円外の点から引いた接線
図形と方程式(教科書範囲) ★★
円の外部の点から引いた接線を扱います.円の接線の公式や点と直線の距離を使います.
解法が複数あるので,ここで整理します.
円外の点から引いた接線の求め方
円外の点から引いた接線の求め方
円外の点 $(p,q)$ から引いた接線の求め方は
Ⅰ 接点を文字でおき,それで接線を作る方法
接線に $(p,q)$ を代入
接点を円の方程式に代入
で連立して解く.
※ 接点を求めたいとき,中心が原点にあるときにオススメ.
Ⅱ 傾きを $\boldsymbol{m}$ などとして,接線を作り点と直線の距離を使う方法
接線と中心の距離 $=$ 半径
で $m$ の方程式を解く.
※ 接点を求めなくていいとき,中心が原点以外にあるときにオススメ.接線が $y$ 軸に平行な場合別で求めます.
Ⅲ 傾きを $m$ などとして,接線を作り円と連立する方法
判別式 $D=0$
で $m$ の方程式を解く.
※ 計算が大変なのでオススメしません.
Ⅳ 図形的性質で解く方法
※ 一般的でないので全員にはオススメしません.
結論としてⅠ,Ⅱの方法のみで練習しておくといいと思います.
例題と練習問題
例題
例題
次の円の,点 $\rm A$ から引いた接線の方程式と接点の座標を求めよ.
$x^{2}+y^{2}=4$,$\rm A (2,4)$
講義
接点を聞かれているので上のⅠの解法で一択でしょう.接点を聞かれていなくても中心が原点ならばⅠはオススメです.
解答
接点を $(x_{1},y_{1})$ とおくと接線は $x_{1}x+y_{1}y=4$ であり,$(2,4)$ を通るので
$2x_{1}+4y_{1}=4$
$\Longleftrightarrow \ x_{1}=2-2y_{1} \ \cdots$ ①
また,$(x_{1},y_{1})$ は円上にあるので
$x_{1}^{2}+y_{1}^{2}=4 \ \cdots$ ②
①,②を連立すると
$(2-2y_{1})^{2}+y_{1}^{2}=4$
$\Longleftrightarrow \ 5y_{1}^{2}-8y_{1}=0$
$\therefore \ y_{1}=0,\dfrac{8}{5}$
(ⅰ) $y_{1}=0$ のとき,$x_{1}=2$ より
接線 $\boldsymbol{x=2}$,接点 $\boldsymbol{(2,0)}$
(ⅱ) $y_{1}=\dfrac{8}{5}$ のとき,$x_{1}=-\dfrac{6}{5}$ より,接線は $-\dfrac{6}{5}x+\dfrac{8}{5}y=4$ となるので
接線 $\boldsymbol{-3x+4y=10}$,接点 $\boldsymbol{\left(-\dfrac{6}{5},\dfrac{8}{5}\right)}$
※ 三角関数既習者は接点を $(2\cos t,2\sin t)$ などとおいてもいいですね.
※ Ⅱで解いてもいいですが,接点の座標を後から出すようなのでオススメしません.
練習問題
練習
次の円の,点 $\rm A$ から引いた接線の方程式を求めよ.
(1) $x^{2}+y^{2}=13$,$\rm A (5,1)$
(2) $(x+2)^{2}+(y-1)^{2}=5$,$\rm A (-1,4)$
練習の解答
(1)
接点を $(x_{1},y_{1})$ とおくと接線は $x_{1}x+y_{1}y=13$ であり,$(5,1)$ を通るので
$5x_{1}+y_{1}=13$
$\Longleftrightarrow \ y_{1}=13-5x_{1} \ \cdots$ ①
また,$(x_{1},y_{1})$ は円上にあるので
$x_{1}^{2}+y_{1}^{2}=13 \ \cdots$ ②
①,②を連立すると
$x_{1}^{2}+(13-5x_{1})^{2}=13$
$\Longleftrightarrow \ 26x_{1}^{2}-130x_{1}+156=0$
$\Longleftrightarrow \ x_{1}^{2}-5x_{1}+6=0$
$\therefore \ x_{1}=2,3$
(ⅰ) $x_{1}=2$ のとき,$y_{1}=3$ より
接線 $\boldsymbol{2x+3y=13}$
(ⅱ) $x_{1}=3$ のとき,$y_{1}=-2$ より
接線 $\boldsymbol{3x-2y=13}$
※ 接点を聞かれていないので,Ⅱの解法で解いてもいいですね.
(2)
接線は $y$ 軸に平行でないので
$y=m(x+1)+4 \ \Longleftrightarrow \ mx-y+m+4=0$
とおく.これと中心 $(-2,1)$ との距離が半径なので(点と直線の距離を使うと)
$\dfrac{|-m+3|}{\sqrt{m^{2}+1}}=\sqrt{5}$
分母をはらって,$2$ 乗すると
$m^{2}-6m+9=5m^{2}+5$
$\Longleftrightarrow \ 0=4m^{2}+6m-4$
$\Longleftrightarrow \ 2m^{2}+3m-2=0$
$\therefore \ m=-2,\dfrac{1}{2}$
求める接線は
$m=-2$ のとき
$\boldsymbol{y=-2x+2}$
$m=\dfrac{1}{2}$ のとき
$\boldsymbol{y=\dfrac{1}{2}x+\dfrac{9}{2}}$
※ こちらをⅠの解法で解くと計算が大変になります.