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組合せ

場合の数(教科書範囲) ★★

アイキャッチ

組合せの記号 $_{n}{\rm C}_{r}$ の導入をし,各種性質を扱います.

組合せ

例として $\rm A$,$\rm B$,$\rm C$,$\rm D$,$\rm E$ の $5$ 人から $3$ 人選ぶ場合を考えます.

選び方が $x$ 通りあるとします.例えば $\rm A$,$\rm B$,$\rm D$ が選ばれたとし,それを $1$ 列に並べると順列になり,その並べ方は $3!$ 通り.他の $x$ 通りの選び方に対しても $3!$ 通りあり,その合計は $_{5}{\rm P}_{3}$ 通りになるので

$x\times 3!=$ $_{5}{\rm P}_{3}$

となります.つまり

$x=$ $\dfrac{_{5}{\rm P}_{3}}{3!}=\dfrac{5\cdot4\cdot3}{3\cdot2\cdot1}=10$ (通り)

です.これを一般化して,次のような組合せの記号を定義します.

組合せ

異なる $n$ 個から $r$ 個とる組合せの総数は

$\displaystyle \color{red}{ \boldsymbol{_{n}{\rm C}_{r}=\dfrac{_{n}{\rm P}_{r}}{r!}}}$

$\displaystyle \color{red}{   \boldsymbol{=\dfrac{n(n-1)(n-2)\cdots\{n-(r-1)\}}{r!}}}$

特に,$\color{red}{\boldsymbol{_{n}{\rm C}_{1}=n}}$ ,$\color{red}{\boldsymbol{_{n}{\rm C}_{n}=1}}$


以下の階乗での表記も重要です.

階乗での表記

組合せの階乗での表記

異なる $n$ 個から $r$ 個とる組合せの総数は

$\displaystyle \color{red}{ \boldsymbol{_{n}{\rm C}_{r}=\dfrac{n!}{r!(n-r)!}}}$


証明

 $_{n}{\rm C}_{r}$

$=\dfrac{n(n-1)\cdots\{n-(r-1)\}}{r!}$

$=\dfrac{n(n-1)\cdots\{n-(r-1)\}}{r!}\cdot\dfrac{(n-r)!}{(n-r)!}$

$=\dfrac{n!}{r!(n-r)!}$


今後数学の様々な場面で使用する重要公式です.

最初 $_{n}{\rm C}_{r}$ の $r$ の定義域は $1\leqq r \leqq n$ という想定でしたが,ここで $r=0$ とすると,$0!=1$ と約束したことにより $\boldsymbol{_{n}{\rm C}_{0}=1}$ となります.こうすれば $_{n}{\rm C}_{r}$ の $r$ の定義域は $0\leqq r \leqq n$ とできます.

組合せの性質

$_{n}{\rm C}_{r}$ には $2$ つの知られた公式があり,特に組合せの性質①は今後多用する公式です.

組合せの性質①

異なる $n$ 個から $r$ 個とる組合せの総数は,$n-r$ 個残す場合の総数と同じなので

$\displaystyle \color{red}{\boldsymbol{_{n}{\rm C}_{r} \hspace{0.5mm}= \hspace{0mm} _{n}{\rm C}_{n-r}}}$


証明

 $_{n}{\rm C}_{r}$

$=\dfrac{n!}{r!(n-r)!}$

$=\dfrac{n!}{\{n-(n-r)\}!(n-r)!}$

$=\dfrac{n!}{(n-r)!\{n-(n-r)\}!}$

$=\hspace{0mm} _{n}{\rm C}_{n-r}$


一方でもう $1$ つの公式は登場機会がかなり少ないです.

組合せの性質②

異なる $n$ 個から $r$ 個とる組合せの総数は,ある $\rm A$ をとり,残りの $n-1$ 個から $r-1$ 個選ぶ場合と,$\rm A$ をとらず,残りの $n-1$ 個から $r$ 個選ぶ場合の数の和なので,

$\displaystyle \color{red}{\boldsymbol{_{n}{\rm C}_{r} \hspace{0.5mm}= \hspace{0mm} _{n-1}{\rm C}_{r-1}+ \hspace{0.3mm} _{n-1}{\rm C}_{r}}}$

$\displaystyle \color{red}{\boldsymbol{(1\leqq r\leqq n-1,n\geqq 2)}}$

証明

上にある言葉で説明してもいいですが,右辺スタートの式変形でも示せます.

 $ \hspace{0mm} _{n-1}{\rm C}_{r-1}+ \hspace{0.3mm} _{n-1}{\rm C}_{r}$

$= \hspace{0mm} \dfrac{(n-1)!}{(r-1)!\{(n-1)-(r-1)\}!}+\dfrac{(n-1)!}{r!\{(n-1)-r\}!}$

$= \hspace{0mm} \dfrac{(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!}+\dfrac{(n-1)!}{r!(n-r-1)!}$

$= \hspace{0mm} \dfrac{(n-1)!}{r!(n-r)!}\{r+(n-r)\}$

$= \hspace{0mm} \dfrac{n!}{r!(n-r)!}$


稀に入試で出題されますが,知らなくてもそこまで大きな問題にならないと思います.

例題と練習問題

例題

例題

次の場合の数は何通りか.

(1) 将棋部 $6$ 人から $2$ 人を選ぶ総数.

(2) サッカー部 $14$ 人から $11$ 人を選ぶ総数.

(3) 男子 $9$ 人,女子 $3$ 人から $4$ 人を選ぶとき次は何通りか.

(ⅰ) 男子 $3$ 人と女子 $1$ 人を選ぶ.

(ⅱ) 女子が少なくとも $1$ 人含まれるように選ぶ.


講義

組合せの $\rm C$ を使っていきます.(2)は組合せの性質①を使って楽します.

(3)の(ⅱ)では全体から余事象(全員男子)を引いて計算します.


解答

(1)

 $_{6}{\rm C}_{2}=\dfrac{6\cdot5}{2\cdot1}=\boldsymbol{15(通り)}$


(2)

 $_{14}{\rm C}_{11}=\hspace{-0.5mm} _{14}{\rm C}_{3}=\dfrac{14\cdot13\cdot12}{3\cdot2\cdot1}=\boldsymbol{364(通り)}$


(3)

(ⅰ)

 $_{9}{\rm C}_{3}\cdot \hspace{-0.5mm} _{3}{\rm C}_{1}=\dfrac{9\cdot8\cdot7}{3\cdot2\cdot1}\cdot3=84\cdot3=\boldsymbol{252(通り)}$


(ⅱ)

全体から,全員男子を引くと

 $_{12}{\rm C}_{4}-\hspace{-0.5mm} _{9}{\rm C}_{4}$

$=\dfrac{12\cdot11\cdot10\cdot9}{4\cdot3\cdot2\cdot1}-\dfrac{9\cdot8\cdot7\cdot6}{4\cdot3\cdot2\cdot1}$

$=495-126=\boldsymbol{369(通り)}$

※ 直接出して求めると男子 $3$ 人女子 $1$ 人,男子 $2$ 人女子 $2$ 人,男子 $1$ 人女子 $3$ 人で場合分けしてすべて足すので計算が大変です.

練習問題

練習

男子 $4$ 人,女子 $5$ 人から $4$ 人を選ぶとき次は何通りか.

(1) 男子 $2$ 人と女子 $2$ 人を選ぶ.

(2) 男子,女子が少なくとも $1$ 人含まれるように選ぶ.

解答

(1)

$_{4}{\rm C}_{2}\cdot \hspace{-0.5mm} _{5}{\rm C}_{2}=\dfrac{4\cdot3}{2\cdot1}\cdot\dfrac{5\cdot4}{2\cdot 1}=6\cdot 10=\boldsymbol{60(通り)}$


(2)

全体から,全員男子である場合と全員女子である場合を引くと

 $_{9}{\rm C}_{4}-\hspace{-0.5mm} _{4}{\rm C}_{4}-\hspace{-0.5mm} _{5}{\rm C}_{4}$

$=\dfrac{9\cdot8\cdot7\cdot6}{4\cdot3\cdot2\cdot1}-1-\hspace{-0.5mm} _{5}{\rm C}_{1}$

$=126-1-5=\boldsymbol{120(通り)}$