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ビュフォンの針

タイプ:高校範囲外 レベル:★★★★ 


アイキャッチ

ここではビュフォンの針という問題を,なるべく数学Ⅲを学んだ人ならわかるように解説します.





ビュフォンの針とは

ポイント

ビュフォンの針

罫線感覚が $d$ のノートの上に,長さが $l$ の針を落としたとき,針と罫線が交わる確率はどうなるか.

ビュフォンの針1

ここでは必ずしもノートでなくてもいいし(床の平行線の模様とか),落とすのも幅がなければ針でなくても(爪楊枝とかでも)構いません.

標本空間(全事象)が面積になるので正確には大学範囲ですが,ほぼ高校数学で理解できます.

基本的には,$d\geqq l$ のときをビュフォンの針と呼んで良さそうですが,おまけで $d < l$ のときの確率も考察します.




ビュフォンの針の確率と求め方

ポイント

ビュフォンの針

罫線感覚が $d$ のノートの上に,長さが $l$ の針を落としたとき,針と罫線が交わる確率は

$d\geqq l$ のとき

ビュフォンの針1

$\color{red}{\dfrac{2l}{\pi d}}$



求め方

ビュフォンの針2

上の図のように針の中点を $\rm P$ とし, 罫線とのなす角を $\theta$ $\left(0\leqq \theta\leqq \pi\right)$,$\rm P$ と一番近い罫線までの距離を $y$ $\left(0\leqq y\leqq \dfrac{d}{2}\right)$ と設定する.

$\theta$ と $y$ はそれぞれ独立した確率変数なので,$\theta y$ 平面上を,範囲が $0\leqq \theta\leqq \pi$,$0\leqq y\leqq \dfrac{d}{2}$ となるように一様に取れる(統計学の用語で一様分布する).つまり ${\rm P}(\theta,y)$ の取れる範囲(全事象)は以下の斜線部分.

ビュフォンの針3

そして,針が罫線と交わるには,$\color{red}{y\leqq \dfrac{l}{2}\sin\theta}$ という条件があり,その領域を上の斜線部分内に図示すると

ビュフォンの針4

上の赤い部分になる.求める確率は

 $\dfrac{\color{red}{赤い部分の面積}}{斜線部分の面積}$

$\displaystyle =\color{red}{\int_{0}^{\pi}\dfrac{l}{2}\sin\theta\,d\theta}\div\dfrac{\pi d}{2}$

$\displaystyle =\color{red}{\left[-\frac{l}{2}\cos\theta\right]_{0}^{\pi}}\times\dfrac{2}{\pi d}$

$\displaystyle =\boldsymbol{\dfrac{2l}{\pi d}}$


※高校の確率は,玉が何個ありますかのように,数えられるもの(可算集合)が対象になりますが,大学以降では集合が面積のような非可算集合も扱います.

※一様分布を重積分してして出す方法が,大学以降のしっかりしたやり方ですが,当サイトは高校数学で(完全ではなくても)理解できることを目的としているので上のような解説にしました.



応用

例えば,$d=2l$ としたら,確率は $\dfrac{1}{\pi}$ になるので,理論上,膨大な数の試行を行えば円周率の近似値を求めることができます.この膨大な試行により近似値を得る手法をモンテカルロ法と言いますが,ビュフォンの針はその有名な一例です.




おまけ: $d < l$ のとき

ポイント

ビュフォンの針( $d < l$ のとき)

罫線感覚が $d$ のノートの上に,長さが $l$ の針を落としたとき,針と罫線が交わる確率は

$d < l$ のとき

ビュフォンの針5

$\color{red}{\dfrac{2l}{\pi d}\left(1-\sqrt{1-\dfrac{l^{2}}{d^{2}}}\right)+\dfrac{2}{\pi}\cos^{-1}\dfrac{l}{d}}$


求め方

ビュフォンの針6

同様に針の中点を $\rm P$ とし, 罫線とのなす角を $\theta$ $\left(0\leqq \theta\leqq \pi\right)$,$\rm P$ と一番近い罫線までの距離を $y$ $\left(0\leqq y\leqq \dfrac{d}{2}\right)$ と設定する.

$\theta$ と $y$ はそれぞれ独立した確率変数なので,$\theta y$ 平面上を,範囲が $0\leqq \theta\leqq \pi$,$0\leqq y\leqq \dfrac{d}{2}$ となるように一様に取れる(統計学の用語で一様分布する).つまり ${\rm P}(\theta,y)$ の取れる範囲(全事象)は以下の斜線部分.

ビュフォンの針3

そして,針が罫線と交わるには,$\color{red}{y\leqq \dfrac{l}{2}\sin\theta}$ という条件があり,その領域を上の斜線部分内に図示すると

ビュフォンの針7

上の赤い部分になる.図のように $\dfrac{l}{2}\sin\theta=\dfrac{d}{2}$ を満たす $\theta$ を $\alpha$ とする $\left(\sin\alpha=\dfrac{l}{d} \Longleftrightarrow \cos\left(\dfrac{\pi}{2}-\alpha\right)=\dfrac{l}{d}\right)$ .

求める確率は

 $\dfrac{\color{red}{赤い部分の面積}}{斜線部分の面積}$

$\displaystyle =\color{red}{\left\{2\int_{0}^{\alpha}\dfrac{l}{2}\sin\theta\,d\theta+(\pi-2\alpha)\dfrac{d}{2}\right\}}\div\dfrac{\pi d}{2}$

$\displaystyle =\color{red}{\left\{2\left[-\frac{l}{2}\cos\theta\right]_{0}^{\alpha}+(\pi-2\alpha)\dfrac{d}{2}\right\}}\times\dfrac{2}{\pi d}$

$\displaystyle =\color{red}{\left\{l-l\cos\alpha+(\pi-2\alpha)\dfrac{d}{2}\right\}}\times\dfrac{2}{\pi d}$

$\displaystyle =\color{red}{\left\{l-l\sqrt{1-\sin^{2}\alpha}+\left(\dfrac{\pi}{2}-\alpha\right)d\right\}}\times\dfrac{2}{\pi d}$

$\displaystyle =\color{red}{\left\{l-l\sqrt{1-\dfrac{l^{2}}{d^{2}}}+d\cos^{-1}\dfrac{l}{d}\right\}}\times\dfrac{2}{\pi d}$ ←逆三角関数使います

$\displaystyle =\boldsymbol{\dfrac{2l}{\pi d}\left(1-\sqrt{1-\dfrac{l^{2}}{d^{2}}}\right)+\dfrac{2}{\pi}\cos^{-1}\dfrac{l}{d}}$




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