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3次関数の分類と点対称性

微分(数学Ⅱ)(入試の標準) ★★★

アイキャッチ

2次関数は上に凸と下に凸のグラフの2種類ありますが,同じように3次関数のグラフについて知っていないと入試で不利です.

3次関数はグラフの種類が6種類あるのですが,ここで整理します.

3次関数の分類

3次関数の分類

3次関数の分類

極値極大値,極小値の定義を参照ください.

変曲点:3次関数においては $f''(x)=0$ を満たす点.数学Ⅲの関数の凹凸と変曲点で扱います.

停留点:$f'(x)=0$ を満たす点.大学の微積分で登場しますが,便利な用語なので紹介します.


3次関数は,$y'$の符号変化で場合分けできます.符号変化が起きるのは,①と④のみで,これらには極値が存在します.多くの問いが作れますので,定期試験や入試に登場するのはほぼ①か④です.

変曲点について

変曲点は,今のところ3次関数においては $f''(x)=0$ を満たす点ということで覚えておきましょう.

$f''(x)=6ax+2b=0 \Longleftrightarrow x=-\dfrac{b}{3a}$

変曲点 $\displaystyle \left(-\dfrac{b}{3a},f\left(-\dfrac{b}{3a}\right)\right)$

停留点について

停留点は知らなくても構いません.しかし,②と⑤は $f'(x)=0$ であるが極値ではないいい例です.このような点に名前があると便利です.(3次関数の場合)極値も停留点ですが,極値でない停留点を意識的に停留点とよく言います.

3次関数の変曲点に関する点対称性とその証明

また,3次関数は次の重要な性質があるので,ここで取り扱います.

3次関数の対称性

3次関数 $f(x)=ax^{3}+bx^{2}+cx+d$ は変曲点 $\left(-\dfrac{b}{3a},f\left(-\dfrac{b}{3a}\right)\right)$ に関して点対称である.

3次関数は変曲点に関して点対称

証明

変曲点が原点に来るように平行移動する.

$-\dfrac{b}{3a}=p$ として,$y=f(x)=ax^{3}+bx^{2}+cx+d$ を $x$ 軸方向に $-p$,$y$ 軸方向に $-f\left(p\right)$ 平行移動すると

$y+f\left(p\right)=a\left(x+p\right)^{3}+b\left(x+p\right)^{2}+c\left(x+p\right)+d$

$\displaystyle \Longleftrightarrow y=ax^{3}+\left(3ap+b\right)x^{2}+(3ap^{2}+2bp+c)x$

$\displaystyle \Longleftrightarrow y=ax^{3}-\dfrac{b^2-3ac}{3a}x$ … ☆

3次関数は変曲点に関して点対称2

$(x_{1},y_{1})$ が☆上にある

$\displaystyle \Longleftrightarrow$ $y_{1}=ax_{1}^{3}-\dfrac{b^2-3ac}{3a}x_{1}$

$\displaystyle \Longleftrightarrow$ $-y_{1}=a(-x_{1})^{3}+\left(-\dfrac{b^2}{3a}+c\right)(-x_{1})$

つまり $(-x_{1},-y_{1})$ も☆の関数上にあることが言える.

以上より☆は原点に関して対称(点対称).

つまり,元の $f(x)=ax^{3}+bx^{2}+cx+d$ は変曲点 $\displaystyle \left(-\dfrac{b}{3a},f\left(-\dfrac{b}{3a}\right)\right)$ に関して対象である.


証明では変曲点が原点に来るように平行移動したとき,それが原点に関して対称(奇関数)であることを言っています.

練習問題

練習

$f(x)=\dfrac{1}{3}x^{3}-2x^{2}+1$ とする.

(1) $f(x)$ は $x=\alpha$ で極大値, $x=\beta$ で極小値をとる.2点 $(\alpha,f(\alpha))$,$(\beta,f(\beta))$ を結ぶ線分の中点 $\rm M$ は,曲線 $y=f(x)$ 上にあることを示せ.

(2) 曲線 $y=f(x)$ は,点 $\rm M$ に関して対称であることを示せ.

練習の解答

(1)

$f'(x)=x(x-4)$

増減表は

$x$ $\cdots$ $0$ $\cdots$ $4$ $\cdots$
$f'(x)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ ↗︎ $1$ ↘︎ $-\dfrac{29}{3}$ ↗︎

点 $\rm M$ の座標は$(0,1)$ と $\left(4,-\dfrac{29}{3}\right)$ の中点より,$\left(2,-\dfrac{13}{3}\right)$ である.$f(2)=\dfrac{8}{3}-8+1=-\dfrac{13}{3}$ より,点 $\rm M$ は曲線 $y=f(x)$ 上にある.


(2)点 $\rm M$ が原点に来るように平行移動して,それが原点に関して対称であることを言えばいい.

$f(x)$ を $x$ 軸方向に $-2$,$y$ 軸方向に $\dfrac{13}{3}$ 平行移動すると

$y-\dfrac{13}{3}=\dfrac{1}{3}(x+2)^{3}-2(x+2)^{2}+1$

$\Longleftrightarrow \ y=\dfrac{1}{3}x^{3}-4x$ … ☆

$\Longleftrightarrow \ -y=\dfrac{1}{3}(-x)^{3}-4(-x)$

これより,$(x,y)$ が☆上にあるならば,$(-x,-y)$ も☆上にあることが言えるので,☆は原点に関して対称である.

よって平行移動前の曲線 $y=f(x)$ は,点 $\rm M$ に関して対称である.