円の方程式
図形と方程式(教科書範囲) ★

円の方程式を扱います.条件を満たした円を求める問題も扱います.
円の定義と円の方程式
円は方程式で表すことで,今後解析的に扱えるようにします.
まず,円の定義を確認します.
円の定義
ある定点から等距離の点の軌跡を円という.
これより,定点 ${\rm C}(a,b)$ からの距離が $r$ である点を ${\rm P}(x,y)$ とすると

${\rm PC}=\sqrt{(x-a)^{2}+(y-b)^{2}}=r$
両辺を $2$ 乗すれば以下のように円の方程式が得られるのでまとめます.
円の方程式
中心の座標が $(a,b)$ で半径が $r$ である円の方程式は
$\boldsymbol{(x-a)^{2}+(y-b)^{2}=r^{2}}$
※ 中心が原点ときは $x^{2}+y^{2}=r^{2}$ となり,さらに半径が $1$ のときは単位円といい,$x^{2}+y^{2}=1$ となります.
上の形は見ただけで中心の座標と半径がわかるので便利ですが,上の形を変形した一般的な表記もあります.以下にまとめます.
円の方程式(基本形と一般形)
$\boldsymbol{(x-a)^{2}+(y-b)^{2}=r^{2}}$ $\cdots$ 基本形
平方完成 ⇅ 展開
$\boldsymbol{x^{2}+y^{2}+lx+my+n=0}$ $\cdots$ 一般形
※ 基本形や一般形は当サイトのネーミングとします.名称自体は重要ではありません.
一般形が円になる条件
一般形が円になる条件
一般形で書かれた式が常に円になるとは限りません.
$x^{2}+y^{2}+lx+my+n=0$
を平方完成して
$\left(x+\dfrac{l}{2}\right)^{2}+\left(y+\dfrac{m}{2}\right)^{2}=\dfrac{l^{2}+m^{2}-4n}{4}$
基本形にしたときに,右辺で $l^{2}+m^{2}-4n>0$ となるのが円になる条件です.
ある条件を満たした円を求めるときに一般形の方が求めやすいことがあります.臨機応変に活用,変形するのが大切です.
例題と練習問題
例題
例題
(1) 次の条件を満たす円の方程式を求めよ.
(ⅰ) ${\rm A}(1,0)$,${\rm B}(3,6)$ を直径の両端とする円
(ⅱ) 3点 ${\rm A}(0,0)$,${\rm B}(1,1)$,${\rm C}(-2,1)$ を通る円
(2) 方程式 $x^{2}+y^{2}-4x+6y-12=0$ はどのような図形か.
講義
(1)(ⅰ)は中心と半径を求めて基本形を用い,(ⅱ)は一般形を用います.
(2)では平方完成して基本形にします.
解答
(1)
(ⅰ)中心の座標は $(2,3)$ で半径は $\sqrt{(3-2)^{2}+(6-3)^{2}}=\sqrt{10}$ より
$\boldsymbol{(x-2)^{2}+(y-3)^{2}=10}$
(ⅱ) $x^{2}+y^{2}+lx+my+n=0$ に3点の座標を通すと
$\begin{cases}n=0 \\ 1+1+l+m+n=0 \\ 4+1-2l+m+n=0\end{cases}$
解くと $l=1$,$m=-3$,$n=0$
$\therefore \ \boldsymbol{x^{2}+y^{2}+x-3y=0}$
※ 基本形,一般形どちらで答えても構いません.
※ (ⅱ)では,$\triangle {\rm ABC}$ の外心が円の中心になるのでその座標を求めてもいいと思います.外心の座標の求め方は,①外心 ${\rm O}(a,b)$ 等とおき,3点までの距離が等しい.②直線 $\rm AB$ と直線 $\rm BC$ の垂直二等分線を出して交点が外心.ただし①,②よりも解答の方法が計算しやすいと思います.
(2)
平方完成して
$\left(x-2\right)^{2}+\left(y+3\right)^{2}=25$
これより,中心が $\boldsymbol{(2,-3)}$ であり半径が $\boldsymbol{5}$ の円.
練習問題
練習
(1) 次の条件を満たす円の方程式を求めよ.
(ⅰ) 3点 $(0,-1)$,$(0,5)$,$(7,6)$ を通る円
(ⅱ) 中心が直線 $2x-y-1=0$ 上にあって,2点 $(-2,-3)$,$(4,5)$ を通る円
(2) 方程式 $x^{2}+y^{2}+2kx-4y+5k=0$ が円を表すように定数 $k$ の値の範囲を定めよ.
練習の解答
(1)
(ⅰ) $x^{2}+y^{2}+lx+my+n=0$ に3点の座標を通すと
$\begin{cases}1-m+n=0 \\ 25+5m+n=0 \\ 49+36+7l+6m+n=0\end{cases}$
解くと $l=-8$,$m=-4$,$n=-5$
$\therefore \ \boldsymbol{x^{2}+y^{2}-8x-4y-5=0}$
(ⅱ)中心の座標を $(a,2a-1)$ とすると,2点までの距離の2乗が等しいので
$\{a-(-2)\}^{2}+\{2a-1-(-3)\}^{2}=(a-4)^{2}+(2a-1-5)^{2}$
解くと $a=1$
$\therefore \ \boldsymbol{(x-1)^{2}+(y-1)^{2}=25}$
(2)
平方完成して
$\left(x+k\right)^{2}+\left(y-2\right)^{2}=k^{2}-5k+4$
円になる条件は $k^{2}-5k+4>0$ より $\boldsymbol{k<1,4<k}$