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円の接線の方程式

図形と方程式(教科書範囲) 

アイキャッチ

の接線の方程式とその証明を扱います.

円の接線の方程式

円の接線の方程式

一般の場合

円の接線の方程式(一般)

円 $(x-a)^{2}+(y-b)^{2}=r^{2}$ 上の $(x_{1},y_{1})$ での接線の方程式は

$\boldsymbol{(x_{1}-a)(x-a)+(y_{1}-b)(y-b)=r^{2}}$


↓ $a=b=0$


特に中心が原点の場合

円の接線の方程式(中心が原点)

円 $x^{2}+y^{2}=r^{2}$ 上の $(x_{0},y_{0})$ での接線の方程式は

$\boldsymbol{x_{0}x+y_{0}y=r^{2}}$


どちらも覚えやすく,数学で受験する上では暗記必須でしょう.

証明方法と証明

円の接線の方程式の証明方法

傾きを求める方法

Ⅱ 接点を通る直線を設定し,円と連立して接点で重解になることから導く方法

Ⅲ 点と直線の距離を使う方法

法線ベクトルを使う方法

(数学Ⅲの)微分を使う方法


こうしてみると手段がかなり多いですが,前提知識の少なさという点ではⅠが重要で,楽に証明できるという点ではⅣが重要です.

以下ではⅠとⅣで証明します.

Ⅰ 傾きを求める標準的な方法での証明

Ⅰでの証明(先に中心が原点の円から)

円の接線の方程式の証明

(ⅰ) $x_{0}\neq 0$,$y_{0}\neq 0$ のとき

${\rm A}(x_{0},y_{0})$ とおくと,直線 ${\rm OA}$ の傾きは $\dfrac{y_{0}}{x_{0}}$ とできる.接線の傾きはこれに垂直なので $-\dfrac{x_{0}}{y_{0}}$ となるから,接線の方程式は $(x_{0},y_{0})$ を通るので

$y=-\dfrac{x_{0}}{y_{0}}(x-x_{0})+y_{0}$

$\Longleftrightarrow \ y_{0}y=-x_{0}x+x_{0}^{2}+y_{0}^{2}$

$\Longleftrightarrow \ x_{0}x+y_{0}y=x_{0}^{2}+y_{0}^{2}$

接点 $(x_{0},y_{0})$ が円 $x^{2}+y^{2}=r^{2}$ 上にあるので

$x_{0}x+y_{0}y=r^{2} \ \cdots$ ①


(ⅱ) $x_{0}=0$ のとき

$y_{0}=\pm r$.接線は $y=\pm r$ (複号同順).これは①を満たす.


(ⅲ) $y_{0}=0$ のとき

$x_{0}=\pm r$.接線は $x=\pm r$ (複号同順).これは①を満たす.

(ⅰ)〜(ⅲ)より

$\boldsymbol{x_{0}x+y_{0}y=r^{2}}$


続いて中心が $(a,b)$ の円のとき

上の接線を $x$ 軸方向に $a$,$y$ 軸方向に $b$ 平行移動すると

$x_{0}(x-a)+y_{0}(y-b)=r^{2} \ \cdots$ ②

接点 $(x_{1},y_{1})$ は 原点が中心のときの接点 $(x_{0},y_{0})$ を $x$ 軸方向に $a$,$y$ 軸方向に $b$ 平行移動したものなので

$\begin{cases} x_{1}=x_{o}+a \\ y_{1}=y_{0}+b \end{cases} \ \Longleftrightarrow \ \begin{cases} x_{0}=x_{1}-a \\ y_{0}=y_{1}-b \end{cases}$

これを②に代入すると

$\boldsymbol{(x_{1}-a)(x-a)+(y_{1}-b)(y-b)=r^{2}}$

※平行移動が苦手な場合は直接 $(x_{1}-a)(x-a)+(y_{1}-b)(y-b)=r^{2}$ を示すのがオススメです.

Ⅳ 法線ベクトルを使う方法での証明

法線ベクトルを使って直線を出す方法の知識が必要なので未習の方はご注意ください.下に格納しました.

証明

円の接線の方程式の法線ベクトルでの証明

接線の法線が中心 $(a,b)$ と,接点 $(x_{1},y_{1})$ を結んだ直線になるので,接線の法線ベクトルが $\begin{pmatrix}x_{1}-a \\ y_{1}-b \end{pmatrix}$ とできる.

法線ベクトルが $\begin{pmatrix}x_{1}-a \\ y_{1}-b \end{pmatrix}$ で $(x_{1},y_{1})$ を通る直線は

$(x_{1}-a)(x-x_{1})+(y_{1}-b)(y-y_{1})=0$

接点 $(x_{1},y_{1})$ が円 $(x-a)^{2}+(y-b)^{2}=r^{2}$ 上にあるので,$(x_{1}-a)^{2}+(y_{1}-b)^{2}=r^{2}$ を辺々上の式に足すと

$(x_{1}-a)(x-x_{1}+x_{1}-a)+(y_{1}-b)(y-y_{1}+y_{1}-b)=r^{2}$

$\therefore \ \boldsymbol{(x_{1}-a)(x-a)+(y_{1}-b)(y-b)=r^{2}}$

例題と練習問題

例題

例題

次の円の与えられた点における接線の方程式を求めよ.

 $(x-2)^{2}+(y+1)^{2}=25$,点 $(-1,3)$


講義

上の公式をそのまま使うだけです.


解答

$(-1-2)(x-2)+(3+1)(y+1)=25$

$\Longleftrightarrow \ -3x+4y+10=25$

$\therefore \ \boldsymbol{3x-4y+15=0}$

※ 必ずしも一般形で答えなければいけないわけではありません.

※ 数学Ⅲ既習者ならば微分による方法で出してもOKです.

練習問題

練習

次の円の与えられた点における接線の方程式を求めよ.

(1) $x^{2}+y^{2}=16$,点 $(2\sqrt{3},2)$

(2) $x^{2}+y^{2}+8x-2y+15=0$,点 $(-3,0)$

練習の解答

(1)

$2\sqrt{3}x+2y=16$

$\therefore \ \boldsymbol{\sqrt{3}x+y-8=0}$


(2)

$x^{2}+y^{2}+8x-2y+15=0$

$\Longleftrightarrow \ (x+4)^{2}+(y-1)^{2}=2$

と変形して,求める接線は

$(-3+4)(x+4)+(0-1)(y-1)=2$

$\therefore \ \boldsymbol{x-y+3=0}$