関数が連続であるとは
極限(教科書範囲) ★★
関数の連続性と最大値・最小値の定理について扱います.
関数の連続の定義と例
関数の連続の定義
$a$ を関数 $f(x)$ の定義域に属する値とするとき,関数 $f(x)$ が $x=a$ で連続であるとは
$\boldsymbol{\displaystyle \lim_{x \to a}f(x)=f(a)}$
が成り立つことである.
すなわち
Ⅰ $\displaystyle \lim_{x \to a+0}f(x)=\lim_{x \to a-0}f(x)$ より $\displaystyle \lim_{x \to a}f(x)$ が存在
Ⅱ $f(a)$ が定義されている
Ⅲ $\displaystyle \lim_{x \to a}f(x)=f(a)$
という3点の確認が必要です.
極限が存在するということは,右側極限と左側極限が等しいことが必要です.そして $a$ で関数が定義され,その極限値をとればOKです.
端的に言えば,繋がっている状態であれば連続です.
しかし数式を用いてきちんと連続であることを説明できることが数学では重要です.
関数の連続,不連続の例
・$f(x)=-x^{2}+4$ は $x=1$ で連続か.
$\displaystyle \ \lim_{x \to 1}(-x^{2}+4)=f(1)=3$ より連続.
・$f(x)=\dfrac{x^{2}+3x+2}{x+1}$ は $x=-1$ で連続か.
$\displaystyle \ \lim_{x \to -1}\dfrac{x^{2}+3x+2}{x+1}=1$ は存在するが,$f(-1)$ が存在しないので不連続.
・$f(x)=\dfrac{x^{2}-x}{|x|}$ は $x=0$ で連続か.
$\displaystyle \ \lim_{x \to +0}\dfrac{x^{2}-x}{|x|}=\lim_{x \to +0}\dfrac{x^{2}-x}{x}=\lim_{x \to +0}(x-1)=-1$
$\displaystyle \ \lim_{x \to -0}\dfrac{x^{2}-x}{|x|}=\lim_{x \to -0}\dfrac{x^{2}-x}{-x}=\lim_{x \to -0}(-x+1)=1$
$\displaystyle \ \lim_{x \to 0}\dfrac{x^{2}-x}{|x|}$ が存在しないので(なんなら $f(0)$ も存在しないので)不連続.
最大値・最小値の定理
定理で主張していることが当たり前に思えて,大学受験生は名前すら知らない人が多いと思いますし,知らなくていいと思います.しかし,ロルの定理の厳密な証明に必要など,大学以降,数学に厳密に向き合う場合には重要な定理です.
最大値・最小値の定理
閉区間 $[a,b]$ において,連続な関数 $f(x)$ は,$[a,b]$ において最大値および最小値をもつ.
連続関数であれば必ず最大値と最小値をともにもつことが重要です.逆に言えば連続関数でなければ,最大値,最小値をもたない場合があります.
例えば $y=\dfrac{1}{x^2}$ は閉区間 $[-1,1]$ において不連続ですが,最小値はもちますが最大値はもちません.
ちなみに定理の証明は大学レベルです.ボルツァノワイエルシュトラスの定理を使いますが,少し高度なので,現時点では割愛します.
例題と練習問題
例題
例題
$f(x)=\begin{cases}\dfrac{|x^{2}-x|}{x} \ \ (x\neq 0) \\ \hspace{0.1mm} \\ 0 \ \hspace{15mm} (x=0) \end{cases}$
の $x=0$,$x=1$ での連続性についてそれぞれ調べよ.
講義
まずは $x=0$,$x=1$ での右側極限,左側極限から調べていきます.
解答
$\displaystyle \lim_{x \to +0}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}$
$\displaystyle =\lim_{x \to +0}\dfrac{-x^{2}+x}{x}$
$\displaystyle =\lim_{x \to +0}(-x+1)=1$
$\displaystyle \lim_{x \to -0}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}$
$\displaystyle =\lim_{x \to -0}\dfrac{x^{2}-x}{x}$
$\displaystyle =\lim_{x \to -0}(x-1)=-1$
すなわち $\displaystyle \lim_{x \to +0}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}\neq\lim_{x \to -0}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}$ より $x=0$ での極限が存在しないので,$\boldsymbol{x=0}$ では不連続.
$\displaystyle \lim_{x \to 1+0}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}$
$\displaystyle =\lim_{x \to 1+0}\dfrac{x^{2}-x}{x}$
$\displaystyle =\lim_{x \to 1+0}(x-1)=0$
$\displaystyle \lim_{x \to 1-0}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}$
$\displaystyle =\lim_{x \to 1-0}\dfrac{-x^{2}+x}{x}$
$\displaystyle =\lim_{x \to 1-0}(-x+1)=0$
すなわち $\displaystyle \lim_{x \to 1+0}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}=\lim_{x \to 1-0}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}=\lim_{x \to 1}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}=0$
また $f(1)=0$ より $\displaystyle \lim_{x \to 1}\dfrac{|x^{2}-x|}{x}=f(1)$ から,$\boldsymbol{x=1}$ で連続.
練習問題
練習
関数 $f(x)=\displaystyle \lim_{n \to \infty}\dfrac{x^{2n+1}+ax^{2}+bx-2}{x^{2n}+1}$ が $x$ の連続関数となるとき,定数 $a$,$b$ の値を求めよ.
練習の解答
$|x|>0$ のとき
$f(x)$
$=\displaystyle \lim_{n \to \infty}\dfrac{x+\dfrac{a}{x^{2n-2}}+\dfrac{b}{x^{2n-1}}-\dfrac{2}{x^{2n}}}{1+\dfrac{1}{x^{2n}}}$
$\displaystyle =x$
より
$f(x)=\begin{cases}ax^{2}+bx-2 \ \ (-1< x<1) \\ x \ \hspace{21mm} \ (x<-1,1<x) \\ \dfrac{1}{2}(a+b-1) \ (x=1) \\ \dfrac{1}{2}(a-b-3) \ (x=-1)\end{cases}$
$f(x)$ が $x=1$ で連続なので
$\displaystyle \lim_{x \to 1+0}f(x)=\lim_{x \to 1-0}f(x)=f(1)$
$\displaystyle \Longleftrightarrow \ 1=a+b-2=\dfrac{1}{2}(a+b-1)$
$\displaystyle \Longleftrightarrow \ a+b=3$
$f(x)$ が $x=-1$ で連続なので
$\displaystyle \lim_{x \to -1+0}f(x)=\lim_{x \to -1-0}f(x)=f(-1)$
$\displaystyle \Longleftrightarrow \ a-b-2=-1=\dfrac{1}{2}(a-b-3)$
$\displaystyle \Longleftrightarrow \ a-b=1$
以上より
$\boldsymbol{a=2,b=1}$