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2つの2次関数の大小関係

2次関数(入試の標準) ★★★★

アイキャッチ

2つの2次関数の大小関係について扱います.

一般の検定教科書に記載はないですが,過去の入試でよく問われてきた問題です.

2つの2次関数の大小関係の仕方

2次関数だけに限らず,「すべての」または「ある」を用いた2つの関数の大小関係の問題は以下のように考えます.

2つの2次関数の大小関係に使うタイプ

$x$ が特定の範囲で,関数 $f(x)$,$g(x)$ について,次の命題が成り立つような条件は

Ⅰ すべての $x$ に対して,$f(x)>g(x)$

$\boldsymbol{\color{red}{(f(x)-g(x)}}$ の最小値 $\boldsymbol{\color{red}{)>0}}$

※ $f(x)$ と $g(x)$ で使う $x$ が共通しているので $h(x)=f(x)-g(x)$ としてまとめて考えます.

Ⅱ ある $x$ に対して,$f(x)>g(x)$

$\boldsymbol{\color{red}{(f(x)-g(x)}}$ の最大値 $\boldsymbol{\color{red}{)>0}}$

※ Ⅰと同様ですが,$h(x)=f(x)-g(x)$ の最大値が正であれば十分です.

Ⅲ すべての組 $x_{1}$,$x_{2}$ に対して,$f(x)>g(x)$

$\boldsymbol{\color{red}{(f(x)}}$ の最小値 $\boldsymbol{\color{red}{)>(g(x)}}$ の最大値 $\boldsymbol{\color{red}{)}}$

※ $f(x)$ と $g(x)$ で異なる $x$ を使えるので,分けて考えます.

Ⅳ ある組 $x_{1}$,$x_{2}$ に対して,$f(x)>g(x)$

$\boldsymbol{\color{red}{(f(x)}}$ の最大値 $\boldsymbol{\color{red}{)>(g(x)}}$ の最小値 $\boldsymbol{\color{red}{)}}$

※ Ⅲと同様に分けて考えます.


例題と練習問題

例題

例題

$-\dfrac{5}{2}\leqq x \leqq 2$ の範囲で,関数 $f(x)=x^{2}+2x$,$g(x)=-x^{2}+a$ について,次の命題が成り立つような $a$ の値の範囲をそれぞれ求めよ.

(1) すべての $x$ に対して,$f(x)>g(x)$

(2) ある $x$ に対して,$f(x)>g(x)$

(3) すべての組 $x_{1}$,$x_{2}$ に対して,$f(x)>g(x)$

(4) ある組 $x_{1}$,$x_{2}$ に対して,$f(x)>g(x)$


講義

前章の内容に従って解いていきます.


解答

 $h(x)$

$=f(x)-g(x)$

$=2x^{2}+2x-a$

$=2\left(x+\dfrac{1}{2}\right)^{2}-\dfrac{1}{2}-a$ $\left(-\dfrac{5}{2}\leqq x \leqq 2\right)$

とおく.

(1)

例題(1)

すべての $x$ に対して,$h(x)=f(x)-g(x)>0$ つまり

$( \ h(x)$ の最小値 $)=-\dfrac{1}{2}-a>0$

であればいいので

$\boldsymbol{a<-\dfrac{1}{2}}$


(2)

例題(2)

ある $x$ に対して,$h(x)=f(x)-g(x)>0$ つまり

$( \ h(x)$ の最大値 $)=h(2)=12-a>0$

であればいいので

$\boldsymbol{a<12}$


(3)

例題(3)

$( \ f(x)$ の最小値 $)>( \ g(x)$ の最大値 $)$

$f(-1)=-1>g(0)=a$

であればいいので

$\boldsymbol{a<-1}$


(4)

例題(4)

$( \ f(x)$ の最大値 $)>( \ g(x)$ の最小値 $)$

$f(2)=8>g\left(-\dfrac{5}{2}\right)=-\dfrac{25}{4}+a$

であればいいので

$\boldsymbol{a<\dfrac{57}{4}}$

練習問題

練習

次の条件を満たす放物線をグラフにもつ2次関数を求めよ.

$-3\leqq x \leqq 3$ の範囲で,関数 $f(x)=x^{2}-2x$,$g(x)=2x+a$ について,次の命題が成り立つような $a$ の値の範囲をそれぞれ求めよ.

(1) すべての $x$ に対して,$f(x)>g(x)$

(2) ある $x$ に対して,$f(x)>g(x)$

(3) すべての組 $x_{1}$,$x_{2}$ に対して,$f(x)>g(x)$

(4) ある組 $x_{1}$,$x_{2}$ に対して,$f(x)>g(x)$

解答

 $h(x)$

$=f(x)-g(x)$

$=x^{2}-4x-a$

$=\left(x-2\right)^{2}-4-a$ $(-3\leqq x \leqq 3)$

(1)

すべての $x$ に対して,$h(x)=f(x)-g(x)>0$ つまり

$( \ h(x)$ の最小値 $)=-4-a>0$

であればいいので

$\boldsymbol{a<-4}$


(2)

ある $x$ に対して,$h(x)=f(x)-g(x)>0$ つまり

$( \ h(x)$ の最大値 $)=h(-3)=21-a>0$

であればいいので

$\boldsymbol{a<21}$


(3)

$( \ f(x)$ の最小値 $)>( \ g(x)$ の最大値 $)$

$f(1)=-1>g(3)=6+a$

であればいいので

$\boldsymbol{a<-7}$


(4)

$( \ f(x)$ の最大値 $)>( \ g(x)$ の最小値 $)$

$f(-3)=15>g\left(-3\right)=-6+a$

であればいいので

$\boldsymbol{a<21}$