2直線のなす角(加法定理利用)
三角関数(教科書範囲) ★★

2直線のなす角を求める方法を整理し,紹介します.ここでは $\tan$ の加法定理を使って解く方法を扱います.
例題,練習問題は方向ベクトルを使う方法と同じです.
2直線のなす角を求める方法は3種類
ポイント
このページでは Ⅰの $\tan$ の加法定理を扱います.
Ⅱ,Ⅲはベクトルを使います.Ⅲは検定教科書に載っていますが考え方が遠回りになるので当サイトとしては推奨していません.
どれを使うと速いか,楽かは問題によって違うのですが,全体としてはⅡがわかりやすくて使いやすいと思っています.
2直線のなす角を求める方法(加法定理利用)
ポイント
加法定理を使って2直線のなす角を求める方法
STEP1:2直線の図を書く.$x$ 軸と $y$ 軸は必要ない.傾きはなるべく正確に.
STEP2:交点を通る $x$ 軸に平行な直線を引いて角度設定.
STEP3:$\tan$ の加法定理を使ってなす角の $\tan$ を出す.
具体的に下の問題で確認していきます.
例題と練習問題
例題
例題
2直線 $2x-y-3=0$ と $x-3y+1=0$ のなす角 $\theta$ を求めよ.ただし,$0\leqq \theta \leqq \dfrac{\pi}{2}$ とする.
講義
図を書きますが,$x$ 軸と $y$ 軸は必要ないので書かないほうが見やすいでしょう.交点を通る $x$ 軸に平行な直線を引いて角度設定します.
解答と解説
それぞれ $y=2x-3$,$y=\dfrac{1}{3}x+\dfrac{1}{3}$ の形にして,傾きがわかるようにし,図を書きます.

交点を通る $x$ 軸に平行な直線(下の点線)を引いて,点線とのなす角を設定します.

上のように角度設定すれば,$\tan \beta=2$,$\tan \alpha=\dfrac{1}{3}$ となるので
$\tan \theta=\tan(\beta-\alpha)$
$=\dfrac{\tan \beta-\tan \alpha}{1+\tan \beta \tan \alpha}$ ←加法定理
$=\dfrac{2-\dfrac{1}{3}}{1+2\cdot \dfrac{1}{3}}=1$
$=1$
$\therefore \ \theta=\boldsymbol{\dfrac{\pi}{4}}$
練習問題
練習
(1) 2直線 $2x+\sqrt{3}y-4=0$ と $5x-\sqrt{3}y-6=0$ のなす角 $\theta$ を求めよ.ただし,$0\leqq \theta \leqq \dfrac{\pi}{2}$ とする.
(2) 座標平面上に$\rm{A}(2\sqrt{2}-2,0)$,$\rm{B}(2\sqrt{2}+2,0)$,$\rm{C}(\sqrt{2},1)$ があるとき,$\tan \angle \rm{ACB}$ を求めよ.
練習の解答
(1)

交点を通る $x$ 軸に平行な直線を引いて,上のように角度設定すれば
$\tan \theta=\tan(\beta-\alpha)$
$=\dfrac{\tan \beta-\tan \alpha}{1+\tan \beta \tan \alpha}$
$=\dfrac{-\dfrac{2}{\sqrt{3}}-\dfrac{5}{\sqrt{3}}}{1+\left(-\dfrac{2}{\sqrt{3}}\right) \dfrac{5}{\sqrt{3}}}$
$=\sqrt{3}$
$\therefore \ \theta=\boldsymbol{\dfrac{\pi}{3}}$
(2) 出典:2018金沢医科大学医学部後期

交点を通る $x$ 軸に平行な直線を引いて,上のように角度設定すれば(点線を始線として今回は $\beta < 0$,$\alpha < 0$ で設定),$\tan \beta=-\dfrac{1}{2+\sqrt{2}}$,$\tan \alpha=\dfrac{1}{2-\sqrt{2}}$ となるので
$\tan \angle \rm{ACB}=\tan \theta$
$=\tan(\beta-\alpha)$
$=\dfrac{\tan \beta-\tan \alpha}{1+\tan \beta \tan \alpha}$
$=\dfrac{-\dfrac{1}{2+\sqrt{2}}-\dfrac{1}{2-\sqrt{2}}}{1+\left(-\dfrac{1}{2+\sqrt{2}}\right) \dfrac{1}{2-\sqrt{2}}}$
$=\dfrac{-\dfrac{2-\sqrt{2}}{2}-\dfrac{2+\sqrt{2}}{2}}{\dfrac{1}{2}}$
$=\boldsymbol{-4}$
この方法はやや角度設定が難しいので,ベクトルが既習な方は方向ベクトルを使う方法と比較してみてください.