円周角の定理
平面図形(教科書範囲) ★
円周角の定理とその逆も扱います.
中学範囲ですが,高校数学の多くの定理の土台となる重要定理です.
円周角の定理
円周角の定理
同じ孤に対する円周角と中心角の比は.
$\boldsymbol{1:2}$
証明
以下の図のように角を設定する.
(ⅰ) $\angle{\rm APB}$ の内側に $\rm O$ があるとき
$\angle{\rm AOB}=2a+2b$
$\therefore \ \angle{\rm APB}:\angle{\rm AOB}=1:2$
(ⅱ) 線分 $\rm BP$ または線分 $\rm CP$ が直径になるとき
$\angle{\rm AOB}=2c$
$\therefore \ \angle{\rm APB}:\angle{\rm AOB}=1:2$
(ⅲ) $\angle{\rm APB}$ の外側に $\rm O$ があるとき
$\angle{\rm AOB}+\angle{\rm OAY}=\angle{\rm YPB}+\angle{\rm YBP}$
$\therefore \ \angle{\rm AOB}=2d$
$\therefore \ \angle{\rm APB}:\angle{\rm AOB}=1:2$
上の事実から,$\rm P$ はどこでもいいので,同じ孤に対する円周角はすべて等しいことが言えます.以下も円周角の定理です.
円周角の定理
同じ孤に対する円周角はすべて等しい
以上で終えてもいいのですが,最初に紹介した円周角の定理で,中心角を $180^{\circ}$,つまり $\alpha=90^{\circ}$ とした場合について扱っておきます.
円周角の定理(特殊ケース)
半円の弧に対する円周角は $\boldsymbol{90^{\circ}}$
頻繁に登場するので上の図が頭にあるといいと思います.
続いて円周角の定理の逆についてです.
円周角の定理の逆
円周角の定理は逆も成り立ちます.
円周角の定理の逆
$\boldsymbol{\rm P}$ と $\boldsymbol{\rm Q}$ が直線 $\boldsymbol{\rm AB}$ に関して同じ側にあって $\boldsymbol{\angle{\rm APB}=\angle{\rm AQB}}$ ならば4点 $\boldsymbol{\rm P}$,$\boldsymbol{\rm Q}$,$\boldsymbol{\rm A}$,$\boldsymbol{\rm B}$ は同一円周上にある.
証明
対偶「4点 $\rm P$,$\rm Q$,$\rm A$,$\rm B$ が同一円周上にないならば $\rm P$,$\rm Q$ が同じ側にあって $\angle{\rm APB}\neq \angle{\rm AQB}$ 」を示す.
(ⅰ) $\rm Q$ が $\triangle{\rm PAB}$ の内部にあるとき
直線 $\rm AQ$ または直線 $\rm BQ$ と円の交点を $\rm Q'$ とおく.円周角の定理より $\angle{\rm APB}=\angle{\rm AQ'B}$ となる.外角の公式より $\angle{\rm AQ'B}<\angle{\rm AQB}$ となるから $\angle{\rm APB}<\angle{\rm AQB}$.
(ⅱ) $\rm Q$ が $\triangle{\rm PAB}$ の外部にあるとき
直線 $\rm AQ$ または直線 $\rm BQ$ と円の交点を $\rm Q'$ とおく.円周角の定理より $\angle{\rm APB}=\angle{\rm AQ'B}$ となる.外角の公式より $\angle{\rm AQ'B}>\angle{\rm AQB}$ となるから $\angle{\rm APB}>\angle{\rm AQB}$.
どちらの場合も $\angle{\rm APB}\neq \angle{\rm AQB}$ となる.
練習問題
練習
以下の図の角 $x$ を求めよ.
練習の解答
$\triangle{\rm AOB}$ は二等辺三角形より
$\angle{\rm ABO}=\dfrac{1}{2}(180^{\circ}-94^{\circ})=43^{\circ}$
円周角の定理より
$\angle{\rm ABD}=\angle{\rm ACD}$
$\therefore \ 43^{\circ}+x=70^{\circ}$
$\therefore \ x=\boldsymbol{27^{\circ}}$