対数関数
指数・対数(教科書範囲) ★★

対数関数と大小比較の問題を扱います.
対数関数とグラフ
対数関数
$a>0$,$a\neq1$ とするとき
$\boldsymbol{y=\log_{a}x}$
を $a$ を底とする $x$ の対数関数という.
対数の定義より,$y=\log_{a}x \Longleftrightarrow x=a^{y}$ なので,指数関数 $y=a^{x}$ と $x$ と $y$ を入れ替えただけのグラフになります.これらは逆関数の関係にあります.
対数関数のグラフ
先述したように,対数関数 $y=\log_{a}x$ のグラフは,指数関数 $y=a^{x}$ の逆関数であること(直線 $y=x$ に関して対称)であることを考えると容易にわかります.
対数関数のグラフ
$a>1$ のとき

$0<a<1$ のとき

上のグラフは今後も数学を学ぶ上で記憶しておくと楽になります.
対数関数の性質
グラフの形状等を踏まえ,以下の性質が確認できます.
対数関数の性質
対数関数 $f(x)=\log_{a}x$ $(a>0$,$a\neq1)$ は以下の性質をもつ.
Ⅰ 定義域は正の実数全体(真数条件),値域は実数全体.
Ⅱ $a >1$ のときは単調増加であり,$0<a<1$ のときは単調減少である.
Ⅲ $y=\log_{a}x$ は常に $(1,0)$ を通る.$y$ 軸が漸近線.
例題と練習問題
例題
例題
(1) $y=\log_{2}(x-2)-1$ のグラフは $\log_{2}x$ をどのように平行移動したグラフか.
(2) $\log_{4}23$,$\log_{2}5$ の大小を調べよ.
講義
(1)では関数の平行移動の公式に当てはめて判断します.
(2)のような大小比較の問題では,底か真数を揃えて比較するのが方針になります.底の調整には底の変換公式を使います.
解答
(1)
$f(x)=\log_{2}x$ とすると
$y=\log_{2}(x-2)-1=f(x-2)-1$
より, $\boldsymbol{x}$ 軸方向に $\boldsymbol{2}$,$\boldsymbol{y}$ 軸方向に $\boldsymbol{-1}$ 平行移動した.
(2)
$\log_{4}23=\dfrac{\log_{2}23}{\log_{2}4}=\dfrac{1}{2}\log_{2}23=\log_{2}\sqrt{23}<\log_{2}\sqrt{25}$ より
$\boldsymbol{\log_{4}23<\log_{2}5}$
練習問題
練習
次の数の大小をそれぞれ調べよ.
(1) $\log_{4}9$,$\log_{9}25$,$\log_{5}4$,$\dfrac{3}{2}$,$\log_{\frac{1}{2}}16$
(2) $\dfrac{1}{2}$,$\log_{a}b$,$\log_{b}a$,$\log_{a}\dfrac{a}{b}$,$\log_{b}\dfrac{b}{a}$ (ただし $1<a<b<a^2$ )
練習の解答
(1)
$\log_{5}4<1$,$\log_{\frac{1}{2}}16<0$ より残りを比較する.
$\dfrac{3}{2}=\log_{4}4^{\frac{3}{2}}=\log_{4}8<\log_{4}9$
$\dfrac{3}{2}=\log_{9}9^{\frac{3}{2}}=\log_{9}27>\log_{9}25$
より
$\boldsymbol{\log_{\frac{1}{2}}16<\log_{5}4<\log_{9}25<\dfrac{3}{2}<\log_{4}9}$
(2)
$1<a<b<a^2$ より
$\log_{a}a<\log_{a}b<\log_{a}a^2$
$\therefore \ 1<\log_{a}b<2$
$\log_{b}a=\dfrac{1}{\log_{a}b}$ より
$\dfrac{1}{2}<\log_{b}a<1$
$\log_{a}\dfrac{a}{b}=1-\log_{a}b$ より,$-2<-\log_{a}b<-1$ のすべての辺に $1$ をたすと
$-1<\log_{a}\dfrac{a}{b}<0$
$\log_{b}\dfrac{b}{a}=1-\log_{b}a$ より,$-1<-\log_{b}a<-\dfrac{1}{2}$ のすべての辺に $1$ をたすと
$0<\log_{b}\dfrac{b}{a}<\dfrac{1}{2}$
以上より
$\boldsymbol{\log_{a}\dfrac{a}{b}<\log_{b}\dfrac{b}{a}<\log_{b}a<\log_{a}b}$