線の指定された点での接線の方程式を求めよ.
$f(x)=\dfrac{1}{2}x^{2}+x-1$ 上の $\left(1,\dfrac{1}{2}\right)$
講義
$x=a$ での接線の公式 $\displaystyle \boldsymbol{y=f'(a)(x-a)+f(a)}$ を使うだけです.今回は $a=1$ です.
解答
$f'(x)=x+1$ より $\left(1,\dfrac{1}{2}\right)$ での接線は
$\boldsymbol{y}$
$=f'(1)(x-1)+f(1)$
$=2(x-1)+\dfrac{1}{2}$
$\boldsymbol{=2x-\dfrac{3}{2}}$
練習問題
練習1
次の曲線の指定された点での接線と法線の方程式を求めよ.
$f(x)=\dfrac{1}{3}x^{3}-x-2$ 上の $\left(3,4\right)$
練習1の解答
$f'(x)=x^{2}-1$ より $\left(3,4\right)$ での接線は
$\boldsymbol{y}$
$=f'(3)(x-3)+f(3)$
$=8(x-3)+4$
$\boldsymbol{=8x-20}$
法線は
$\boldsymbol{y}$
$=-\dfrac{1}{f'(3)}(x-3)+f(3)$
$=-\dfrac{1}{8}(x-3)+4$
$\boldsymbol{=-\dfrac{1}{8}x+\dfrac{35}{8}}$
例題と練習問題(数学Ⅲ)
例題
例題
次の曲線の指定された点での接線の方程式を求めよ.
(1) $y=\log_{}(x^{2}+4)$ 上の $(2,3\log2)$
(2) 放物線 $y^{2}=4(x-2)$ 上の $(3,2)$
(3) 曲線 $\begin{cases}x=t^{2}-2t \\ y=-t^{2}+1\end{cases}$ の $t=-\dfrac{1}{2}$ に対応する点
講義
(1) 普通に微分するだけです.
(2) $y$ について解かず,陰関数の微分が楽です.
(3) 媒介変数表示された関数の微分の公式を使います.
解答
(1)
$y'=\dfrac{2x}{x^{2}+4}$ より $(2,3\log2)$ での接線は
$\boldsymbol{y}=\dfrac{4}{2^{2}+4}(x-2)+3\log 2\boldsymbol{=\dfrac{1}{2}x-1+3\log 2}$
(2)
与式を両辺 $x$ で微分すると
$2y\cdot \dfrac{dy}{dx}=4$
$\therefore \ \dfrac{dy}{dx}=\dfrac{2}{y}$
$(3,2)$ での接線は
$\boldsymbol{y}=\dfrac{2}{2}\left(x-3\right)+2\boldsymbol{=x-1}$
※ 与式は放物線です.一応市販の参考書を見ると接線の公式がありますが,覚えずに陰関数の微分で出すのがオススメです.
(3)
$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}}=\dfrac{-2t}{2t-2}$ .$t=-\dfrac{1}{2}$ つまり $x=\dfrac{5}{4}$,$y=\dfrac{3}{4}$ での接線は
$\boldsymbol{y}=-\dfrac{1}{3}\left(x-\dfrac{5}{4}\right)+\dfrac{3}{4}\boldsymbol{=-\dfrac{1}{3}x+\dfrac{7}{6}}$
※ 与式の曲線は媒介変数表示された曲線のグラフの書き方の例題にあります.
練習問題
練習2
次の曲線の指定された点での接線と法線の方程式を求めよ.
(1) $y=(\log_{}x)^{2}$ 上の $(e,1)$
(2) 双曲線 $x^{2}-\dfrac{y^{2}}{4}=1$ 上の $(\sqrt{5},4)$
(3) 曲線 $\begin{cases}x=t-\sin t \\ y=1-\cos t\end{cases}$ の $t=\dfrac{2\pi}{3}$ に対応する点
練習2の解答
(1)
$y'=\dfrac{2\log x}{x}$ より $(e,1)$ での接線は
$\boldsymbol{y}=\dfrac{2}{e}(x-e)+1\boldsymbol{=\dfrac{2}{e}x-1}$
法線は
$\boldsymbol{y}=-\dfrac{e}{2}(x-e)+1\boldsymbol{=-\dfrac{e}{2}x+\dfrac{e^{2}}{2}+1}$
(2)
与式を両辺 $x$ で微分すると
$2x-\dfrac{2y}{4}\cdot \dfrac{dy}{dx}=0$
$\therefore \ \dfrac{dy}{dx}=\dfrac{4x}{y}$
$(\sqrt{5},4)$ での接線は
$\boldsymbol{y}=\dfrac{4\sqrt{5}}{4}\left(x-\sqrt{5}\right)+4\boldsymbol{=\sqrt{5}x-1}$
法線は
$\boldsymbol{y}=-\dfrac{1}{\sqrt{5}}\left(x-\sqrt{5}\right)+4\boldsymbol{=-\dfrac{1}{\sqrt{5}}x+5}$
※ 与式は双曲線です.こちらは接線の公式で出すべきで,陰関数の微分は緊急用としてオススメです.
(3)
$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}}=\dfrac{\sin t}{1-\cos t}$ .$t=\dfrac{2\pi}{3}$ つまり $x=\dfrac{2\pi}{3}-\dfrac{\sqrt{3}}{2}$,$y=\dfrac{3}{2}$ での接線は
$\boldsymbol{y}=\dfrac{\sqrt{3}}{3}\left(x-\dfrac{2\pi}{3}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)+\dfrac{3}{2}\boldsymbol{=\dfrac{\sqrt{3}}{3}x-\dfrac{2\sqrt{3}\pi}{9}+2}$
法線は
$\boldsymbol{y}=-\sqrt{3}\left(x-\dfrac{2\pi}{3}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)+\dfrac{3}{2}\boldsymbol{=-\sqrt{3}x+\dfrac{2\sqrt{3}\pi}{3}}$
※ サイクロイドと呼ばれる曲線です.与式の曲線は媒介変数表示された曲線のグラフの書き方の練習にあります.