等比数列の一般項と和
数列(教科書範囲) ★
等差数列を終えたら次は等比数列です.
等比数列の導入と一般項
数列の中で,比が等しい数列のことを等比数列といいます.その比を公比といい,英語でratioというので,よく $r$ と表します.以下の図のようになります.
$n$ 番目である $a_{n}$ がこの数列の一般項になります.
$a_{n}$ を求めるには,上の赤い箇所をすべて掛ければいいので,等比数列の一般項は以下になります.
等比数列の一般項 (基本)
$\boldsymbol{a_{n}=a_{1}\cdot r^{n-1}}$
しかし,$a_{n}$ を求めるために,わざわざ $a_{1}$ から掛けねばならない理由はありません.
上の図のように,$k$ $(k \geqq 1)$ 番目から掛け始めてもいいわけです.間は $n-k$ 個なので,一般項の公式を書き換えます.
等比数列の一般項
$\boldsymbol{a_{n}=a_{k}\cdot r^{n-k}}$
ここの $k$ には都合のいい自然数を代入できます.
$k=1$ を代入したのが,$\displaystyle a_{n}=a_{1}\cdot r^{n-1}$ になります.例えば $5$ 番目がわかっている場合は,$\displaystyle a_{n}=a_{5}\cdot r^{n-5}$ を使えば速いですね.
等比数列の和
等比数列の和を考えます.$n$ 個の和を $S$ とし,すべて $a_{1}$ と $r \ (r\neq 1)$ で表現します.
$S=a_{1}+a_{1}r+a_{1}r^{2}+\cdots+a_{1}r^{n-1}$
これの全体を $\boldsymbol{r}$ 倍して,1つ右にずらして引きます.そうすると以下のように,間がすべて消えます.
和が出ました.
等比数列の和 $S$
$\displaystyle S=\dfrac{初項-末項 \times 公比}{1-公比}$
必ずしも初項は $a_{1}$,末項が $a_{n}$ とは限らず,はじめの数と終わりの数でもいいです.
例題と練習問題
例題
例題
(1)等比数列 $\{a_{n}\}$ で第 $5$ 項が $\dfrac{1}{2}$,第 $8$ 項が $-4$ のとき,この数列の一般項を求めよ.
(2)等比数列 $3, \ -6, \ 12, \cdots$ の初項から第 $n$ 項までの和 $S$ を求めよ.
(3)初項から第 $3$ 項までの和,第 $6$ 項までの和がそれぞれ $-18$,$126$ であるような等比数列の初項を求めよ.
講義
上の公式を使う練習です.
解答
(1) $\displaystyle a_{8}\div a_{5}=r^{3}=-8$
$\displaystyle \therefore r=-2$
これより一般項は
$a_{n}=a_{5}\cdot r^{n-5}$
$=\boldsymbol{\dfrac{1}{2}(-2)^{n-5}}$
(2) 初項 $3$,公比は $-2$,末項は $3(-2)^{n-1}$ より
$\displaystyle S=\dfrac{3-3(-2)^{n-1}(-2)}{1-(-2)}=\boldsymbol{1-(-2)^n}$
(3) この数列を $\{a_{n}\}$ ,公比を $r$ とおくと
$\displaystyle \begin{cases}\dfrac{a_{1}-a_{1}r^{2}\cdot r}{1-r}=-18 \\ \dfrac{a_{1}-a_{1}r^{5}\cdot r}{1-r}=126 \end{cases}$
$\displaystyle \Longleftrightarrow \begin{cases}\dfrac{a_{1}(1-r^{3})}{1-r}=-18 \\ \dfrac{a_{1}(1-r^{3})}{1-r}(1+r^{3})=126 \end{cases}$
以上より $-18(1+r^{3})=126$
解くと $r^{3}=-8$ $\therefore r=-2$
$r$ を上の式に代入すれば $a_{1}=\boldsymbol{-6}$
練習問題
練習1
等比数列 $\{a_{n}\}$ で第 $4$ 項が $16$,第 $8$ 項が $1$ のとき,この数列の一般項を求めよ.
練習2
初項から第 $10$ 項までの和が $2$,初項から第 $20$ 項までの和が $6$ である等比数列について,初項から第 $40$ 項までの和を求めよ.
練習1の解答
$\displaystyle a_{8}\div a_{4}=r^{4}=\dfrac{1}{16}$
$\displaystyle \therefore r=\pm \dfrac{1}{2}$
これより一般項は
$\displaystyle a_{n}=a_{8}\cdot \left(\pm \dfrac{1}{2}\right)^{n-8}$
$\displaystyle =\boldsymbol{\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-8} \ または \ \left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-8}}$
練習2の解答
この数列を $\{a_{n}\}$ ,公比を $r$ とおくと
$\displaystyle \begin{cases}\dfrac{a_{1}-a_{1}r^{9}\cdot r}{1-r}=2 \\ \dfrac{a_{1}-a_{1}r^{19}\cdot r}{1-r}=6 \end{cases}$
$\displaystyle \Longleftrightarrow \begin{cases}\dfrac{a_{1}(1-r^{10})}{1-r}=2 \\ \dfrac{a_{1}(1-r^{10})}{1-r}(1+r^{10})=6 \end{cases}$
以上より $1+r^{10}=3$
解くと $r^{10}=2$
$\therefore \ a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{40}$
$=\dfrac{a_{1}-a_{1}r^{39}\cdot r}{1-r}$
$=\dfrac{a_{1}(1-r^{20})}{1-r}(1+r^{20})$
$=6(1+2^2)=\boldsymbol{30}$