領域における最大最小(基本編)
図形と方程式(教科書範囲) ★★★
領域における最大最小の,特に領域と目的関数が1次式で表される線形計画法について扱います.
大学では線形計画法だけで1冊の教科書になる程で奥が深く,文理関係なく入試でも頻出テーマです.
入試ではこちらの領域における最大最小(応用編)が多く見られます
領域における最大最小の解き方
領域における最大最小の解き方
Ⅰ 与えられた領域(制約条件)を図示する.
Ⅱ 最大(最小)を求めたい式を文字(例えば $k$ など)で置く.これを目的関数という.
Ⅲ 領域と交わるように,目的関数を動かし $k$ の範囲を考える.
大学ではこのような問題を数理計画法(mathematical programming),特に制約条件と目的関数が1次式で表されるものを線形計画法(linear programming)と言い,経営システム工学科等で学べるはずです.高校数学では基本的に制約条件,目的関数ともに2次元平面内のものを扱います.
制約条件や目的関数などの用語は下の例題で説明します.
例題と練習問題
例題
例題
不等式 $x\geqq0$,$y\geqq0$,$x+3y\leqq10$,$2x+3y\leqq11$,$2x+y\leqq9$ をすべて満たす領域を $D$ とするとき,領域 $D$ における $x+y$ の最大値,最小値を求めよ.
講義
まずは領域 $D$ (制約条件)を図示することです.その後は,$\boldsymbol{x+y=k}$ などと置き,この目的関数を領域 $D$ 内で上下させて $k$ の範囲を考えます.
解答
(1) 領域 $D$ を図示します.以下の黄色の斜線部分です.
$\color{red}{x+y=k}$ と置くと,$\color{red}{y=-x+k}$ となるので,領域 $D$ と交わるように動かします.下の動く赤い直線が目的関数です.
$\color{red}{y=-x+k}$ が $(4,1)$ と接するとき切片 $k$ が最大.原点と接するとき切片 $k$ が最小となるはずです.
これより,$(x,y)=(4,1)$ のとき,最大値 $\boldsymbol{5}$.
これより,$(x,y)=(0,0)$ のとき,最小値 $\boldsymbol{0}$.
練習問題
練習
(1) 不等式 $x-2y\geqq-2$,$x+y\geqq-5$,$4x+y\leqq10$ をすべて満たす領域を $D$ とするとき,領域 $D$ における $x+2y$ の最大値,最小値を求めよ.
(2) 以下はある定食屋の,牛丼とハンバーグ定食を1つ作るのに必要な材料と,店にある在庫の量の表である.
牛丼 | ハンバーグ定食 | 店の在庫 | |
牛肉 | $200 \rm g$ | $300 \rm g$ | $4500 \rm g$ |
玉ねぎ | $100 \rm g$ | $50 \rm g$ | $1500 \rm g$ |
ご飯 | $200 \rm g$ | $200 \rm g$ | $3400 \rm g$ |
牛丼の値段が1つ400円,ハンバーグ定食の値段が1つ500円とすると,それぞれ店の在庫内でいくつずつ売ると売上を最大にできるか.またその最大値を求めよ.
練習の解答
(1) 領域を図示し,$x+2y=k$ と置き,$y=-\dfrac{x}{2}+\dfrac{k}{2}$ を領域と交わるようにする.
図より
$(x,y)=(2,2)$ のとき,$k$ の最大値 $\boldsymbol{6}$.
$(x,y)=(5,-10)$ のとき,$k$ の最小値 $\boldsymbol{-15}$.
(2) 牛丼の販売数を $x$,ハンバーグ定食の販売数を $y$ とする.制約条件は
$\begin{cases} x\geqq 0 , y\geqq 0 \\200x+300y\leqq4500 \Longleftrightarrow y\leqq-\dfrac{2}{3}x+15\\ 100x+50y\leqq1500 \Longleftrightarrow y \leqq -2x+30\\ 200x+200y\leqq3400 \Longleftrightarrow y \leqq -x+17\\\end{cases}$
領域を図示し,売上を $400x+500y=k$ と置き,$y=-\dfrac{4}{5}x+\dfrac{k}{500}$ を領域と交わるようにする.
図より
$(x,y)=\boldsymbol{(6,11)}$ のとき,$k$ の最大値 $\boldsymbol{7900}$ 円.