(等差)×(等比)の和,(2次式)×(等比)の和
数列(教科書範囲) ★★★

(等差数列)×(等比数列)の和は教科書範囲で高校の定期試験や共通テスト等でも頻出です.
(2次式の数列)×(等差数列)は入試で稀に出題されるので難関大志望者向けです.
一般に( $m$ 次式)×(等差数列)の和は同じ方法で計算できますが,$m\geqq3$ は計算大変なのでまず出ません.
(等差)×(等比)の和,(2次式)×(等比)の和の解き方
(等差)×(等比)の和,(2次式)×(等比)の和の解き方
和を書き並べて,和から和に公比をかけたものを右にずらして引く.
公比をかけて右にずらして引くという操作は,等比数列の和の公式を導くときにもしたことですね.
例題と練習問題で解説します.
数学Ⅲの微分を使う方法
この章は数学Ⅲ既習者の興味がある方のみご覧ください.
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}kx^{k-1}$ ( $x \neq 1$ )は数学Ⅲの商の微分を使えば前章の方法をとらずに算出できます.そこまで実用的ではありません.
詳細
商の微分による算出
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}kx^{k-1}$ ( $x \neq 1$ )
$\displaystyle =\dfrac{d}{dx}\sum_{k=1}^{n}x^{k}$
$\displaystyle =\dfrac{d}{dx}\sum_{k=0}^{n}x^{k}$
$\displaystyle =\dfrac{d}{dx}\left(\dfrac{1-x^{n+1}}{1-x}\right)$
$\displaystyle =\dfrac{-(n+1)x^{n}(1-x)-(1-x^{n+1})(-1)}{(1-x)^{2}}$
$\displaystyle =\dfrac{nx^{n+1}-(n+1)x^{n}+1}{(1-x)^{2}}$
例えば,この結果を使えば
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}k\cdot 2^{k-1}$
$\displaystyle =n\cdot 2^{n+1}-(n+1)2^{n}+1$
となりますね.
※ (2次式)×(等比)の和であればこの結果をもう1度微分することが考えられますがあまり実用的でないですね.
例題と練習問題
例題
例題
次の和 $S_{n}$,$T_{n}$ をそれぞれ求めよ.
(1) $\displaystyle S_{n}=\sum_{k=1}^{n}(2k+1)2^{k}$
(2) $\displaystyle T_{n}=\sum_{k=1}^{n}k^{2}\cdot 2^{k-1}$
講義
どちらもシグマを展開して書き並べて,公比をかけたものを右にずらして引きます.
(1)で説明すると

上のように,引き算を実行すると,等比数列の和が現れて(解答波下線部),$S_{n}$ を求められます.
(2)の(2次式)×(等比)の和の方は,1回この操作を行うと(等差)×(等比)の和になります.
解答
(1)

$\therefore \ \boldsymbol{S_{n}=(2n-1)2^{n+1}+2}$
(2)

$\therefore \ \boldsymbol{T_{n}=(n^{2}-2n+3)2^{n}-3}$
※ 今回は(1)の結果をそのまま流用できましたが,一般的には公比をかけて右にずらして引くという操作を2回します.
練習問題
練習
次の和 $S_{n}$,$T_{n}$ をそれぞれ求めよ.
(1) $\displaystyle S_{n}=\sum_{k=1}^{n}(4k-3)5^{k-1}$
(2) $\displaystyle T_{n}=\sum_{k=1}^{n}k^{2}\cdot 2^{n-k}$
練習の解答
(1)

$\therefore \ \boldsymbol{S_{n}=(n-1)5^{n}+1}$
(2) 出典:2015横浜市立大医学部
等比数列部分の公比が $\dfrac{1}{2}$ であることに注意です.

$T_{n}$ が改めて(等差)×(等比)の和になったので

$\therefore \ \boldsymbol{T_{n}=3\cdot2^{n+1}-n^{2}-4n-6}$