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2次方程式の解の配置問題(応用編)

2次関数(入試の標準) ★★★★

アイキャッチ

2次方程式の解の配置問題の応用問題を扱います.基本編が理解できていることが必要です.

解に範囲が指定されているのは同じですが,少なくとも1つの実数解をもつというフレーズが入った問題を扱います.

2次方程式の解の配置問題(少なくとも1つの実数解をもつ)の解き方

2次方程式の解の配置問題(少なくとも1つの実数解をもつ)の解き方

Ⅰ 場合分けをして,2次方程式の解の配置問題の考え方で範囲を求め,和集合を出す.

Ⅱ 定数文字が1次式の場合,2つのグラフの共有点の問題に変える.

※ 定数文字とは例えば $x$ についての $2$ 次方程式 $x^{2}+4ax++a=0$ における $a$ のことです.


基本編もⅡの解法が使える場合がありますが,応用編ではⅡで解ければ楽になることが多いです.

例題と練習問題

例題

例題

$x$ についての $2$ 次方程式 $x^{2}-(a+4)x-\dfrac{a}{2}+10=0$ が $1\leqq x\leqq 4$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもつための定数 $a$ の値の範囲を求めよ.


講義

前章のⅠの方法を解答にしますが,$a$ が1次式なのでⅡの方法を別解として後述します.

(ⅰ) $1 <x < 4$ ですべての解をもつとき

(ⅱ) $1 <x < 4$ で1つ,$x< 1,4 < x$ で1つ解をもつとき.

(ⅲ) $x=1$ で解をもつとき

(ⅳ) $x=4$ で解をもつとき

に分けてそれぞれの和集合を出します.


解答

$f(x)=x^{2}-(a+4)x-\dfrac{a}{2}+10$ とおく.

$f(1)=-\dfrac{3}{2}a+7$

$f(4)=-\dfrac{9}{2}a+10$

 $D$

$=(a+4)^{2}-4\left(-\dfrac{a}{2}+10\right)$

$=a^{2}+10a-24$

$=(a+12)(a-2)$

(ⅰ) $1 <x < 4$ ですべての解をもつとき

解の配置問題の説明1

端点条件:$f(1)>0$,$f(4)>0$

軸条件:$1<\dfrac{a+4}{2}<4$

判別式:$D\geqq 0$

これらの共通範囲より $2 \leqq a < \dfrac{20}{9}$

(ⅱ) $1 <x < 4$ で1つ,$x< 1,4 < x$ で1つ解をもつとき.

$f(1)f(4)<0$

解くと $\dfrac{20}{9}< a<\dfrac{14}{3}$

(ⅲ) $x=1$ で解をもつとき

$f(1)=0 \ \Longleftrightarrow \ a=\dfrac{14}{3}$

(ⅳ) $x=4$ で解をもつとき

$f(4)=0 \ \Longleftrightarrow \ a=\dfrac{20}{9}$

(ⅰ)〜(ⅳ)より求める $a$ の値の範囲は $\boldsymbol{2 \leqq a \leqq \dfrac{14}{3}}$


別解

$x^{2}-4x+10=a\left(x+\dfrac{1}{2}\right)$ と変形し,$y=x^{2}-4x+10=(x-2)^{2}+6$ と $y=a\left(x+\dfrac{1}{2}\right)$ の共有点が $1\leqq x\leqq 4$ の範囲に少なくとも1つことを考える.

$y=a\left(x+\dfrac{1}{2}\right)$ が $(1,7)$ を通るとき

$7=\dfrac{3}{2}a \ \Longleftrightarrow \ a=\dfrac{14}{3}$

$y=a\left(x+\dfrac{1}{2}\right)$ が $(4,10)$ を通るとき

$10=\dfrac{9}{2}a \ \Longleftrightarrow \ a=\dfrac{20}{9}$

$y=x^{2}-4x+10$ と $y=a\left(x+\dfrac{1}{2}\right)$ が接するとき

$D=0 \ \therefore \ a=2$ (図から $a >0$)

解の配置問題の説明1

図より求める $a$ の値の範囲は $\boldsymbol{2 \leqq a \leqq \dfrac{14}{3}}$

※ $y=a\left(x+\dfrac{1}{2}\right)$ は $a$ の値に関わらず $\left(-\dfrac{1}{2},0\right)$ を通ります.この考え方は数学Ⅱの図形と方程式で登場するので,この考え方が用いられることは少ない気がしますが,別解の方がわかりやすいと思います.

練習問題

練習

$x$ についての方程式 $ax^{2}+(a+7)x+2a-7=0$ が $0 < x < 1$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもつように定数 $a$ の値の範囲を定めよ.

解答

$a(x^{2}+x+2)=-7x+7$ と変形し,$y=a(x^{2}+x+2)=a\left\{\left(x+\dfrac{1}{2}\right)^{2}+\dfrac{7}{4}\right\}$ と $y=-7x+7$ の共有点が $0 < x < 1$ の範囲に少なくとも1つことを考える.

(ⅰ) $a=0$ のとき

$0=-7x+7 \ \Longleftrightarrow \ x=1$ $\cdots$ 不適

(ⅱ) $a>0$ のとき

解の配置問題の練習問題2

$y=a(x^{2}+x+2)$ が $(0,7)$ を通るとき

$2a=7 \ \Longleftrightarrow \ a=\dfrac{7}{2}$

図より $0 < a < \dfrac{7}{2}$

(ⅲ) $a<0$ のとき

解の配置問題の練習問題3

$y=a(x^{2}+x+2)$ と $y=-7x+7$ の共有点が $0 < x < 1$ の範囲にないので不適.

以上より $\boldsymbol{0 < a < \dfrac{7}{2}}$