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底の変換公式

指数・対数(教科書範囲) ★★

アイキャッチ

底の変換公式と関連問題を扱います.

底の変換公式

例えば

$\log_{2}7$

という値を計算したいとします.ほとんどの計算機では底が $10$ や $e$ (数学Ⅲの $e$ の定義)だと計算可能ですし,前者は常用対数表に記載もあります.つまり底を変換して計算できると好都合です.

$\log_{2}7=\dfrac{\log_{10}7}{\log_{10}2}$

のように以下で紹介する底の変換公式を使えば,上のように都合のいい底に(実用上は $10$ か $e$ が多い)変換することができます.

底の変換公式

$\boldsymbol{\log_{a}b=\dfrac{\log_{c}b}{\log_{c}a}}$

特に $c=b$ とすると

$\boldsymbol{\log_{a}b=\dfrac{1}{\log_{b}a}}$

証明

上の式のみを示します.

$\log_{a}b=p$ とすると,$a^{p}=b$.これに両辺 $c$ を底とする対数をとると

$\log_{c}a^{p}=\log_{c}b$

左辺を変形すると

$p\log_{c}a=\log_{c}b$

$\therefore \ p=\log_{a}b=\dfrac{\log_{c}b}{\log_{c}a}$


常用対数や $e$ 以外では,底は素数にすると扱いやすく簡単な形となるので,その変換によく使います.例えば,$\log_{4}5=\dfrac{\log_{2}5}{\log_{2}4}=\dfrac{1}{2}\log_{2}5$ のようにする慣習があります.

例題と練習問題

例題

例題

次の式を簡単にせよ.

(1) $\log_{8}32$

(2) $(\log_{9}2+\log_{27}2)\log_{2}3$


講義

底の変換公式を使っていきます.底は式で登場している素因数に変換すべきです.


解答

(1)

 $\log_{8}32$

$=\dfrac{\log_{2}32}{\log_{2}8}$

$=\boldsymbol{\dfrac{5}{3}}$


(2)

 $(\log_{9}2+\log_{27}2)\log_{2}3$

$=\left(\dfrac{\log_{2}2}{\log_{2}9}+\dfrac{\log_{2}2}{\log_{2}27}\right)\log_{2}3$

$=\left(\dfrac{1}{2\log_{2}3}+\dfrac{1}{3\log_{2}3}\right)\log_{2}3$

$=\boldsymbol{\dfrac{5}{6}}$

※ 底は $3$ に変換しても解けますが,式で登場している小さい素因数にするのが目安です.

練習問題

練習

(1) $(\log_{2}125+\log_{8}25)(\log_{5}4+\log_{25}2)$ を簡単にせよ.

(2) $\log_{10}2=a$,$\log_{10}3=b$ とおくとき,$\log_{15}\sqrt[5]{48}$ を $a$ と $b$ で表せ.

練習の解答

(1)

 $(\log_{2}125+\log_{8}25)(\log_{5}4+\log_{25}2)$

$=\left(3\log_{2}5+\dfrac{\log_{2}25}{\log_{2}8}\right)\left(\dfrac{\log_{2}4}{\log_{2}5}+\dfrac{\log_{2}2}{\log_{2}25}\right)$

$=\left(3\log_{2}5+\dfrac{2\log_{2}5}{3}\right)\left(\dfrac{2}{\log_{2}5}+\dfrac{1}{2\log_{2}5}\right)$

$=\left(\dfrac{11}{3}\log_{2}5\right)\left(\dfrac{5}{2\log_{2}5}\right)$

$=\boldsymbol{\dfrac{55}{6}}$


(2)

 $\log_{15}\sqrt[5]{48}$

$=\dfrac{\log_{10}\sqrt[5]{48}}{\log_{10}15}$

$=\dfrac{\dfrac{1}{5}\log_{10}2^{4}\cdot 3}{\log_{10}\dfrac{3\cdot10}{2}}$

$=\dfrac{4\log_{10}2+\log_{10}3}{5(\log_{10}3+\log_{10}10-\log_{10}2)}$

$=\boldsymbol{\dfrac{4a+b}{5(b+1-a)}}$

※ 常用対数は常用対数表に記載されているので,電子計算機がない時代は常用対数表をもとに対数の値を手計算で行っていたようです.