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ウォリス積分

タイプ:難関大対策 レベル:★★★★ 


アイキャッチ

このページではウォリス積分について,高校生向けに解説致しました.

部分積分と積分漸化式の勉強になるという意味では全受験生向けですが,すべてを理解するにはそれなりに高いレベルが必要です.





ウォリス積分について

ポイント

ウォリス積分

$n$ を $0$ 以上の整数として $I_{n}$ を

$\displaystyle I_{n}=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n}x\,dx=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{n}x\,dx$ $\cdots$ (ⅰ)

と定義し,ウォリス(Wallis)積分とよく呼ばれる.$I_{n}$ に部分積分をすると

$\displaystyle I_{n}=\frac{n-1}{n}I_{n-2}$ $\cdots$ (ⅱ)

という積分漸化式が得られ,これを繰り返し用いれば

$\displaystyle I_{n}=\begin{cases}\dfrac{(n-1)!!}{n!!}\dfrac{\pi}{2} (nが偶数) \\ \ \\ \dfrac{(n-1)!!}{n!!} \hspace{3.8mm}(nが奇数)\end{cases}$ $\cdots$ (ⅲ)

が得られる.ここで,$n!!$ は二重階乗(doble factorial)

$n!!=n(n-2)(n-4)\cdots=\begin{cases}n(n-2)(n-4)\cdots4\cdot2 (nが偶数)\\ n(n-2)(n-4)\cdots3\cdot1 (nが奇数)\end{cases}$

となる.さらに話が発展し,以下のウォリスの公式

$\displaystyle \lim_{n \to \infty}\sqrt{n}I_{n}=\sqrt{\frac{\pi}{2}}$

に関する問題もたまに見かけます.


名前自体はほとんど認知されていないのですが,参考書や問題集に関連問題がまずあるはずです.

スターリングの公式やガウス積分をほぼ高校範囲で証明できるなど,応用例が複数あるので,有用性があり,入試でもこれに関連した問題が出題されることが多々あります.

余裕がある難関大受験生は(ⅱ)または(ⅲ)を暗記しておくと,マーク式の問題等で素早くウォリス積分が出せます.しかし出題頻度が高くないので,漸化式を作れればよく,個人的には結果の暗記をしなくていいと思っています.

ちなみに(ⅰ)の右の等式は $\displaystyle x=\frac{\pi}{2}-t$ とおいて簡単に示せるので省略します.(ⅱ)とウォリスの公式を導く問題を用意しました.




例題と練習問題

例題

例題

$n$ を $0$ 以上の整数として $I_{n}$ を

$\displaystyle I_{n}=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n}x\,dx$

とするとき,次の問いに答えよ.

(1) $n$ が $2$ 以上の整数であるとき

$\displaystyle \displaystyle I_{n}=\frac{n-1}{n}I_{n-2}$

が成り立つことを示せ.

(2) $I_{4}$ の値を求めよ.

(3) $n\geqq 1$ のとき,$I_{n-1}\cdot I_{n}$ の値を求めよ.

(4) 不等式

$I_{n}>I_{n+1} \ \ (n=0,1,2,\cdots)$

が成り立つことを示せ.

(5) $\displaystyle \lim_{n \to \infty} nI_{n}^{2}$ の値を求めよ.


講義

ウォリス積分の性質を導き,ウォリスの公式の証明まで揃っています.(1)は部分積分から.


解答

(1)

 $I_{n}$

$\displaystyle =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\left(-\cos x\right)'\sin^{n-1}x\,dx$

$\displaystyle =\left[-\cos x\sin^{n-1}x\right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}-\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}(n-1)\sin^{n-2}x(-\cos^{2} x)\,dx$

$\displaystyle =(n-1)\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n-2}x\cos^{2}x\,dx$

$\displaystyle =(n-1)\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n-2}x(1-\sin^{2}x)\,dx$

$\displaystyle =(n-1)I_{n-2}-(n-1)I_{n}$

$\therefore \ \displaystyle nI_{n}=(n-1)I_{n-2}$

$\therefore \ \displaystyle I_{n}=\frac{n-1}{n}I_{n-2}$


(2)

(1)の式を使うと

 $I_{4}=\dfrac{3}{4}I_{2}=\dfrac{3}{4}\cdot \dfrac{1}{2}I_{0}=\dfrac{3}{4}\cdot \dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{\pi}{2}=\boldsymbol{\dfrac{3\pi}{16}}$


(3) 階比型の漸化式と同じ要領で解くといいかと思います.

(1)の式に両辺 $I_{n-1}$ をかけると

$\displaystyle I_{n}I_{n-1}=\frac{n-1}{n}I_{n-1}I_{n-2}$

$\displaystyle \Longleftrightarrow \ nI_{n}I_{n-1}=(n-1)I_{n-1}I_{n-2}$

ここで $nI_{n}I_{n-1}$ を $b_{n}$ とおくと,

$\displaystyle b_{n}=b_{n-1}=\cdots=b_{1}=1\cdot I_{1}I_{0}=\dfrac{\pi}{2}$

$\displaystyle \therefore \ I_{n-1}\cdot I_{n}=\boldsymbol{\dfrac{\pi}{2n}}$


(4)

$0\leqq x \leqq \dfrac{\pi}{2}$ のとき

$\displaystyle \sin^{n}x \geqq \sin^{n+1}x \ \ (n=0,1,2,\cdots)$

$0\leqq x \leqq \dfrac{\pi}{2}$ で積分すると

$I_{n}>I_{n+1} \ \ (n=0,1,2,\cdots)$


(5)

(4)の式を使うと

$\displaystyle I_{n}I_{n+1} < I_{n}I_{n} < I_{n-1}I_{n}$

$\displaystyle \Longleftrightarrow \ nI_{n}I_{n+1} < nI_{n}^{2} < nI_{n-1}I_{n}$

$\displaystyle \Longleftrightarrow \ \dfrac{n}{n+1}(n+1)I_{n}I_{n+1} < nI_{n}^{2} < \dfrac{\pi}{2}$

$\displaystyle \Longleftrightarrow \ \dfrac{n}{n+1}\cdot\dfrac{\pi}{2} < nI_{n}^{2} < \dfrac{\pi}{2}$

$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \dfrac{n}{n+1}\cdot\dfrac{\pi}{2}=\dfrac{\pi}{2}$ より

$\displaystyle \lim_{n \to \infty} nI_{n}^{2}=\boldsymbol{\dfrac{\pi}{2}}$




練習問題

練習

(1) $\displaystyle \frac{35}{2}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{7}x\,dx$ の値を求めよ.

(2) 媒介変数表示された曲線 $C:x=\cos^{3} \theta$,$y=\sin^{3} \theta$ $\left(0\leqq \theta \leqq 2\pi\right)$ で囲まれた部分の面積 $S$ を求めよ.

練習の解答



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