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媒介変数表示された曲線のグラフの書き方

微分(数学Ⅲ)(入試の標準) ★★

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このページでは,媒介変数表示された曲線のグラフの書き方を解説します.

媒介変数表示された曲線のグラフの書き方

媒介変数表示された曲線のグラフの書き方

STEP1:$x$ と $y$ を媒介変数でそれぞれ微分する.

STEP2:$x$ と $y$ の媒介変数での増減表(5行の増減表)を書く.

STEP3:増減表を元にグラフを書く.


下の例題で確認していきます.

例題と練習問題

例題

例題

$t$ はすべての実数をとる.

$\begin{cases}x=t^{2}-2t \\ y=-t^{2}+1\end{cases}$

で表された曲線のグラフの概形を書け.


講義

その気になれば $t$ を消去できますが,大変な式が出てくるので,媒介変数の微分で対処します.


解答

(1)

$\dfrac{dx}{dt}=2t-2$,$\dfrac{dy}{dt}=-2t$ より

増減表を書くと

$t$ $\cdots$ $0$ $\cdots$ $1$ $\cdots$
$\dfrac{dx}{dt}$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$
$x$ ↘︎ $0$ ↘︎ $-1$ ↗︎
$\dfrac{dy}{dt}$ $+$ $0$ $-$ $-$ $-$
$y$ ↗︎ $1$ ↘︎ $0$ ↘︎

これを元に,$x$ 切片( $t^{2}-2t=0 \Longleftrightarrow t=0,2$ のとき),$y$ 切片( $-t^{2}+1=0 \Longleftrightarrow t=-1,1$ のとき)を考慮してグラフを書くと

例題

※ 増減表の書き方に決まりはなく,先生や参考書によって色々です.$x$ の増減表と $y$ の増減表をいつも通り続けて書くのがわかりやすいと思います.

※ グラフの増減は $\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}}$ の符号から判断します.

※ フリーハンドだと綺麗に図を書くのは難しいですが,極値や切片など代表的な値はできるだけ書きましょう.

練習問題

練習

(1)

曲線 $\begin{cases}x=t-\sin t \\ y=1-\cos t\end{cases}$ $(0\leqq t \leqq 2\pi)$

のグラフの概形を書け.

(2)

曲線 $\begin{cases}x=e^{-t}\cos t \\ y=e^{-t}\sin t\end{cases}$ $(0\leqq t \leqq \pi)$

のグラフの概形を書け.

練習の解答

(1)

$\begin{cases}\dfrac{dx}{dt}=1-\cos t \\ \dfrac{dy}{dt}=\sin t \end{cases}$

増減表を書くと

$t$ $0$ $\cdots$ $\pi$ $\cdots$ $2\pi$
$\dfrac{dx}{dt}$ $0$ $+$ $+$ $+$ $0$
$x$ $0$ ↗︎ $\pi$ ↗︎ $2\pi$
$\dfrac{dy}{dt}$ $0$ $+$ $0$ $-$ $-$
$y$ $0$ ↗︎ $2$ ↘︎ $0$

グラフを書くと

練習(1)サイクロイド

※ サイクロイドと言われる曲線です.

※ $x$ 軸とで囲まれた面積を求める問題は媒介変数表示された曲線のグラフの面積(基本編)の練習問題にあります.


(2)

$\dfrac{dx}{dt}=-e^{-t}\cos t-e^{-t}\sin t$

  $=-e^{-t}(\cos t+\sin t)$

  $=-\sqrt{2}e^{-t}\sin\left(t+\dfrac{\pi}{4}\right)$

$\dfrac{dy}{dt}=-e^{-t}\sin t+e^{-t}\cos t$

  $=-e^{-t}(\sin t-\cos t)$

  $=-\sqrt{2}e^{-t}\sin\left(t-\dfrac{\pi}{4}\right)$

増減表は

$t$ $0$ $\cdots$ $\dfrac{\pi}{4}$ $\cdots$ $\dfrac{3\pi}{4}$ $\cdots$ $\pi$
$\dfrac{dx}{dt}$ $-$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$ $+$
$x$ $1$ ↘︎ $\dfrac{e^{-\frac{\pi}{4}}}{\sqrt{2}}$ ↘︎ $-\dfrac{e^{-\frac{3\pi}{4}}}{\sqrt{2}}$ ↗︎ $-e^{-\pi}$
$\dfrac{dy}{dt}$ $+$ $+$ $0$ $-$ $-$ $-$ $-$
$y$ $0$ ↗︎ $\dfrac{e^{-\frac{\pi}{4}}}{\sqrt{2}}$ ↘︎ $\dfrac{e^{-\frac{3\pi}{4}}}{\sqrt{2}}$ ↘︎ $0$

グラフを書くと

練習(2)対数螺旋

※ 対数螺旋と言われる曲線です.これの $0\leqq t \leqq \pi$ と $x$ 軸で囲まれる部分の面積は扇形積分の例題にあります.