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$e$ が無理数であることの証明

タイプ:難関大対策 $+\alpha$ レベル:★★★★ 


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このページは $e$ が無理数であることの証明を,高校範囲と大学範囲でそれぞれ紹介します.大学範囲はたくさん情報がありますが,高校範囲は情報が少ないです.

$e$ の定義に関しては,指数.対数関数の微分を参照ください.





$e$ が無理数であることの証明(高校範囲)

基本的に,大学範囲であるマクローリン展開を使わない手法を取りたいので,少し設定が厄介ですが,丁寧に書きました.



証明の流れ

証明の流れ

$\displaystyle I_{n}=\int_{0}^{1}x^{n}e^{-x}\,dx$ とおく.

$0< I_{n}\leqq 1-e^{-1}$ を示す.

$I_{n+1}=-e^{-1}+(n+1)I_{n}$ を示す.

$I_{n}=a_{n}e^{-1}+b_{n}$ $(a_{n},b_{n} \in \mathbb{Z})$ と表されることを示す.

$0< I_{n}\leqq \dfrac{1}{n+1}$ を示す.

$e=\dfrac{q}{p}$ ( $p$,$q$ は互いに素な自然数)と仮定し,$0< pa_{n}+qb_{n}\leqq \dfrac{q}{n+1}$ を示し $n$ を大きくすると矛盾することを示す.



証明

証明

$n$ を $0$ 以上の整数として

$\displaystyle I_{n}=\int_{0}^{1}x^{n}e^{-x}\,dx$

とおく.$0\leqq x\leqq 1$ では

$0\leqq x^{n}e^{-x}\leqq e^{-x}$

より,$0\leqq x\leqq 1$ で積分すると

$\displaystyle 0< I_{n} \leqq \int_{0}^{1}e^{-x}\,dx=1-e^{-1}$ $\cdots$ ①.

部分積分をすると

 $\displaystyle I_{n+1}$

$\displaystyle =\int_{0}^{1}x^{n+1}e^{-x}\,dx$

$\displaystyle =\left[x^{n+1}(-e^{-x})\right]_{0}^{1}-\int_{0}^{1}(n+1)x^{n}(-e^{-x})\,dx$

$=-e^{-1}+(n+1)I_{n}$

これを変形して①を適用すると

$\displaystyle I_{n}=\dfrac{I_{n+1}+e^{-1}}{n+1}\leqq \dfrac{1-e^{-1}+e^{-1}}{n+1}=\dfrac{1}{n+1}$

つまり

$\displaystyle 0< I_{n}\leqq \dfrac{1}{n+1}$ $\cdots$ ②

が言える.


次に,$I_{n}=a_{n}e^{-1}+b_{n}$ $(a_{n},b_{n} \in \mathbb{Z})$ と表されることを数学的帰納法で示す.

(ⅰ) $n=0$ のとき

$I_{0}=1-e^{-1}$

より,$a_{0}=-1\in \mathbb{Z}$,$b_{0}=1\in \mathbb{Z}$.

(ⅱ) $n=k$ のとき,すなわち $I_{k}=a_{k}e^{-1}+b_{k}$ $(a_{k},b_{k} \in \mathbb{Z})$ と仮定する.

$n=k+1$ のとき

 $\displaystyle I_{k+1}$

$=-e^{-1}+(k+1)I_{k}$

$=-e^{-1}+(k+1)(a_{k}e^{-1}+b_{k})$

$=(ka_{k}+a_{k}-1)e^{-1}+(k+1)b_{k}$

より $ka_{k}+a_{k}-1\in \mathbb{Z}$,$(k+1)b_{k}\in \mathbb{Z}$.

(ⅰ)(ⅱ)より $I_{n}=a_{n}e^{-1}+b_{n}$ $(a_{n},b_{n} \in \mathbb{Z})$ $\cdots$ ③と表せる.


最後に,$e$ が有理数と仮定すると,互いに素な自然数 $p$,$q$ を用いて

$e=\dfrac{q}{p}$

と表せる.②,③より

$\displaystyle 0< a_{n}\cdot \dfrac{p}{q}+b_{n}\leqq \dfrac{1}{n+1}$

$\Longleftrightarrow \ \displaystyle 0< pa_{n}+qb_{n}\leqq \dfrac{q}{n+1}$

ここで,$n \geqq q-1$ では,$pa_{n}+qb_{n}$ が整数とならず不合理.つまり $e$ が有理数と仮定したことが誤りなので,$e$ は無理数である.




$e$ が無理数であることの証明(大学範囲)

$e^{x}$ を有限マクローリン展開することから始めます.



証明

証明

$e^{x}$ を有限マクローリン展開すると

$e^{x}=1+x+\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x^3}{3!}+\cdots+\dfrac{x^{n}}{n!}+\dfrac{e^{\theta x}x^{n+1}}{(n+1)!}$  $(0< \theta <1)$

ここで $x=1$ を代入すると

$e=1+1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3!}+\cdots+\dfrac{1}{n!}+\dfrac{e^{\theta}}{(n+1)!}$  $(0< \theta <1)$

両辺に $n!$ をかけると

$n!e=n!\left(1+1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3!}+\cdots+\dfrac{1}{n!}\right)+\dfrac{e^{\theta}}{n+1}$  $(0< \theta <1)$

となる.$e$ が有理数であるとすると $e=\dfrac{q}{p}$ ( $p$,$q$ は互いに素な自然数)と表せる.ここで,$n!\left(1+1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3!}+\cdots+\dfrac{1}{n!}\right)$ は自然数であるし,$n!e$ は,$n\geqq p$ とすると自然数である.そして,指数.対数関数の微分にあるように,$e<3$ であるので,$0< \theta <1$ より $\dfrac{e^{\theta}}{n+1}$ は $n\geqq3$ でとると整数とならない.つまり $n\geqq \max\{p,3\}$ でとると不合理なので,$e$ が有理数と仮定したことが誤り.つまり $e$ は無理数である.



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