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複素数の回転

タイプ:教科書範囲 レベル:★★★ 


アイキャッチ

複素数の回転や $2$ つの線分のなす角について扱います.

複素数や複素数平面を使うメリットが感じられる内容です.



複素数の回転と拡大

複素数の極形式での積で,例として複素数 $z_{1}=r_{1}(\cos\theta_{1}+i\sin\theta_{1})$,$z_{2}=2\left(\cos\dfrac{\pi}{3}+i\sin\dfrac{\pi}{3}\right)$ の積 $w$ を計算すると

 $w$

$=2r_{1}\left\{\cos\left(\theta_{1}+\dfrac{\pi}{3}\right)+i\sin\left(\theta_{1}+\dfrac{\pi}{3}\right)\right\}$

となります.

この式から,$\boldsymbol{w}$ は $\boldsymbol{z_{1}}$ を原点を中心に $\boldsymbol{\dfrac{\pi}{3}}$ 回転し,$\boldsymbol{2}$ 倍拡大したものであることがわかります.

複素数の回転の例

これを一般化し,下でまとめます.

ポイント

複素数の回転と拡大

$w$ は,$z$ を原点を中心に $\theta$ 回転,$r$ 倍拡大したものとすると

複素数の回転

$\boldsymbol{w=zr (\cos\theta+i\sin\theta)}$


複素数はかけただけで,回転と拡大(縮小)の作用が得られることがわかりました.

原点以外での回転

回転は原点を中心にしかできません.原点以外での回転は,一度原点に全体を平行移動し,回転してから元に戻す作業をします.

$\beta$ を $\alpha$ を中心に $\theta$ 回転した複素数 $\gamma$ を求めたいとします.

$\alpha$ では回転できないので,全体を $-\alpha$ 平行移動します.すると,$\gamma-\alpha$ は $\beta-\alpha$ を原点を中心に $\theta$ 回転したものとみなせます.

原点以外での回転

$\gamma-\alpha=(\beta-\alpha)(\cos\theta+i\sin\theta)$

$\gamma-\alpha$ を出して,最後に $+\alpha$ してあげると $\gamma$ が出ます.

$\gamma=(\beta-\alpha)(\cos\theta+i\sin\theta)+\alpha$

ポイント

原点以外での回転

$\beta$ を $\alpha$ を中心に $\theta$ 回転した複素数 $\gamma$ を出すには

原点以外での回転

全体を $\boldsymbol{-\alpha}$ して,$\boldsymbol{\beta-\alpha}$ を原点を中心に $\boldsymbol{\theta}$ 回転して $\boldsymbol{\gamma-\alpha}$ を出す.

例題と練習問題

例題

例題

$z=1+5i$ に関して以下の問いに答えよ.

(1) $z$ を原点を中心に $\dfrac{\pi}{6}$ 回転した点を表す複素数 $w_{1}$ を求めよ.

(2) $z$ を $\alpha=-2+4i$ を中心に $\dfrac{2}{3}\pi$ 回転した点を表す複素数 $w_{2}$ を求めよ.


講義

(1)は原点での回転なのでそのまま公式を使います.(2)は全体を $-\alpha$ してから回転します.


解答

(1)

複素数の回転例題1

 $w_{1}$

$=z\left(\cos\dfrac{\pi}{6}+i\sin\dfrac{\pi}{6}\right)$

$=(1+5i)\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}+\dfrac{1}{2}i\right)$

$=\boldsymbol{\dfrac{\sqrt{3}-5}{2}+\dfrac{1+5\sqrt{3}}{2}i}$


(2)

複素数の回転例題2

$z-\alpha$ を原点を中心に $\dfrac{2}{3}\pi$ 回転した点が $w_{2}-\alpha$ より

 $w_{2}-\alpha$

$=(z-\alpha)\left(\cos\dfrac{2}{3}\pi+i\sin\dfrac{2}{3}\pi\right)$

$=(3+i)\left(-\dfrac{1}{2}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}i\right)$

$=-\dfrac{3+\sqrt{3}}{2}+\dfrac{3\sqrt{3}-1}{2}i$

つまり

 $w_{2}$

$=-\dfrac{3+\sqrt{3}}{2}+\dfrac{3\sqrt{3}-1}{2}i+\alpha$

$=\boldsymbol{-\dfrac{7+\sqrt{3}}{2}+\dfrac{3\sqrt{3}+7}{2}i}$

練習問題

練習1

複素数平面において $3$ 点 $-1-i$,$6$,$z$ が正三角形の頂点であるとき,$z$ を求めよ.


練習2

$z=1+\sqrt{3}i$ とする.複素数平面上で $3$ 点 $z$,$z^2$,$z^3$ を頂点とする三角形の面積を求めよ.


練習3

複素数平面において $\alpha=4-2\sqrt{3}+4\sqrt{3}i$,$\beta=-2i$,$\gamma=2-i$ であるとき,$\angle\alpha\beta\gamma$ を求めよ.

練習の解答