3次不等式
微分(数学Ⅱ)(入試の標準) ★★
3次不等式について扱います.4次不等式以上も考え方は同じです.検定教科書の範囲外ですが,もしどこかで出たとき(数学Ⅲの分数関数を含む不等式等)に対応できるようにしたいです.
因数定理と3次関数のグラフを書く知識があると全体の内容が理解できます.
3次不等式の解き方
2次不等式と同様に,3次不等式はグラフで考えるのが基本になります.
Ⅰの方がビジュアル的に解けてわかりやすいのでグラフの知識がある方はオススメです.3次方程式は必ず1つは実数解をもつので(3次関数のグラフから明らか),不等式の解も必ず存在します.
Ⅱでは3次関数のグラフの知識は不要です.
例題と練習問題
例題
例題
次の3次不等式を解け.
(1) $x^{3}+6x^{2}+11x+6 <0$
(2) $x^{3}-3x-18 < 0$
講義
因数定理でまずは因数分解します.その後は式や3次関数のグラフ等から判断します.別解で因数の正負を記述した表で解きます.
解答
(1)
因数分解して
$(x+3)(x+2)(x+1)<0$
グラフから判断すると
$\boldsymbol{x<-3,-2<x<-1}$
※ 極値は出さなくてもいいですが,$y'=3x^{3}+12x+11=0$ の判別式 $D>0$ より極値をもつことはわかります.つまり3次関数の分類での①のグラフになることは認知する必要があります.
別解
$x$ | $\cdots$ | $-3$ | $\cdots$ | $-2$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
$x+3$ | $-$ | $0$ | $+$ | $+$ | $+$ | $+$ | $+$ |
$x+2$ | $-$ | $-$ | $-$ | $0$ | $+$ | $+$ | $+$ |
$x+1$ | $-$ | $-$ | $-$ | $-$ | $-$ | $0$ | $+$ |
$(x+3)(x+2)(x+1)$ | $\color{red}{-}$ | $0$ | $+$ | $0$ | $\color{red}{-}$ | $0$ | $+$ |
以上より
$\boldsymbol{x<-3,-2<x<-1}$
※ 表を書くのは面倒ですが,グラフの知識は不要です.
(2)
因数分解して
$(x-3)(x^{2}+3x+6)<0$
$x^{2}+3x+6=\left(x+\dfrac{3}{2}\right)^{2}+\dfrac{15}{4}>0$ より,両辺 $x^{2}+3x+6$ で割ると
$x-3<0$
$\therefore \ \boldsymbol{x<3}$
※ $y=x^{3}-3x-18$ のグラフを書いてもわかりすいですが,そこまでする必要はありません.
練習問題
練習
次の3次不等式を解け.
(1) $x^{3}+4x^{2}+x-6 >0$
(2) $x^{3}+3x^{2}-4 \geqq 0$
解答
(1)
因数分解して
$(x+3)(x+2)(x-1)>0$
グラフから判断すると
$\boldsymbol{-3<x<-2,1<x}$
(2)
因数分解して
$(x-1)(x+2)^{2}\geqq0$
$x=-2$ は上の不等式を満たすので解である.$x\neq-2$ のとき 両辺 $(x+2)^{2}$ で割ると
$x-1\geqq0$
$\therefore \ x\geqq 1$
まとめると
$\boldsymbol{x=-2,x\geqq 1}$