放物線と直線の共有点
2次関数(教科書範囲) ★★
放物線と直線( $x$ 軸を含む)の共有点の個数や座標について扱います.
判別式が既習前提です.
放物線と $x$ 軸の共有点の個数と座標
2つのグラフの共有点の座標を求めるときは,2つのグラフを連立して方程式を解けばいいことは中学で扱っています.
放物線 $y=ax^{2}+bx+c$ と $x$ 軸の共有点の座標を求めるときは,$\boldsymbol{x}$ 軸は $\boldsymbol{y=0}$ なので
$\begin{cases}y=ax^{2}+bx+c \\ y=0\end{cases}$
↓ 連立
$ax^{2}+bx+c=0$
この2次方程式を考えればいいです.
実数解が(共有点が)あるかどうかは判別式に従えばいいですね.
放物線と $x$ 軸の共有点の個数
放物線 $y=ax^{2}+bx+c$ と $x$ 軸の共有点の個数は,2次方程式 $ax^{2}+bx+c=0$ の判別式 $D$ の値によって以下のように分類できる.
$\boldsymbol{D>0}$ のとき 共有点2個(異なる2点で交わる)
$\boldsymbol{D=0}$ のとき 共有点1個(接する)
$\boldsymbol{D<0}$ のとき 共有点なし
※ 上の図は $a>0$ のときですが,$a<0$ のときも同じです.
放物線と $x$ 軸の共有点の座標
上の分類で $D\geqq 0$ であれば実数解があるので,それが共有点の $x$ 座標になります.
放物線と直線の共有点の個数と座標
前章の内容を $x$ 軸ではなく直線 $y=mx+n$ に一般化します.
放物線 $y=ax^{2}+bx+c$ と直線 $y=mx+n$ の共有点の座標を求めるときは
$\begin{cases}y=ax^{2}+bx+c \\ y=mx+n\end{cases}$
↓ 連立
$ax^{2}+bx+c=mx+n$
この2次方程式を考えればいいです.
実数解が(共有点が)あるかどうかは判別式に従えばいいですね.
放物線と直線の共有点の個数
放物線 $y=ax^{2}+bx+c$ と直線 $y=mx+n$ の共有点の個数は,2次方程式 $ax^{2}+bx+c=mx+n$ の判別式 $D$ の値によって以下のように分類できる.
$\boldsymbol{D>0}$ のとき 共有点2個(異なる2点で交わる)
$\boldsymbol{D=0}$ のとき 共有点1個(接する)
$\boldsymbol{D<0}$ のとき 共有点なし
放物線と直線の共有点の座標
上の分類で $D\geqq 0$ であれば実数解があるので,それが共有点の $x$ 座標になります.
例題と練習問題
例題
例題
(1) 放物線 $y=x^{2}-3x-4$ と $x$ 軸の共有点の個数を求めよ.共有点があればその座標を求めよ.
(2) 放物線 $y=x^{2}-3x-4$ と直線 $y=x-9$ の共有点の個数を求めよ.共有点があればその座標を求めよ.
(3) 放物線 $y=x^{2}-3x+k$ と $x$ 軸が異なる2点で交わるような定数 $k$ の範囲を求めよ.
(4) 放物線 $y=x^{2}-3x-4$ と直線 $y=x+k$ が接するような定数 $k$ の範囲を求めよ.
講義
どの問題も基本は連立して,2次方程式の実数解の個数を判別式で考えます.
解答
(1)
$x^{2}-3x-4=0 \ \cdots$ ①
$D=(-3)^{2}-4\cdot1\cdot(-4)=25>0$ より共有点2個.
①を解くと,$x=-1,4$ より共有点の座標は $\boldsymbol{(-1,0),(4,0)}$
※ 今回は①で容易に因数分解できることがわかるので,判別式をとる必要がないかもしれません.
(2)
$x^{2}-3x-4=x-9$
$\Longleftrightarrow \ x^{2}-4x+5=0 \ \cdots$ ②
$\dfrac{D}{4}=(-2)^{2}-1\cdot 5=-1 <0$ より共有点なし.
※ ②の1次の係数が偶数なので,判別式の省エネ型を使いました.
(3)
$D=(-3)^{2}-4\cdot k=9-4k>0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k<\dfrac{9}{4}}$
(4)
$x^{2}-3x-4=x+k$
$\Longleftrightarrow \ x^{2}-4x-4-k=0 \ \cdots$ ③
$\dfrac{D}{4}=(-2)^{2}-1\cdot (-4-k)=8+k=0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k=-8}$
練習問題
練習
(1) 放物線 $y=-x^{2}-2x+5$ と $x$ 軸の共有点の個数を求めよ.共有点があればその座標を求めよ.
(2) 放物線 $y=-x^{2}-2x+5$ と直線 $y=2x$ の共有点の個数を求めよ.共有点があればその座標を求めよ.
(3) 放物線 $y=-x^{2}-2x+k$ と $x$ 軸が共有点をもたないような定数 $k$ の範囲を求めよ.
(4) 放物線 $y=-x^{2}-2x+5$ と直線 $y=2x+k$ が接するような定数 $k$ の範囲を求めよ.
解答
(1)
$-x^{2}-2x+5=0 \ \Longleftrightarrow \ x^{2}+2x-5=0 \ \cdots$ ①
$\dfrac{D}{4}=1^{2}-(-5)=6>0$ より共有点2個.
①を解くと,$x=-1\pm\sqrt{6}$ より共有点の座標は $\boldsymbol{(-1\pm\sqrt{6},0)}$
(2)
$-x^{2}-2x+5=2x$
$\Longleftrightarrow \ x^{2}+4x-5=0 \ \cdots$ ②
②を解くと,$x=-5,1$ より共有点の座標は $\boldsymbol{(-5,-10),(1,2)}$.これより共有点2個.
(3)
$-x^{2}-2x+k=0 \ \Longleftrightarrow \ x^{2}+2x-k=0 \ \cdots$ ③
$\dfrac{D}{4}=1^{2}-(-k)=1+k<0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k<-1}$
(4)
$-x^{2}-2x+5=2x+k$
$\Longleftrightarrow \ x^{2}+4x+k-5=0$
$\dfrac{D}{4}=2^{2}-(k-5)=9-k=0 \Longleftrightarrow \boldsymbol{k=9}$