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判別式

2次関数(教科書範囲) 

アイキャッチ

判別式とその関連問題を扱います.

判別式と2次方程式の実数解の個数

判別式

2次方程式 $ax^{2}+bx+c=0$ の解の公式

$x=\dfrac{-b\pm\sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}$

における,ルートの中身のことを判別式といい,記号 $D$ で表します.つまり

$\boldsymbol{D=b^{2}-4ac}$

※ $D$ は判別式の英語のdiscriminantの頭文字が由来です.


解の公式の中でもルートの中身が重要です.なぜならここを見るだけで実数解が何個あるのかを判別できるからです.改めて名前を付けて扱うことにします.

判別式から,2次方程式に関して以下のことが確認できます.

2次方程式の実数解の個数

2次方程式 $ax^{2}+bx+c=0$ の判別式 $D=b^{2}-4ac$ に関して

$\boldsymbol{D>0}$ のとき 異なる2つの実数解をもつ $\boldsymbol{\left(x=\dfrac{-b\pm\sqrt{D}}{2a}\right)}$

$\boldsymbol{D=0}$ のとき 重解をもつ $\boldsymbol{\left(x=\dfrac{-b}{2a}\right)}$

$\boldsymbol{D<0}$ のとき 実数解をもたない


わざわざ解の公式をすべて適用するまでもなく,判別式だけで実数解の個数を判定できる気軽さにメリットがあります.

重解というのは,2つの解が重なっている(つまり実数解は1個)という解釈になります.

判別式の省エネ型

判別式の省エネ型

2次方程式 $ax^{2}+2b'x+c=0$ の解の公式(省エネ型)

$x=\dfrac{-b'\pm\sqrt{(b')^{2}-ac}}{a}$

におけるルートの中身を,当サイトでは判別式の省エネ型と便宜的に名付けることにします.これは $D=b^{2}-4ac$ を $4$ で割ったものなので

$\boldsymbol{\dfrac{D}{4}=(b')^{2}-ac}$


解の公式(省エネ型)と同じく1次の係数が偶数なら速く算出できます.大学受験で数学を使う場合には知っておいた方がいいと思います.

例題と練習問題

例題

例題

(1) 2次方程式 $x^{2}+3x+5=0$ の実数解の個数を求めよ.

(2) 2次方程式 $x^{2}+3x+k=0$ の実数解の個数を求めよ.


講義

どちらも解の公式が適用できますが,判別式のみ計算して個数の判別をしていきます.(2)は $k$ の範囲によって場合分けをしていきます.


解答

(1)

$D=3^{2}-4\cdot1\cdot5=-11<0$

実数解をもたない


(2)

$D=3^{2}-4\cdot1\cdot k=9-4k$

$D>0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k<\dfrac{9}{4}}$ のとき,異なる2つの実数解をもつ

$D=0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k=\dfrac{9}{4}}$ のとき,重解をもつ

$D<0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k>\dfrac{9}{4}}$ のとき,実数解をもたない

練習問題

練習

(1) 2次方程式 $4x^{2}+2x-3=0$ の実数解の個数を求めよ.

(2) 2次方程式 $4x^{2}+2x+k+1=0$ の実数解の個数を求めよ.

解答

(1)

$\dfrac{D}{4}=1^{2}-4(-3)=13>0$

異なる2つの実数解をもつ


(2)

$\dfrac{D}{4}=1^{2}-4(k+1)=-4k-3$

$\dfrac{D}{4}>0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k<-\dfrac{3}{4}}$ のとき,異なる2つの実数解をもつ

$\dfrac{D}{4}=0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k=-\dfrac{3}{4}}$ のとき,重解をもつ

$\dfrac{D}{4}<0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k>-\dfrac{3}{4}}$ のとき,実数解をもたない

判別式の省エネ型を使うと事前に $4$ で割った値が出てきて楽です.