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ロルの定理,平均値の定理

微分(数学Ⅲ)(教科書範囲) ★★★


アイキャッチ

平均値の定理と,その証明に必要なロルの定理の証明もします.

高校数学では平均値の定理は,問題を解く道具として扱われることが多いので,関連問題も扱います.



テイラーの定理までの大まかな流れ

大学の微分においては,テイラーの定理(テイラー展開)が重要で,高校数学でもその導入として平均値の定理を扱うことになっています.

参考までに,テイラーの定理までの証明の流れを書きました.

ポイント


最大値・最小値の定理は一見自明なように思えますが、証明が難しく,これさえ一旦認めればそれ以降はそこまで高難度ではないので高校生でも理解できます.

このページでは,平均値の定理と,その証明に必要なロルの定理を以下で扱っていきます.

ロルの定理とその証明

ポイント

ロルの定理

ロルの定理

閉区間 $[a,b]$ で連続でかつ開区間 $(a,b)$ で微分可能である関数 $f(x)$ に対して,等式

$f(a)=f(b)=0$

が成り立つならば

$f'(c)=0$, $a< c< b$

を満たす実数 $c$ が存在する.


$x$ 軸と平行になる微分係数をもつ(微分係数が $0$ になる) $c$ を少なくとも1つ(上の図の場合は2つ)もつという定理です.

$c$ の具体的な値までは教えてくれません.

証明

最大値・最小値の定理の証明が難しいのであって,ロルの定理の証明自体にはそこまで高度な考え方は使いません.

(ⅰ)区間 $[a,b]$ で常に $f(x)=0$ のとき

$a< x< b$ を満たすすべての実数 $x$ に対して $f'(x)=0$ である.したがって,$a< x< b$ を満たす任意の実数 $c$ が条件を満たす.

(ⅱ)区間 $(a,b)$ に $f(x_{0})>0$ $(a< x_{0}< b)$ を満たす実数 $x_{0}$ があるとき

関数 $f(x)$ は閉区間 $[a,b]$ で連続であるから,最大値・最小値の定理より,$f(x)$ が最大値をとる $c$ が $[a,b]$ 上に存在する.このとき

$f(c) \geqq f(x)$,$a \leqq x \leqq b$

が成り立つ.

さらに $f(x_{0})>0$ となる $x_{0}$ が $(a,b)$ 上に存在するので,$f(c) > 0$ である.$f(a)=f(b)=0$ であるから $c \neq a,b$ である.したがって $c$ は $(a,b)$ 上に存在する.この $c$ が $f'(c)=0$ を満たすことを示す.

関数 $f(x)$ は $x=c$ において微分可能なので

$\displaystyle f'(c)=\lim_{x\to c}\dfrac{f(x)-f(c)}{x-c}$

が成り立つ.

① $x>c$ のとき,$\dfrac{f(x)-f(c)}{x-c}\leqq0$ なので

$\displaystyle f'(c)=\lim_{x\to c+0}\dfrac{f(x)-f(c)}{x-c}\leqq0$

② $x<c$ のとき,$\dfrac{f(x)-f(c)}{x-c}\geqq0$ なので

$\displaystyle f'(c)=\lim_{x\to c-0}\dfrac{f(x)-f(c)}{x-c}\geqq0$

①,②より $f'(c)$ が存在するためには,$f'(c)=0$ でなければならない.

(ⅲ)区間 $(a,b)$ に $f(x_{0})<0$ $(a< x_{0}< b)$ を満たす実数 $x_{0}$ があるとき

関数 $f(x)$ は閉区間 $[a,b]$ で連続であるから,最大値・最小値の定理より,$f(x)$ が最小値をとる $c$ が $[a,b]$ 上に存在する.後は(ⅱ)と同様にして $f'(c)=0$ であることが言える.


平均値の定理とその証明

ポイント

平均値の定理

平均値の定理

閉区間 $[a,b]$ で連続でかつ開区間 $(a,b)$ で微分可能である関数 $f(x)$ に対して,等式

$\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)$, $a< c< b$

を満たす実数 $c$ が存在する.


赤い点線の傾き( $a$ から $b$ までの平均変化率)と等しくなる微分係数をもつ $c$ を少なくとも1つ(上の図の場合は2つ)もつという定理です.

ロルの定理と同様に $c$ の具体的な値までは教えてくれません.



証明

ロルの定理を適用できるように関数を置き換えてロルの定理を使うだけです.

定数 $k$ を

$k=\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}$

によって定める.関数 $g(x)$ を

$g(x)=f(x)-f(a)-k(x-a)$

と定義する.このとき,関数 $f(x)$ の条件から,関数 $g(x)$ は閉区間 $[a,b]$ で連続でかつ開区間 $(a,b)$ で微分可能である.さらに

$g(a)=f(a)-f(a)-k\cdot 0=0$

$g(b)=f(b)-f(a)-k(b-a)=0$

が成り立つので,ロルの定理より

$g'(c)=0$, $a< c< b$

を満たす実数 $c$ が存在する.ここで,$g'(x)=f'(x)-k$ より

$g'(c)=f'(c)-k=0$

$\therefore \ f'(c)=k=\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}$

が成り立つ.

例題と練習問題

例題

例題

$ 0 < a < b $ のとき

$\displaystyle a\left(\log b-\log a\right)+a-b < 0$

を示せ.


講義

2変数の不等式の証明問題に平均値の定理が有効なことがあります(例題のみリンク先と共通です).$\boldsymbol{f(a)-f(b)}$ の形が見えたら平均値の定理による解法が楽で有効な手立てとなることが多いです.


解答

$f(x)=\log x$ とおくと,平均値の定理より

$\displaystyle \begin{cases}\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}=\dfrac{1}{c} \\ a < c < b \end{cases}$

を満たす実数 $c$ が存在.これより

$\dfrac{\log b-\log a}{b-a}=\dfrac{1}{c}< \dfrac{1}{a}$

$a(b-a)$ 倍すると

$\displaystyle a(\log b-\log a) < b-a$

$\displaystyle \therefore \ a(\log b-\log a)+a-b < 0$

練習問題

練習1

$e\leqq a< b$ のとき

$b(\log_{}b)^{2}-a(\log_{}a)^{2}\geqq 3(b-a)$

を示せ.


練習2 (微分既習者向け)

関数 $f(x)$ を

$f(x)=\dfrac{1}{2}x\left\{1+e^{-2(x-1)}\right\}$

とする.ただし,$e$ は自然対数の底である.

(1) $x>\dfrac{1}{2}$ ならば $0\leqq f'(x)<\dfrac{1}{2}$ であることを示せ.

(2) $x_{0}$ を正の数とするとき,数列 $\{x_{n}\}$ $(n=0,1,\cdots)$ を $x_{n+1}=f(x_{n})$ によって定める.$x_{0}>\dfrac{1}{2}$ であれば

$\displaystyle \lim_{n \to \infty}x_{n}=1$

であることを示せ.

練習1の解答

$f(x)=x(\log x)^{2}$ とおくと,平均値の定理より

$\displaystyle \begin{cases}\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)=(\log c)^{2}+2\log c \\ e\leqq a < c < b \end{cases}$

を満たす実数 $c$ が存在.これより

 $\dfrac{b(\log b)^{2}-a(\log a)^{2}}{b-a}$

$=(\log c)^{2}+2\log c$

$=(\log c+1)^{2}-1\geqq 3$ $\because c\geqq e$

$\displaystyle \therefore \ b(\log_{}b)^{2}-a(\log_{}a)^{2}\geqq 3(b-a)$

2変数の不等式の証明問題にはこの問題はないので,1文字固定など他の解法も是非考えてみてください.


練習2の解答 出典:2005年東大理系

一般項が出せない漸化式の極限には,平均値の定理が有効なことが多いです.

(1)

 $f'(x)$

$=\dfrac{1}{2}\left\{1+e^{-2(x-1)}\right\}+\dfrac{x}{2}\left\{-2e^{-2(x-1)}\right\}$

$=\dfrac{1}{2}\left\{1+e^{-2(x-1)}-2xe^{-2(x-1)}\right\}$

 $f''(x)$

$=2(x-1)e^{-2(x-1)}$

増減表は

$x$ $\cdots$ $\dfrac{1}{2}$ $\cdots$ $1$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $\dfrac{1}{2}$ $+$ $0$ $+$
$f''(x)$ $-$ $-$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ ↗︎ ↗︎ ↗︎ $1$ ↗︎

$\displaystyle \lim_{x\to \infty}f'(x)=\dfrac{1}{2}$ と増減表より,$x>\dfrac{1}{2}$ ならば $0\leqq f'(x)<\dfrac{1}{2}$ である.


(2)

(2)の図

$x_{0}>\dfrac{1}{2}$ と図より,$\dfrac{1}{2}< x_{n} < 1$ となることは明らか.$f(x)$ に平均値の定理を適用すると

$\displaystyle \begin{cases}\dfrac{f(1)-f(x_{n})}{1-x_{n}}=f'(c) \\ \dfrac{1}{2}< x_{n} < c < 1 \end{cases}$

を満たす実数 $c$ が存在.これより

$1-x_{n+1}=f'(c)(1-x_{n})$

(1)より

$1-x_{n+1}\leqq \dfrac{1}{2}(1-x_{n})$

が得られるので,これを繰り返し適用すると

$0<1-x_{n}\leqq \left(\dfrac{1}{2}\right)^{n}(1-x_{0})$

ここで,$\displaystyle \lim_{n\to \infty}\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n}(1-x_{0})=0$ より

$\displaystyle \lim_{n \to \infty}(1-x_{n})=0$

$\displaystyle \therefore \ \lim_{n \to \infty}x_{n}=1$