曲線外の点から引いた接線の方程式
タイプ:教科書範囲 レベル:★★

曲線上にない点から引いた接線の方程式の求め方について解説します.本質的に同じなので数Ⅱ,数Ⅲともにこのページで扱います.
数Ⅱは多項式関数を,数Ⅲはすべての曲線の接線を扱います.
数Ⅱの微分を勉強中の人は,2章までです.
接線の公式が既知である前提です.
曲線外の点から引いた接線の方程式の求め方(数Ⅱ,数Ⅲ共通)
ポイント
曲線外の点から引いた接線の方程式の求め方
Ⅰ 接点がわからないので,接点の $x$ 座標を文字で(例えば $t$ 等で)おく.
Ⅱ 接線の公式 $y=f'(t)(x-t)+f(t)$ を使って接線の式を作る.
Ⅲ 接線の式に通る点(接線を引き始める点)の座標を代入して $t$ を求め,接線を出す.
数Ⅱ,数Ⅲともに解き方は同じです.
例題と練習問題(数Ⅱ)
例題
例題
点 $\left(-\dfrac{3}{4},-3\right)$ から,$y=\dfrac{1}{2}x^{2}+x-1$ に引いた接線の方程式を求めよ.
講義

図を書くと2本ありそうです.まず,接点の $x$ 座標を文字でおいて接線の式を立てます.
解答
$f'(x)=x+1$
接点の $x$ 座標を $t$ でおくと接線は
$y$
$=(t+1)(x-t)+\dfrac{1}{2}t^{2}+t-1$
$=(t+1)x-\dfrac{1}{2}t^{2}-1$
これが $\left(-\dfrac{3}{4},-3\right)$ を通るので
$-3=-\dfrac{3}{4}t-\dfrac{3}{4}-\dfrac{1}{2}t^{2}-1$
$\Longleftrightarrow \ -12=-3t-3-2t^{2}-4$
$\Longleftrightarrow \ 2t^{2}+3t-5=0$
$\therefore \ t=1,-\dfrac{5}{2}$
$t=1$ のとき
$\boldsymbol{y=2x-\dfrac{3}{2}}$
$t=-\dfrac{5}{2}$ のとき
$\boldsymbol{y=-\dfrac{3}{2}x-\dfrac{33}{8}}$
練習問題
練習1
点 $(1,-3)$ から,$y=x^{3}-9x+1$ に引いた接線の方程式を求めよ.
練習1の解答
例題と練習問題(数Ⅲ)
例題
例題
点 $\left(-\dfrac{1}{2},0\right)$ から,$y=xe^{-x}$ に引いた接線の方程式を求めよ.
講義
方針は数Ⅱの場合とまったく同じです.
解答
$y'=e^{-x}-xe^{-x}=(1-x)e^{-x}$
接点の $x$ 座標を $t$ でおくと接線は
$y$
$=(1-t)e^{-t}(x-t)+te^{-t}$
$=(1-t)e^{-t}x+t^{2}e^{-t}$
これが $\left(-\dfrac{1}{2},0\right)$ を通るので
$0=\dfrac{t-1}{2}e^{\frac{1}{2}}+t^{2}e^{\frac{1}{2}}$
$\Longleftrightarrow \ 2t^{2}+t-1=0$
$\therefore \ t=-1,\dfrac{1}{2}$
$t=-1$ のとき
$\boldsymbol{y=2ex+\dfrac{e}{4}}$
$t=\dfrac{1}{2}$ のとき
$\boldsymbol{y=\dfrac{1}{2}e^{-\frac{1}{2}}x+\dfrac{1}{4}e^{-\frac{1}{2}}}$
練習問題
練習2
点 $\left(0,2\right)$ から媒介変数で表された曲線
$\begin{cases}x=t^{2}-2t \\ y=-t^{2}+1\end{cases}$
に引いた接線の方程式を求めよ.
練習2の解答