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順列

場合の数(教科書範囲) ★★

アイキャッチ

階乗と順列 $_{n}{\rm P}_{r}$ を扱います.

階乗

階乗

$1$ から $n$ までの整数の積を $n!$ と表す.つまり

$\displaystyle \color{red}{\boldsymbol{n!=n\times (n-1)\times (n-2)\times \cdots \times 2 \times1}}$

$3!=3\times 2\times 1=6$

$4!=4\times3\times 2\times 1=24$

$(n+1)!-n!=(n+1)\cdot n!-n!=n\cdot n!$

順列と $0$ の階乗

いくつかのものを一列に並べたものを順列といいます.

例として $4$ 人から $2$ 人選んで $1$ 列に並べる場合を考えます.

最初は $4$ 通りあり,その選び方それぞれに対して残りの $3$ 通り選び方があります.これは積の法則なので,$4\times 3=12$ 通り.

順列の導入

これを一般化して,次のような順列の記号を定義します.

順列

異なる $n$ 個から $r$ 個 $(1\leqq r \leqq n)$ とる順列の総数は

$\displaystyle \color{red}{\boldsymbol{_{n}{\rm P}_{r}=n(n-1)(n-2)\cdots\{n-(r-1)\}}}$

と表し,特に

$\displaystyle \color{red}{\boldsymbol{_{n}{\rm P}_{n}=n!}}$


$_{n}{\rm P}_{r}$ は $n$ から数字を下げていって $r$ 個整数をかけることで算出できます.

順列の階乗表現

順列を階乗で表現すると

$\displaystyle _{n}{\rm P}_{r}=\dfrac{n!}{(n-r)!}$ $(1\leqq r \leqq n-1)$

証明

 $_{n}{\rm P}_{r}$

$=n(n-1)(n-2)\cdots\{n-(r-1)\}$

$=n(n-1)(n-2)\cdots (n-r+1) \\ \hspace{30mm} \times \dfrac{(n-r)(n-r-1)\cdots 2\cdot 1}{(n-r)(n-r-1)\cdots 2\cdot 1}$

$=\dfrac{n!}{(n-r)!}$


次では $r$ の定義域を $0\leqq r \leqq n$ に拡張するために以下の約束をします.

$0!=1$ と $_{n}{\rm P}_{0}=1$ と定義する理由

順列の階乗表現で仮に $r=n$ とすると

$_{n}{\rm P}_{n}=\dfrac{n!}{0!}=n!$

となるので,$0!=1$ とすると $r=n$ にも適用できます.そのため $\color{red}{\boldsymbol{0!=1}}$ と定義します.

仮に $r=0$ とすると

$_{n}{\rm P}_{0}=\dfrac{n!}{n!}=1$

となるので,$_{n}{\rm P}_{0}=1$ とすると $r=0$ にも適用できます.そのため $\color{red}{\boldsymbol{_{n}{\rm P}_{0}=1}}$ と定義します.こうすれば

$_{n}{\rm P}_{r}=\dfrac{n!}{(n-r)!}$ $(0\leqq r \leqq n)$

と表せ,$\boldsymbol{r}$ の定義域を $\boldsymbol{0\leqq r \leqq n}$ に拡張できます.

順列の階乗表現

順列を階乗で表現すると

$\displaystyle _{n}{\rm P}_{r}=\dfrac{n!}{(n-r)!}$ $(0\leqq r \leqq n)$

ただし $\color{red}{\boldsymbol{0!=1}}$,$\color{red}{\boldsymbol{_{n}{\rm P}_{0}=1}}$ とする.

例題と練習問題

例題

例題

次の場合の数は何通りか.

(1) $4$ 人のリレーの走順.

(2) $1$ から $9$ までの数字から異なる $3$ 個を選んで作る $3$ 桁の整数.

(3) 男子 $4$ 人,女子 $3$ 人を $1$ 列に並べるとき次は何通りか.

(ⅰ) 両端が女子である.

(ⅱ) 女子が全員隣り合う.

(ⅲ) どの女子も隣り合わない.


講義

(1)(2)階乗や順列の記号を使う練習です.

(3)隣接する順列はひとかたまりにする.隣接しないものは後から間や両端に入れるようにして考えます.


解答

(1)

 $4!=4\cdot3\cdot2\cdot1=\boldsymbol{24(通り)}$


(2)

 $_{9}{\rm P}_{3}=9\cdot8\cdot7=\boldsymbol{504(通り)}$


(3)

(ⅰ)

例題1

両端の女子の決め方が $_{3}{\rm P}_{2}$ 通り.残りの $5$ 人の並べ方が $5!$ 通りあるので

 $_{3}{\rm P}_{2}\cdot 5!=6\cdot120=\boldsymbol{720(通り)}$


(ⅱ)

例題2

女子を $1$ 人とみる.$5$ 人の並べ方が $5!$ 通り.女子の並べ方が $3!$ 通りあるので

 $5!\cdot 3!=120\cdot6=\boldsymbol{720(通り)}$


(ⅲ)

例題3

男子の並べ方が $4!$ 通り.男子の間や両端に入れる女子の並べ方が $_{5}{\rm P}_{3}$ 通りあるので

 $4! \cdot _{5}{\rm P}_{3}=24\cdot60=\boldsymbol{1440(通り)}$

練習問題

練習

男子 $4$ 人,女子 $4$ 人を $1$ 列に並べるとき次は何通りか.

(1) 両端が女子である.

(2) 男女が交互に並ぶ.

(3) 女子が全員隣り合う.

(4) どの女子も隣り合わない.

解答

(1) 両端の女子の決め方が $_{4}{\rm P}_{2}$ 通り.残りの $6$ 人の並べ方が $5!$ 通りあるので

 $_{4}{\rm P}_{2}\cdot 6!=12\cdot720=\boldsymbol{8640(通り)}$


(2) 男子の並べ方が $4!$ 通り.女子の並べ方が $4!$ 通り.一番左が男子か女子かで $2$ 通りあるので

 $4!\cdot 4!\cdot 2=24\cdot 24\cdot2=\boldsymbol{1152(通り)}$


(3) 女子を $1$ 人とみる.$5$ 人の並べ方が $5!$ 通り.女子の並べ方が $4!$ 通りあるので

 $5!\cdot 4!=120\cdot24=\boldsymbol{2880(通り)}$


(4) 男子の並べ方が $4!$ 通り.男子の間や両端に入れる女子の並べ方が $_{5}{\rm P}_{4}$ 通りあるので

 $4! \cdot _{5}{\rm P}_{4}=24\cdot120=\boldsymbol{2880(通り)}$