3辺既知の三角形の面積の求め方
三角比(教科書範囲) ★★
三角比を使った三角形の面積公式と,3辺の長さが既知の(3辺の長さが与えられた)三角形の面積の求め方を紹介します.
いくつか方法がありますが,余弦定理を使う方法について言及します.
三角比を使った三角形の面積公式
三角形の面積を求めるときに高さが必要ですが,三角比を使えば高さがわかっていなくても(高さが出せるので)面積が出せます.
三角比を使った三角形の面積
図の三角形の面積を $S$ とすると
$\boldsymbol{S=\dfrac{1}{2}bc\sin A}$
※ $A$ はどこの角でも構いません.$b$,$c$ は $A$ の両サイドの辺になります.
証明
(ⅰ) $A$ が鋭角のとき
$S$
$=b\times c\sin A \times \dfrac{1}{2}$
$=\dfrac{1}{2}bc\sin A$
(ⅱ) $A$ が直角のとき
$S$
$=b\times c\times \dfrac{1}{2}$
$=\dfrac{1}{2}bc\sin A$
(ⅲ) $A$ が鈍角のとき
$S$
$=b\times c\sin (180^{\circ}-A) \times \dfrac{1}{2}$
$=\dfrac{1}{2}bc\sin A$
3辺既知の三角形の面積の求め方
方法の種類
3辺既知の三角形の面積の求め方
Ⅰ 高さと底辺の片方を文字でおき,三平方の定理を使い連立方程式で解く(中学範囲).
Ⅱ 余弦定理を使う.
Ⅲ ヘロンの公式を使う.
結論から言うと,Ⅱの余弦定理を使う方法が総合的に考えて1番メリットの多い方法です.
ヘロンの公式は3辺が自然数のときしか使いにくい点と,覚え間違えリスクが大きいので,普通に数学の試験を受けるという点では不要だと思いますので紹介しません.
以下にⅡでの方法の手順をまとめます.
余弦定理を使う3辺既知の三角形の面積 $S$ の求め方
STEP1:余弦定理で $\cos A$ を出す.
STEP2:相互関係で $\sin A \ \left(=\sqrt{1-\cos^{2}A}\right)$ を出す.
STEP3:$S=\dfrac{1}{2}bc\sin A$ で出す.
※ もちろん $A$ はどこの角でも構いません.
例題と練習問題
例題
例題
辺の長さが $4$,$5$,$6$ の三角形の面積 $S$ を求めよ.
講義
適当にどこかの角度を $\theta$ と設定して,余弦定理を使って $\cos \theta$ を出すところから始めます.
解答
図のように $\theta$ を設定すると,余弦定理より
$\cos\theta=\dfrac{4^{2}+5^{2}-6^{2}}{2\cdot4\cdot5}=\dfrac{1}{8}$
$\sin^{2}\theta=1-\cos^{2}\theta=\dfrac{63}{64}$
$\sin\theta>0$ より
$\sin\theta=\dfrac{3\sqrt{7}}{8}$
$\therefore \ S=\dfrac{1}{2}\cdot4\cdot5\sin \theta=\boldsymbol{\dfrac{15\sqrt{7}}{4}}$
練習問題
練習
辺の長さが $6$,$7$,$8$ の三角形の面積 $S$ を求めよ.
練習の解答
図のように $\theta$ を設定すると,余弦定理より
$\cos\theta=\dfrac{6^{2}+7^{2}-8^{2}}{2\cdot6\cdot7}=\dfrac{1}{4}$
$\sin^{2}\theta=1-\cos^{2}\theta=\dfrac{15}{16}$
$\sin\theta>0$ より
$\sin\theta=\dfrac{\sqrt{15}}{4}$
$\therefore \ S=\dfrac{1}{2}\cdot6\cdot7\sin \theta=\boldsymbol{\dfrac{21\sqrt{15}}{4}}$