桁数(小数首位)問題
指数・対数(教科書範囲) ★★★★

対数の単元で,終盤にある問題です.このページでは最高位の数字(小数首位の数字)についても言及します.
桁数(小数首位)問題の解き方
ポイント
桁数(小数首位)問題
$N$ の桁数(小数首位)や最高位の数字(小数首位の数字)が知りたいとき,$N$ の常用対数(底が $10$ の対数)
$\displaystyle \boldsymbol{\log_{10}N=n+\alpha}$ $\displaystyle ( \ \boldsymbol{n} \ \bf{は整数,}\boldsymbol{0\leqq \alpha < 1} )$
をとり,上の式での $n$ を指標,$\alpha$ を
方針
桁数(小数首位)が知りたいとき:$\boldsymbol{N=10^{\log_{10}N}}$ に変形して判断.
最高位(小数首位)の数字が知りたいとき:仮数を常用対数で挟む.
上にまとめましたが,少し噛み砕いて下で説明します.
常用対数の凄さ
常用対数を使えば,どんな数でも$\boldsymbol{10^{\bf{常用対数}}}$ の形にできます.
例えば $7^{70}$ はよくわからない巨大な数ですが
$\log_{10}7^{70}=59.157 \ \Longleftrightarrow \ 7^{70}=10^{59.157}$
2行目でズバリ,$7^{70}$ が $59$ 桁ぐらい,正確には $60$ 桁であることがわかります.
仮数の凄さ
仮数を使うと数の羅列(正体)に迫ることができます.
上の $7^{70}$ の例では仮数が $0.157$ であることがわかります.これを常用対数で挟むと
$\log_{10}1 < 0.157 < \log_{10}2$
これより
$1 < 10^{0.157} < 2$
すべての辺に $10^{59}$ をかけると
$1\cdot 10^{59} < 10^{59.157}=7^{70} < 2\cdot 10^{59}$
これより最高位の数字が $1$ であることがわかりますね.
最高位の次の数字
最高位の次の数字
意欲的な人向けです.
先ほどの仮数 $0.157$ ですが,もっと精度の高い常用対数で挟むことができればさらに $7^{70}$ の情報がわかります.
$\log_{10}1.4 < 0.157 < \log_{10}1.5$
であることを突き詰めれば
$1.4 < 10^{0.157} < 1.5$
$\Longleftrightarrow \ 1.4\cdot 10^{59} < 10^{59.157}=7^{70} < 1.5\cdot 10^{59}$
とできるので,最高位の次の数字が $4$ であることがわかります.この問題は2018年の早稲田大社会科学部の入試問題です.
※ ちなみにwolfram alphaで計算すると $7^{70}=14350\cdots249$ だそうです.
桁数問題(例題と練習問題)
例題
例題1
$\log_{10}2=0.3010$,$\log_{10}3=0.4771$,$\log_{10}7=0.8451$ とする.$3^{100}$に関して
(1) 桁数を求めよ.
(2) $\log_{10}4$,$\log_{10}5$,$\log_{10}6$,$\log_{10}8$,$\log_{10}9$ をそれぞれ求めよ.
(3) 最高位の数字を求めよ.
講義
$3^{100}$ を $\boldsymbol{10^{\bf{常用対数}}}$ の形にします.そうすると $3^{100}$ の正体がつかめてきます.
解答 (1) まず常用対数をとります.
$\log_{10}3^{100}$
$\displaystyle =100\log_{10}3$
$\displaystyle =47.71$
$10^{常用対数}$ の形にすると
$3^{100}=10^{47.71}$
これより
$10^{47} < 3^{100} < 10^{\color{red}{48}}$
上の式より,桁数は $\boldsymbol{48 \ 桁}$.
※ 右上の指数を見てください.具体例 $10^2 < 777 < 10^3$
(2) $\log_{10}4=2\log_{10}2=\boldsymbol{0.6020}$
$\log_{10}5=\log_{10}\color{red}{\dfrac{10}{2}}=\log_{10}10-\log_{10}2=\boldsymbol{0.6990}$
$\log_{10}6=\log_{10}2+\log_{10}3=\boldsymbol{0.7781}$
$\log_{10}8=3\log_{10}2=\boldsymbol{0.9030}$
$\log_{10}9=2\log_{10}3=\boldsymbol{0.9542}$
(3) 仮数を常用対数で挟みます.
$\log_{10}5 <$ (仮数) $=0.71 < \log_{10}6$
これより
$5 < 10^{0.71} < 6$
すべての辺に $10^{47}$ をかけます.
$5\cdot 10^{47} < 10^{47.71} < 6\cdot 10^{47}$
$\therefore 5\cdot10^{47} < 3^{100} < 6\cdot10^{47}$
上の式より,最高位の数字は $\boldsymbol{5}$.
練習問題
練習1
$\log_{10}2=0.3010$,$\log_{10}3=0.4771$,$\log_{10}7=0.8451$ とする.$5^{100}$ に関して
(1) 桁数を求めよ.
(2) $\log_{10}4$,$\log_{10}5$,$\log_{10}6$,$\log_{10}8$,$\log_{10}9$ をそれぞれ求めよ.
(3) 最高位の数字を求めよ.
練習1の解答
(1) まず常用対数とります.
$\displaystyle \log_{10}5^{100}$
$\displaystyle =100\left(\log_{10}\dfrac{10}{2}\right)$
$\displaystyle =100(1-0.3010)$
$\displaystyle =69.9$
$10^{常用対数}$ の形にすると
$5^{100}=10^{69.9}$
これより
$\displaystyle 10^{69} < 5^{100} < 10^{70}$
上の式より,桁数は $\boldsymbol{70 \ 桁}$.
※ 右上の指数を見てください.具体例$10^2 < 777 < 10^3$
(2) $\log_{10}4=2\log_{10}2=\boldsymbol{0.6020}$
$\log_{10}5=\log_{10}\dfrac{10}{2}=\log_{10}10-\log_{10}2=\boldsymbol{0.6990}$
$\log_{10}6=\log_{10}2+\log_{10}3=\boldsymbol{0.7781}$
$\log_{10}8=3\log_{10}2=\boldsymbol{0.9030}$
$\log_{10}9=2\log_{10}3=\boldsymbol{0.9542}$
(3) 仮数を常用対数で挟みます.
$\log_{10}7 <$ (仮数) $=0.9 < \log_{10}8$
これより
$7 < 10^{0.9} < 8$
すべての辺に $10^{69}$ をかけます.
$7\cdot 10^{69} < 10^{69.9} < 8\cdot 10^{69}$
$\therefore 7\cdot 10^{69} < 5^{100} < 8\cdot 10^{69}$
上の式より,最高位の数字は $\boldsymbol{7}$.
小数首位の問題(例題と練習問題)
例題
例題2
$\log_{10}2=0.3010$,$\log_{10}3=0.4771$,$\log_{10}7=0.8451$ とする.$\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^{20}$に関して
(1) 小数第何位に初めて $0$ でない数字が現れるか.
(2) (1)の数字を求めよ.
講義
方針は桁数問題と同じです.$\left(\dfrac{1}{2}\right)^{20}$ を $\boldsymbol{10^{\bf{常用対数}}}$ の形にします.
(2)の小数首位の数字は,仮数が $0$ 以上であることに注意して求めます.
解答
(1) まず常用対数とります.
$\displaystyle \log_{10}\left(\frac{1}{2}\right)^{20}$
$\displaystyle =\log_{10}2^{-20}$
$\displaystyle =-6.02$
$10^{常用対数}$ の形にすると
$\left(\dfrac{1}{2}\right)^{20}=10^{-6.02}$
これより
$\displaystyle \therefore \ 10^{-\color{red}{7}} < \left(\frac{1}{2}\right)^{20} < 10^{-6}$
上の式より,$\boldsymbol{小数第 \ 7 \ 位}$に初めて $0$ でない数字が現れる.
※ 左上の指数を見てください.具体例$10^{-2} < 0.07 < 10^{-1}$
(2) 仮数を常用対数で挟みます.(この時点で $\log_{10}4$〜$\log_{10}9$ まですべて出しておく必要があります.)
ちなみに仮数は $\boldsymbol{0}$ 以上なので,今回は指標が $\boldsymbol{-7}$,仮数は $\boldsymbol{0.98}$ です.
$\log_{10}9 < \color{red}{(仮数)=0.98} < \log_{10}10$
これより
$9 < 10^{0.98} < 10$
すべての辺に $10^{-7}$ をかけます.
$9\cdot 10^{-7} < 10^{-6.02} < 10\cdot 10^{-7}$
$\displaystyle \therefore \ 9\cdot10^{-7} < \left(\frac{1}{2}\right)^{20} < 10\cdot 10^{-7}$
上の式より,初めて現れる $0$ でない数字は $\boldsymbol{9}$.
練習問題
練習2
$\log_{10}2=0.3010$,$\log_{10}3=0.4771$,$\log_{10}7=0.8451$ とする.$\left(\dfrac{6}{7}\right)^{800}$ に関して
(1) 小数第何位に初めて $0$ でない数字が現れるか.
(2) (1)の数字を求めよ.
練習2の解答
(1) まず常用対数とります.
$\displaystyle \log_{10}\left(\frac{6}{7}\right)^{800}$
$\displaystyle =800(\log_{10}6-\log_{10}7)$
$\displaystyle =800(0.3010+0.4771-0.8451)$
$\displaystyle =-53.6$
$10^{常用対数}$ の形にすると
$\left(\dfrac{6}{7}\right)^{800}=10^{-53.6}$
これより
$\displaystyle 10^{-54} < \left(\frac{6}{7}\right)^{800} < 10^{-53}$
上の式より,$\boldsymbol{小数第 \ 54 \ 位}$ に初めて $0$ でない数字が現れる.
※ 左上の指数を見てください.具体例 $10^{-2} < 0.07 < 10^{-1}$
(2) 仮数を常用対数で挟みます.(この時点で $\log_{10}4$〜$\log_{10}9$ まですべて出しておく必要があります.)
ちなみに仮数は $\boldsymbol{0}$ 以上なので,今回は指標が $\boldsymbol{-54}$,仮数は $\boldsymbol{0.4}$ です.
$\log_{10}2 <$ (仮数) $=0.4 < \log_{10}3$
これより
$2 < 10^{0.4} < 3$
すべての辺に $10^{-54}$ をかけます.
$2\cdot 10^{-54} < 10^{-53.6} < 3\cdot 10^{-54}$
$\therefore \ 2\cdot 10^{-54} < \left(\dfrac{6}{7}\right)^{800} < 3\cdot 10^{-54}$
上の式より,初めて現れる $0$ でない数字は $\boldsymbol{2}$.