同じものを含む円順列
場合の数(難関大対策+) ★★★★
同じものを含む円順列を扱います.
円順列,同じものを含む順列が既習前提で,定期試験や入試の出題頻度が低いので意欲的な人向けです.
同じものを含む円順列の考え方
円順列では,回転して同じものは1通りとみるのが原則でした.
$6$ 個動いて1周なのでこれを周期 $6$ と呼ぶことにします.
しかし同じものを含む円順列では,場合によっては1回転する前に同じ並びになることがあります.
これは $3$ 個動いて1周なので周期 $3$ です.
赤 $\times \ 4$,青 $\times \ 2$ ならばすべてこうなるのではなく
$6$ 個動いて1周なのでこれは周期 $6$ になります.
つまり,周期の値ごとに場合分けして考える必要があります.
同じものを含む円順列の解き方
以下にパターンがあるので,解法をまとめます.例として赤 $\times \ m_{1}$,緑 $\times \ m_{2}$,青 $\times \ m_{3}$ の合計 $n$ 個で考えます.
同じものを含む円順列の問題の解き方
赤 $m_{1}$ 個,緑 $m_{2}$ 個,青 $m_{3}$ 個の合計 $n$ 個の円順列の周期 $p$ は
$p=\dfrac{n}{(m_{1},m_{2},m_{3} \ の公約数)}$
円順列の総数は
(ⅰ) $p=n$ のみ( $m_{1}$,$m_{2}$,$m_{3}$ が互いに素)のとき
$\dfrac{n!}{m_{1}!m_{2}!m_{3}!}\div n$
※ 一旦順列として求めて,周期が $n$ なので重複している $n$ で割ります.
※ もし $m_{1}$,$m_{2}$,$m_{3}$ のどれかが $1$ ならばそれで固定する考え方もわかりやすいです.
(ⅱ) $p=p_{i}<n$ もあるとき
周期 $p_{i}$ の順列を求めて(もしこれより小さい周期でその順列分が被るならそれを引いてから)重複している $p_{i}$ で割る.$p=n$ のときも同様.
すべての周期の合計を出す.
※ (ⅰ)と考え方は同じですが,周期ごとの重複に気を付けます.
(ⅰ)のケースは簡単ですが,(ⅱ)のケースが難しく,下の例題で具体的に説明します.
例題と練習問題
例題
例題
次の円順列の総数を求めよ.
(1) 赤 $1$ 個,緑 $1$ 個,青 $1$ 個
(2) 赤 $2$ 個,緑 $2$ 個,青 $1$ 個
(3) 赤 $3$ 個,緑 $3$ 個,青 $2$ 個
(4) 赤 $4$ 個,青 $2$ 個
(5) 赤 $4$ 個,青 $4$ 個
講義
(1)普通の円順列で周期 $3$ です.順列で考えた
RGB
GBR
BRG
を円順列では $1$ 通りと考えるので $3!\div 3$ となりますね.
(2)周期 $5$ のみなので同じものを含む円順列の解き方で$\dfrac{5!}{2!2!1!}\div 5$ とします.
(3)周期 $8$ のみなので同じものを含む円順列の解き方で$\dfrac{8!}{3!3!2!}\div 8$ とします.
(4)周期は $3$ と $6$ です.先に周期 $3$ のときを求めます.順列で考えた
RRB|RRB
RBR|RBR
BRR|BRR
を円順列では $1$ 通りと考えるので $\dfrac{3!}{2!1!}$ を $3$ で割ればいいですね.
周期 $6$ のときは順列で考えた
BBRRRR
BRRRRB
RRRRBB
RRRBBR
RRBBRR
RBBRRR
を円順列では $1$ 通りと考えるので $\dfrac{6!}{4!2!}$ を $6$ で割りたいですが,この中に周期 $3$ の場合も含まれているので引いてから $6$ で割ります.
(5)周期は $2$ と $4$ と $8$ です.(4)と同様に小さい周期から求めます.
解答
(1)
周期 $3$ より,順列で求めた数を $3$ で割ると
$3!\div 3=\boldsymbol{2}$ (通り)
(2)
周期 $5$ より,順列で求めた数を $5$ で割ると
$\dfrac{5!}{2!2!1!}\div 5=\boldsymbol{6}$ (通り)
※ 青が1個なので青で回転を止めて残りの順列と考えてもいいですね.
(3)
周期 $8$ より,順列で求めた数を $8$ で割ると
$\dfrac{8!}{3!3!2!}\div 8=\boldsymbol{70}$ (通り)
(4)
周期 $3$ のとき,順列で求めた数を $3$ で割ると
$\dfrac{3!}{2!1!}\div 3=1$
周期 $6$ のとき,その順列の中に周期 $3$ のときの順列があるので引いてから $6$ で割ると
$\left(\dfrac{6!}{4!2!}-\dfrac{3!}{2!1!}\right)\div 6=2$
以上より足すと,$1+2=\boldsymbol{3}$ (通り)
(5) 出典:2018慶應義塾大医学部
周期 $2$ のとき,順列で求めた数を $2$ で割ると
$2!\div 2=1$
周期 $4$ のとき,その順列の中に周期 $2$ のときの順列があるので引いてから $4$ で割ると
$\left(\dfrac{4!}{2!2!}-2!\right)\div 4=1$
周期 $8$ のとき,その順列の中に周期 $2$ と $4$ のときの順列があるので引いてから $8$ で割ると
$\left\{\dfrac{8!}{4!4!}-2!-\left(\dfrac{4!}{2!2!}-2!\right)\right\}\div 8=8$
以上より足すと,$1+1+8=\boldsymbol{10}$ (通り)
練習問題
練習
次の円順列の総数を求めよ.
(1) 赤 $5$ 個,青 $4$ 個
(2) 赤 $3$ 個,緑 $3$ 個,青 $3$ 個
(3) 赤 $6$ 個,青 $6$ 個
練習の解答
(1)
周期 $9$ より,順列で求めた数を $9$ で割ると
$\dfrac{9!}{5!4!}\div 9=\boldsymbol{14}$ (通り)
(2)
周期 $3$ のとき,順列で求めた数を $3$ で割ると
$3!\div 3=2$
周期 $9$ のとき,その順列の中に周期 $3$ のときの順列があるので引いてから $9$ で割ると
$\left(\dfrac{9!}{3!3!3!}-3!\right)\div 9=186$
以上より足すと,$2+186=\boldsymbol{188}$ (通り)
(3) 出典:2018慶應義塾大医学部
周期 $2$ のとき,順列で求めた数を $2$ で割ると
$2!\div 2=1$
周期 $4$ のとき,その順列の中に周期 $2$ のときの順列があるので引いてから $4$ で割ると
$\left(\dfrac{4!}{2!2!}-2!\right)\div 4=1$
周期 $6$ のとき,その順列の中に周期 $2$ のときの順列があるので引いてから $4$ で割ると
$\left(\dfrac{6!}{3!3!}-2!\right)\div 6=3$
周期 $12$ のとき,その順列の中に周期 $2$ と $4$ と $6$ のときの順列があるので引いてから $12$ で割ると
$\left\{\dfrac{12!}{6!6!}-2!-\left(\dfrac{4!}{2!2!}-2!\right)-\left(\dfrac{6!}{3!3!}-2!\right)\right\}\div 12=75$
以上より足すと,$1+1+3+75=\boldsymbol{80}$ (通り)