微分による不等式の証明
タイプ:教科書範囲 レベル:★★

微分を用いた(1変数関数の)不等式の証明について扱います.本質的に同じなので数Ⅱ,数Ⅲともにこのページで扱います.
数Ⅱの微分を勉強中の人は,2章までです.
ちなみに,2変数の不等式の証明問題はこちらです.
微分による不等式の証明(数Ⅱ,数Ⅲ共通)
微分による最大値・最小値の求め方
不等式 $f(x) >g(x)$ を示すためには,$h(x)=f(x)-g(x)>0$ を示せばいい.つまり,$h(x)$ を微分して調べ
$(h(x)$ の最小値 $)$ $>0$
を示せばいい.
例題と練習問題(数Ⅱ)
例題
例題
$x> -3$ のとき次の不等式が成り立つことを示せ.
$x^{3}+x^{2}-2x+18 >x^{2}+x$
講義
左辺 $-$ 右辺を $f(x)$ などと関数でおいて,$f(x)>0$ を示します.
解答
$f(x)$
$=x^{3}+x^{2}-2x+18-(x^{2}+x)=x^{3}-3x+18$
とおく.
$f'(x)$
$=3x^{2}-3=3(x+1)(x-1)$
増減表は
$x$ | $-3$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ |
---|---|---|---|---|---|---|
$f'(x)$ | $+$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ |
$f(x)$ | $0$ | ↗︎ | $20$ | ↘︎ | $16$ | ↗︎ |
$x > -3$ のとき $f(x)>0$ より
$x^{3}+x^{2}-2x+18 >x^{2}+x$
練習問題
練習1
$x\geqq -2$ のとき次の不等式が成り立つことを示せ.
$3x^{4}+32 \geqq4x^{3}+12x^{2}$
練習2
$2x^{3}-3(a+1)x^{2}+6ax+16\geqq 0$ $(a>1)$ が $x\geqq 1$ において常に成立するような $a$ のとりうる値の範囲を求めよ.
練習の解答
練習問題(数Ⅲ)
数Ⅲの場合も方針は同じですが,1回微分しただけでは(左辺) $-$ (右辺)の様子,単調増加か減少かがわからない場合があり,様子がわかるまで複数回微分する問題もあります.
練習3
(1) 不等式 $\log x<2\sqrt{x}$ $(x>0)$ が成り立つことを示せ.
(2) $\displaystyle \lim_{x \to \infty}\dfrac{\log x}{x}$ を求めよ.
練習4
次の不等式を示せ.
(1) $x\geqq \sin x$ $(x\geqq 0)$
(2) $\cos x \geqq 1-\dfrac{x^2}{2}$
練習の解答