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$n$ 乗根

タイプ:教科書範囲 レベル:★★ 


アイキャッチ

$n$ 乗根とそれを用いた計算や問題について扱っていきます.

ド・モアブルの定理より,複素数の $n$ 乗計算が容易にできるのでこの問題にアプローチできます.


目次

1: n乗根

2: 例題と練習問題


$n$ 乗根

自然数 $n$ と複素数 $\alpha$ に対して,$z^{n}=\alpha$ を満たす複素数 $z$ を $\boldsymbol{n}$ 乗根といいます.

まず $\alpha=1$,$n=3$ のとき,つまり $1$ の $3$ 乗根を考えます.

$z^{3}=1 \ \Longleftrightarrow \ (z-1)(z^{2}+z+1)=0$

$\therefore \ z=1,\dfrac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}$

となります.このように $3$ 次方程式の解法で既に解くことができます.

しかし $\alpha=1$,$n=5$ のとき,つまり $1$ の $5$ 乗根はどうでしょう.

$z^{5}=1 \ \Longleftrightarrow \ (z-1)(z^{4}+z^{3}+z^{2}+z+1)=0$

少し大変そうなので別の方法を考えます.

解法

先程の $z^{5}=1$ を考えます.$z$ は複素数なので極形式( $z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$ )でおくことができるはずです.まず,$r$ の値は

$|z^{5}|=|z|^{5}=1$

より,$|z|$ は正の実数なので $r=|z|=1$ となります.

$z=\cos\theta+i\sin\theta$ $(0\leqq\theta<2\pi)$

とおけるので,ド・モアブルの定理より

$z^{5}=\cos5\theta+i\sin5\theta=1$

となるので

$\begin{cases}\cos5\theta=1 \\ \sin5\theta=0\end{cases}$

となります.この後が重要ですが

$5\theta=2k\pi$ ( $k$ は整数)

のように,一般角で表現するのが大切です.$0\leqq\theta<2\pi$ より

$\theta=\dfrac{2k\pi}{5}$ ( $k=0,1,2,3,4$ )

と定まるので求める解は

$z=\cos\dfrac{2k\pi}{5}+i\sin\dfrac{2k\pi}{5}$ ( $k=0,1,2,3,4$ )

となります.これは下のように単位円を $5$ 等分する点になっています.

5乗根の図

一般に,$1$ の $n$ 乗根は単位円を $n$ 等分する点になっています.

例題と練習問題

例題

例題

次の方程式を解け.

(1) $z^{6}=1$

(2) $z^{4}=-8+8\sqrt{3}i$


講義

(1)は $1$ の $6$ 乗根です.(2)は一般の複素数の $4$ 乗根の問題です.


解答

(1)

$|z^{6}|=|z|^{6}=1$ より,$|z|=1$.

$z=\cos\theta+i\sin\theta$ $(0\leqq\theta<2\pi)$

とおくと

$z^{6}=\cos6\theta+i\sin6\theta=1$

となるので

$6\theta=2k\pi$ ( $k$ は整数)

となる.$0\leqq\theta<2\pi$ より

$\theta=\dfrac{2k\pi}{6}=\dfrac{k}{3}\pi$ ( $k=0,1,2,3,4,5$ )

となるから,解は

$z=\cos\dfrac{k}{3}\pi+i\sin\dfrac{k}{3}\pi$ ( $k=0,1,2,3,4,5$ )

より

 $\boldsymbol{z=1,\dfrac{1}{2}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}i,-\dfrac{1}{2}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}i,}$

   $\boldsymbol{-1,-\dfrac{1}{2}-\dfrac{\sqrt{3}}{2}i,\dfrac{1}{2}-\dfrac{\sqrt{3}}{2}i}$


(2)

$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$ $(0\leqq\theta<2\pi)$

とおくと

$z^{4}=r^{4}(\cos4\theta+i\sin4\theta)=16\left(\cos\dfrac{2}{3}\pi+i\sin\dfrac{2}{3}\pi\right)$

両辺の絶対値と偏角を比較して

$r^{4}=16$,$4\theta=\dfrac{2}{3}\pi+2k\pi$ ( $k$ は整数)

$\therefore \ r=2$,$\theta=\dfrac{\pi}{6}+\dfrac{k}{2}\pi$ ( $k$ は整数)

となる.$0\leqq\theta<2\pi$ より $k=0,1,2,3$.このときの解をそれぞれ $z_{1}$,$z_{2}$,$z_{3}$,$z_{4}$ とすると

$z_{1}=\cos\dfrac{\pi}{6}+i\sin\dfrac{\pi}{6}=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{3}}{2}+\dfrac{1}{2}i}$

$z_{2}=\cos\dfrac{2}{3}\pi+i\sin\dfrac{2}{3}\pi=\boldsymbol{-\dfrac{1}{2}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}i}$

$z_{3}=\cos\dfrac{7}{6}\pi+i\sin\dfrac{7}{6}\pi=\boldsymbol{-\dfrac{\sqrt{3}}{2}-\dfrac{1}{2}i}$

$z_{4}=\cos\dfrac{5}{3}\pi+i\sin\dfrac{5}{3}\pi=\boldsymbol{\dfrac{1}{2}-\dfrac{\sqrt{3}}{2}i}$

練習問題

練習

次の方程式を解け.

$z^{3}=-2+2i$

練習の解答