媒介変数表示された関数の微分
微分(数学Ⅲ)(教科書範囲) ★★

媒介変数表示された関数の微分を扱います.
媒介変数表示された関数の微分
ポイント
媒介変数表示された関数の微分
媒介変数表示 $x=f(t)$,$y=g(t)$ で表された関数は,開区間 $I$ において微分可能であり,さらに開区間 $I$ 上で常に $\dfrac{dx}{dt}\neq 0$ とすると
$\displaystyle \boldsymbol{\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}}}$
今後も,媒介変数で表された関数のグラフを書くときや接線を引くときなどに使います.
$x=f(t)$ が逆関数が求まれば,$y=g(f^{-1}(x))$ として $t$ を消去できるのですが,通常は $t$ を消去できない,またはできたとしても困難なものが扱われます.
証明
証明
合成関数の微分公式を使うと
$\dfrac{dy}{dt}=\dfrac{dy}{dx}\cdot\dfrac{dx}{dt}$
$\dfrac{dx}{dt}\neq 0$ より
$\displaystyle \dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}}$
例題と練習問題
例題
例題
$x$ の関数 $y$ が,$t$ を媒介変数として
$\begin{cases}x=t^{2}-2t \\ y=-t^{2}+1\end{cases}$
で表されるとき,$\dfrac{dy}{dx}$ を $t$ の式で表せ.
講義
$x$ と $t$ が1対1対応ではないので,逆関数を制限を付けずに求めることができません.
こういう $t$ を消去するのが困難な場合は,媒介変数の微分公式を使います.
解答
$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}}=\dfrac{-2t}{2t-2}=\boldsymbol{-\dfrac{t}{t-1}}$
※ このグラフは媒介変数表示された曲線のグラフの書き方の例題にあります.
練習問題
練習
$x$ の関数 $y$ が,$t$ を媒介変数として
曲線 $\begin{cases}x=e^{-t}\cos t \\ y=e^{-t}\sin t\end{cases}$
で表されるとき,$\dfrac{dy}{dx}$ を $t$ の式で表せ.
練習の解答
$\dfrac{dx}{dt}=-e^{-t}\cos t-e^{-t}\sin t$
$=-e^{-t}(\cos t+\sin t)$
$\dfrac{dy}{dt}=-e^{-t}\sin t+e^{-t}\cos t$
$=-e^{-t}(\sin t-\cos t)$
より
$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}}=\boldsymbol{\dfrac{\sin t-\cos t}{\cos t+\sin t}}$
※対数螺旋と言われる曲線です.これの $0\leqq t \leqq \pi$ の範囲のグラフは媒介変数表示された曲線のグラフの書き方の練習にあります.