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三角関数の合成

タイプ:教科書範囲 レベル:★★ 


アイキャッチ

三角関数の合成の仕方について丁寧に解説をし,合成ができるようになるための問題を用意しました.

なぜ,多くの高校生が合成を苦手としてしまうのか,それには理由があります.






合成の仕方は主に2通り

合成とは

$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sin\left(\theta +\alpha\right)$ のように,$\sin$ にまとめることを合成といいます.教科書は $\sin$ にまとめることのみを言及していますが,$\cos$ にまとめることもできるので.その方法についても言及します(過去にセンター試験で $\cos$ での合成が出題されています).

合成とは,加法定理の逆の操作のことです.



ポイント

三角関数の合成の仕方

1:しっかり変形して加法定理の逆で出す

2:図を書いて素早く出す


以上のように2通り方法があり(どちらも本質は加法定理の逆ですが,アプローチが異なる),それぞれにメリットがあります.

2通りあるので,教員や講師によって教え方がバラバラで(当然2通り教える場合もある),生徒の方も解き方がばらけ易く混乱しやすいというのが苦手な人が多い原因だと思います.

図を書いて解くのはスピード重視で丸暗記になりやすいので,当サイトとしては,1の加法定理の逆で出す方法を全員必須のメインの方法として取り上げます.

2:図を書いて素早く出す方法は混乱を防ぐため,1を完全に習得した人の上級者向けという位置付けにしています.




合成の仕方(しっかり変形して加法定理の逆で出す)

ポイント

三角関数の合成の仕方( $\sin$ への合成)

 $a\sin\theta+b\cos\theta$

$=\color{red}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}\left(\dfrac{a}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}\sin\theta+\dfrac{b}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}\cos\theta\right)$

$=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\left(\sin\theta \cdot \dfrac{a}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}+\cos\theta \cdot \dfrac{b}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}\right)$

$=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\left(\sin\theta \cos\alpha+\cos\theta \sin\alpha\right)$

$=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sin\left(\theta +\alpha\right)$



手順

1行目→2行目:$\color{red}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$ で全体を括る.強引に括りますが,必ず2乗の和が1となる分数 $\dfrac{a}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$ と $\dfrac{b}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$ が出てきます.

2行目→3行目:並び替え.

3行目→4行目:$\dfrac{a}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}=\cos\alpha$,$\dfrac{b}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}=\sin\alpha$ とできるような偏角 $\alpha$ を探して変形.

4行目→5行目:まさに加法定理の逆で $\sin$ にまとめます.



おまけ:$\cos$ への合成

臨機応変に応用問題を解くために,$\cos$ への合成も下のボックスで紹介します.と言っても,上の変形の4行目以降が変わるだけです.

$\cos$ への合成




例題と練習問題

例題

例題

次の式を,$r\sin(\theta+\alpha)$ の形に変形せよ.ただし,$r > 0$,$-\pi < \alpha < \pi$ とする.

(1) $\sqrt{3}\sin\theta+\cos\theta$

(2) $\sin\theta-\cos\theta$


講義

上の手順に従うのみです.$\color{red}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$ で強引に括るのが第一歩.


解答

(1) $\sqrt{3}\sin\theta+\cos\theta$

$=\color{red}{2}\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}\sin\theta+\dfrac{1}{2}\cos\theta\right)$ ←強引に括る

$=2\left(\sin\theta\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}+\cos\theta\cdot\dfrac{1}{2}\right)$ ←並び替え

$=2\left(\sin\theta\cos\dfrac{\pi}{6}+\cos\theta\sin\dfrac{\pi}{6}\right)$ ←加法定理の結果になるような偏角を探す

$=\boldsymbol{2\sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{6}\right)}$


(2) $\sin\theta-\cos\theta$

$=\color{red}{\sqrt{2}}\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}\sin\theta-\dfrac{1}{\sqrt{2}}\cos\theta\right)$ ←強引に括る

$=\sqrt{2}\left(\sin\theta\cdot\dfrac{1}{\sqrt{2}}-\cos\theta\cdot\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right)$ ←並び替え

$=\sqrt{2}\left(\sin\theta\cos\dfrac{\pi}{4}-\cos\theta\sin\dfrac{\pi}{4}\right)$ ←加法定理の結果になるような偏角を探す

$=\boldsymbol{\sqrt{2}\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)}$



練習問題

練習1

(1) $\sqrt{2}\sin\theta+\sqrt{2}\cos\theta$ を,$r\sin(\theta+\alpha)$ の形に変形せよ.ただし,$r>0$,$-\pi < \alpha < \pi$ とする.

(2) $\sqrt{2}\cos\theta-\sqrt{6}\sin\theta$ を,$r\cos(\theta+\alpha)$ の形に変形せよ.ただし,$r>0$,$-\pi < \alpha < \pi$ とする.


練習2

$y=3\cos x+4\sin x$ $(0\leqq x\leqq \pi)$ の最大値,最小値をそれぞれ求めよ.

練習の解答




おまけ;図を書いて素早く出す方法

この方法は理屈も伴っていてスピードが速いのですが,$\sin$ での合成限定です.

高校や予備校の先生がこの方法をメインの方法として教える可能性があるので注意してください.

当サイトとしては上の解法が理解できている数学が得意だという人のみオススメしています(上の解法が理解できていない人は読まない方がいいと思います).



ポイント

三角関数の合成の仕方(図を書いて素早く出す)

合成,図を書いて素早く出す

 $\color{red}{a}\sin\theta+\color{blue}{b}\cos\theta$

$=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sin\left(\theta +\color{green}{\alpha}\right)$

(座標平面上に点 $(\color{red}{a},\color{blue}{b})$ と原点とのなす角 $\color{green}{\alpha}$ を見て求める.)



なぜこの考えで出せるのか

 $\color{red}{a}\sin\theta+\color{blue}{b}\cos\theta$

$=\color{red}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}\cos\alpha}\sin\theta+\color{blue}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sin\alpha}\cos\theta$

$=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\left(\sin\theta \cos\alpha+\cos\theta \sin\alpha\right)$

$=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sin\left(\theta +\color{green}{\alpha}\right)$

※数Ⅲの複素数平面を勉強した人であれば,$\color{red}{a}$ と $\color{blue}{b}$ を極形式で表したということになります.



例題

例題

次の式を,$r\sin(\theta+\alpha)$ の形に変形せよ.ただし,$r > 0$,$-\pi < \alpha < \pi$ とする.

(1) $\sqrt{3}\sin\theta+\cos\theta$

(2) $\sin\theta-\cos\theta$


講義

上の例題と問題は同じです.図を書いて解きます.


解答

(1)

合成,図を書いて素早く出す(1)

 $\color{red}{\sqrt{3}}\sin\theta+\color{blue}{1}\cos\theta$

$=\boldsymbol{2\sin\left(\theta+\color{green}{\dfrac{\pi}{6}}\right)}$


(2)

合成,図を書いて素早く出す(2)

 $\color{red}{1}\sin\theta+\color{blue}{(-1)}\cos\theta$

$=\sqrt{2}\sin\left\{\theta+\color{green}{\left(-\dfrac{\pi}{4}\right)}\right\}$

$=\boldsymbol{\sqrt{2}\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)}$



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