陰関数の微分
微分(数学Ⅲ)(教科書範囲) ★★

陰関数の微分について扱います.
陽関数と陰関数
以下に関数の表現方法を紹介します.
ポイント
陽関数と陰関数
陽関数:$y=f(x)$ の形で表現されるもの
陰関数:$F(x,y)=0$ の形で表現されるもの
※ 右辺が $0$ でなくても広く陰関数ということが多いようです.
今まで扱った関数は陽関数です.例えば直線 $y=2x+1$ は陽関数ですが,$2x-y+1=0$ とすると陰関数表示になります.
上の例ではどちらも大きな変化はありませんが,$y=\sqrt{1-x^{2}}$ と $y=-\sqrt{1-x^{2}}$ は単位円 $x^{2}+y^{2}=1$ のことです.微分をするときに根号がある陽関数表示よりも陰関数表示の方が微分しやすいです.
例えば $y^{3}+2y+x=0$ という関数はそもそも陽関数にするのが困難です.
以下では陰関数の微分を扱います.
例題と練習問題
例題
例題
以下で $\dfrac{dy}{dx}$ を求めよ.
$x^{2}+y^{2}=1$
講義
もし $u=y^{2}$ とおくと
$x^{2}+u=1$
両辺 $x$ で微分すると
$2x+\dfrac{du}{dx}=0$
となります( $y$ および $u$ は $x$ の関数なので $0$ にはなりません).
合成関数の微分によると $\dfrac{du}{dx}=\dfrac{du}{dy}\cdot \dfrac{dy}{dx}=2y\cdot \dfrac{dy}{dx}$ となるので最初からこれを意識して微分するといいとい思います.
解答
両辺 $x$ で微分すると
$2x+2y\cdot \dfrac{dy}{dx}=0$
$y\neq0$ のとき
$\dfrac{dy}{dx}=\boldsymbol{-\dfrac{x}{y}}$
練習問題
練習
楕円 $\dfrac{x^2}{16}+\dfrac{y^2}{12}=1$ において.
(1) $\dfrac{dy}{dx}$ を求めよ.
(2) 楕円上の点 $(2\sqrt{3},\sqrt{3})$ での接線の方程式を求めよ.
解答
(1)
両辺 $x$ で微分すると
$\dfrac{x}{8}+\dfrac{y}{6}\cdot \dfrac{dy}{dx}=0$
$y\neq0$ のとき
$\dfrac{dy}{dx}=\boldsymbol{-\dfrac{3x}{4y}}$
(2)
点 $(2\sqrt{3},\sqrt{3})$ での微分係数は $\dfrac{dy}{dx}$ に $x=2\sqrt{3}$,$y=\sqrt{3}$ を代入すると $-\dfrac{3\cdot 2\sqrt{3}}{4\cdot \sqrt{3}}=-\dfrac{3}{2}$.求める接線は
$\boldsymbol{y}=-\dfrac{3}{2}(x-2\sqrt{3})+\sqrt{3}\boldsymbol{=-\dfrac{3}{2}x+4\sqrt{3}}$
※ 楕円と接線を図示すると以下です.

※ 2次曲線の接線の方程式の例題に同じ問題がありますが,こちらでは接線の公式を使った解法を紹介しています.接線の公式は暗記推奨ですが,微分で出せるようにしておくべきです.
※ 接線の問題は曲線上の点での接線と法線の方程式でもう1度詳しく扱います.