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単調増加(減少)と関数の増減

微分(数学Ⅱ,Ⅲ)(教科書範囲) 

アイキャッチ

数学Ⅱ,数学Ⅲ共通ページです.

単調増加・単調減少の定義と性質を紹介し,関数の増減の問題を扱います.

数学Ⅱの微分を勉強中の方は,2章までです.

単調増加(減少)の定義と性質

単調増加(減少)の定義

関数 $f(x)$ が,ある区間 $I$ で

接線と法線の図

$x_{1},x_{2}\in I$,$x_{1}< x_{2}$ $\Longrightarrow$ $f(x_{1})< f(x_{2})$

が成り立つとき,単調に増加するといい

接線と法線の図

$x_{1},x_{2}\in I$,$x_{1}< x_{2}$ $\Longrightarrow$ $f(x_{1})> f(x_{2})$

が成り立つとき,単調に減少するという.

※ $x_{1},x_{2}\in I$,$x_{1}< x_{2}$ $\Longrightarrow$ $f(x_{1})\leqq f(x_{2})$ のときも単調増加といい,強調したいときは広義単調増加と言うことがあります.減少に関しても同様です.


この定義から次の性質が証明できます.ただし証明の理解には数学Ⅲの平均値の定理が必要です.

単調増加(減少)と導関数の関係

関数 $f(x)$ が,ある区間 $I$ で

常に $\boldsymbol{f'(x)>0}$ $\boldsymbol{\Longrightarrow}$ $\boldsymbol{f(x)}$ は $\boldsymbol{I}$ で単調増加

常に $\boldsymbol{f'(x)<0}$ $\boldsymbol{\Longrightarrow}$ $\boldsymbol{f(x)}$ は $\boldsymbol{I}$ で単調減少

常に $\boldsymbol{f'(x)=0}$ $\boldsymbol{\Longrightarrow}$ $\boldsymbol{f(x)}$ は $\boldsymbol{I}$ で定数

※ $f'(x)> 0$ ではなく $f'(x)\geqq 0$ でも単調増加といい,強調したいときは広義単調増加と言うことがあります.減少に関しても同様です.

単調増加の場合を示します(単調減少の場合も同様です).

単調増加の場合の証明

$x_{1},x_{2}\in I$ $(x_{1}< x_{2})$ をとると,平均値の定理より

$f(x_{2})-f(x_{1})=f'(c)(x_{2}-x_{1})$

を満たす実数 $c$ $(x_{1}< c < x_{2})$ が存在する.右辺が正なので,左辺も正.つまり $f(x_{2})> f(x_{1})$.

$f(x)$ は単調に増加する.


定数の場合の証明

$x_{1},x_{2}\in I$ $(x_{1}< x_{2})$ をとると,平均値の定理より

$f(x_{2})-f(x_{1})=f'(c)(x_{2}-x_{1})$

を満たす実数 $c$ $(x_{1}< c < x_{2})$ が存在する.$f'(c)=0$ なので,左辺も $0$.つまり $f(x_{2})=f(x_{1})$.

$f(x)$ は定数.


接線の傾きで考えれば直感的には当たり前ですね.最初は上の事実だけ知っていれば問題ありません.

例題と練習問題(数学Ⅱ)

例題

例題

次の関数の増減を調べよ.

$f(x)=x^{3}-3x$


講義

$f'(x)$ を求めます.増減表を書くと採点者にもわかりやすく主張できます.


解答

$f'(x)=3x^{2}-3=3(x+1)(x-1)$ より

増減表は

$x$ $\cdots$ $-1$ $\cdots$ $1$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ ↗︎ $f(-1)$ ↘︎ $f(1)$ ↗︎

$\boldsymbol{x<-1,1<x}$ のとき,単調増加.

$\boldsymbol{-1<x<1}$ のとき,単調減少.

練習問題

練習1

次の関数の増減を調べよ.

$f(x)=x^{3}-6x^{2}+12x-8$

練習1の解答

$f'(x)=3x^{2}-12x+12=3(x-2)^{2}\geqq 0$ より

常に単調増加.

※ $f'(x)=0$ を満たす点が連続しないならば,単調増加の定義である $x_{1},x_{2}\in I$,$x_{1}< x_{2}$ $\Longrightarrow$ $f(x_{1})< f(x_{2})$ を満たすので単調増加になります.

練習問題(数学Ⅲ)

練習2

次の関数の増減を調べよ.

$f(x)=\dfrac{1}{2}x^{2}-\log x$

練習2の解答

真数条件より定義域が $x>0$ なので注意です.

$f'(x)=x-\dfrac{1}{x}=\dfrac{(x+1)(x-1)}{x}$ より

増減表は

$x$ $0$ $\cdots$ $1$ $\cdots$
$f'(x)$ × $-$ $0$ $+$
$f(x)$ × ↘︎ $f(1)$ ↗︎

$\boldsymbol{x>1}$ のとき,単調増加.

$\boldsymbol{x<1}$ のとき,単調減少.